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しろねこ姫の不思議な力  作者: しーにゃ
第4章 しろねこ姫のデビュタント
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51-I 冬の試験準備

 時間が経つのは早いもので、後二週間で冬の試験が始まる。そして、わたしは特別講師として、授業終わりに実技の指導に呼ばれていた。











「あら、上手くなったわね。そうよ、その調子」

「ありがとうございます、アイリーナ様」

「アイリーナ様、ここが分からないのですが」

「ええと、『水砲(アクアキャノン)』は『泡弾(バブルショット)』と違って、水の球を撃ち続けるのではなくて水を流すイメージなのよ」

「なるほど!ありがとうございます!」

「アイリーナ様!」


 近くにいた人達に教え終わった所で、別の所から呼ばれた。わたしも疲れてきたのですけど。だけど、皆がやる気あるのは良い事だわ。











 呼ばれた方へ向かうと、数人が倒れていた。そして、それを見て震える男子。


「ご、ごめんなさい、俺のせいで……」


 とりあえず倒れている人達を治癒すると、その男子に向き合った。


「何があったのかしら?」

「あ、あの、『竜巻(サイクロン)』がコントロール出来なくて……」


 竜巻を出そうとした所、暴発してしまったらしい。イメージが上手くいってないのね。


「ちょっと手を借りるわね?」

「え、あ、はい」

「ふふ、緊張しなくて良いのよ。少し『竜巻(サイクロン)』をイメージしてくださる?使わなくて良いから、イメージだけ」


 その男子は頷くと、目を閉じてイメージし始める。それが紋章を通じてわたしの頭に浮かぶ。これでは弱いわね。込める魔力量とイメージが合ってないわ。


 そこで、少しだけ手直しをする。イメージの中の竜巻の威力を落とした。そして手を離す。


「ありがとう、もういいわ。そうしたら、一回使ってみてくださる?」


 先程を思い出したのか、使う事に怯えている様子。わたしは大丈夫だよと微笑んだ。


「大丈夫、暴発してもわたしがいるわ」

「……『竜巻(サイクロン)』」


 それに安心したのか、小さく唱えた。出てきた竜巻は、小さくて威力もあまりなかったけれど、それでもきちんとコントロール出来ていた。


「……うそ、出来た…」

「イメージの強さと魔力量が合ってなかったの。今の感覚を忘れないで頑張って」

「…ありがとうございます……」


 まだ呆然としている男子に、友達らしき先程倒れていた人達が集まってきた。何か言われている。だけど、皆笑顔だから、大丈夫そうね。


 それを見た所で、またしても呼び出しがかかった。わたしはそちらへ向かった。











「お前、ずるいぞ!」

「アイリーナ様に手を握ってもらえるなんて!」

「……ああ、夢みたいだ…」

「だよなぁ、あの人は雲の上の存在だもんな」











「やっと終わったぁ」


 その後もあちこちに呼ばれ、色々な事を教えて、わたしはクタクタになっていた。フラフラと寮に向かうと、途中でシリウスに会った。


「リリー、お疲れ様」

「お疲れ様、シルは何してたのかしら?」

「僕は図書室で筆記試験の勉強してた」

「筆記試験…そうね、その勉強もしなくては」

「あんまり無理するなよ?試験が終わったらダンスパーティーがあるんだから」


 そう、冬の試験の結果が出たすぐ後くらいにダンスパーティーがある。これは、学院二年生からは全員出席で、特にわたし達二年生はデビュタントとなる。今年は王子シリウスがデビューという事で、豪華になると言われている。


 その代わり、そこから四ヶ月は社交シーズンという事で、一年生以外は学院は休みになる。このシーズンを締めくくるのが新年祭で、これが春にある。


 そうね、今身体を壊したら大変だわ。そこでシリウスに頼み事をした。


「無理はしないから、一緒に勉強しません?」


 これを聞いたシリウスは目を丸くした。そして微笑みかけてきた。


「実は、僕も同じ事を言おうとしてたんだ。リリーが無理しないように、見張ってるからな」

「ちゃんと勉強もしてよ?」


 笑いながら言い合った。そのうちシリウスが手を伸ばして頭を撫でてくる。見つめた瞳はとても優しかった。


「じゃあ、勉強会楽しみにしてるよ」

「ええ。また明日会いましょう」











 シリウスと別れて自分の部屋に入ると、ミルがお風呂の準備をしていた。


「アイリーナ様、おかえりなさいませ。お風呂の準備を整えておきましたので、湯船でぜひ疲れをお取りください」

「ありがとうミル」


 ミルを連れてお風呂に向かい、体を洗ってもらうと湯船に浸かった。


「ふわぁぁ」


 温かいお湯で全身が解されていく。お湯に包まれて、疲れが取れていく。暫くこの温かさに包まれていたいわ。


 部屋に戻ると、秘密の練習をする。鏡の前で子猫に変身した。わたしの変身した子猫は、空色の瞳に真っ白な毛並み、出会った頃のアイリスみたい。その格好で伸びをすると、人に戻ってベッドに入った。

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