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しろねこ姫の不思議な力  作者: しーにゃ
第3章 貴族しろねこ姫
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50-I 勝負の行方

「……『電波(エレクウェーブ)』」


 わたしは残った何人かに向けて魔術を発動させた。わたしを中心に扇形に広がるこの魔術に、数人が膝をついた。


 未だ立っているのは、レテフィア嬢を含む四人。しかし、その瞳に映る感情はそれぞれ違う物だった。わたしへの敵対心、挑戦、怒り、そして戸惑い。


 先程までのもはや勝負などと呼べないような物のおかげで、少しは怒りが収まった。ただ、それでもお祖父様への言葉を思い出すと怒りが湧いてくる。


 レテフィア嬢に賛同した人達を呼んだのは、勝負に巻き込めば一つだけ言う事が聞かせられるから。それでお祖父様に謝って欲しい、それだけ考えていた。別にわたしが馬鹿にされるのはまだ良いのよ。











「っ、そんな、そんな方法で潔白を証明するなんて……」


 レテフィア嬢が呻く。潔白を証明?何の事かしら?


 わけが分からずに辺りを見回すと、じっと見つめてくる人達。


「……疑って、すまなかった…」

「貴女の強さは本物だ」

「……あ、ありがとう…」


 わたしは戸惑った。確かに冤罪を撤回させようとは思っていたけど、なぜ今信じてくれたのかしら。そして、それを憎々しげにレテフィア嬢が見ていた。


「何でよ、これのためにどれだけ準備したと……」

「……準備した?」


 あっと口を押さえたレテフィア嬢、それを見て完全に怒りが収まった。何かもういいわ、さっさとケリをつけましょう。


「レテフィア嬢、続きを致しましょうか」

「えっ!?」


 これを聞いて驚き震えるレテフィア嬢。あら、まるでわたしが悪いみたいじゃない。勝負を仕掛けてきたのはそちらでしょう?


「……わ、私の、負け、ですわ………」


 レテフィア嬢は何とか絞り出すように言った。その身体は全身震えて、声まで震えていた。


「あら、それで良いのね?」

「…………」


 不本意そうな表情のレテフィア嬢。しかし、それでも小さく頷いた。


「……だったら、お祖父様に謝ってください。それで終わりに致しますわ」


 聞くなり、フラフラとお祖父様の方へ向かい、そして頭を下げた。


「……疑ってすみませんでした」

「……いや、疑われるような事をした私も悪いだろう。だが、私は常に公平を心がけている。もしアイリーナが悪い事をすれば、もちろん処罰もする」

「お祖父様!?」


 笑いながらレテフィア嬢を許したお祖父様が、途中から声を張り上げてそう言った。いや、わたしが悪い事をするなんて、そんなまさかね。


 わたしに倒された人達も次々に謝ってきた。疑ってすまなかった、と。別にわたしは気にしてないのだけれど、そんなに言うなら一つだけ。


「でしたら、次からはわたしの家族、仲間を侮辱しないでくださるかしら」

「「「「もちろんです!!!」」」」


 これで良いわ。わたしは微笑んだ。


「ありがとうございます」


 こうしてわたしの冤罪は晴れた。





















 しかし、後でこの事を知ったシリウスに物凄く怒られた。


「何でそんな無茶をしたんだ!怪我でもしてたらどうすんだよ!」

「ごめんシル、リリー、僕のせいだ」


 ディランが項垂れる。まあ確かにディランがお祖父様を連れてきた事がきっかけだったけれど。でもそれは、ディランのせいではない。恐らくレテフィア嬢にいいように使われてしまっただけだろう。


「だって、お祖父様を馬鹿にされて、我慢出来なかったの」

「だとしても!もっと他の方法があっただろう!」

「……どうすれば良かったの…?」


 強く言われたせいか、だんだん涙目になってきた。それを見たノエルがシリウスを止めようとする。


「………」

「シル!気持ちは分かるけど、これじゃ本末転倒だよ!」

「!!」


 わたしは俯いた。合成魔獣と戦った後に、皆ともう危険な事をしないと約束した。だから、今回の事は約束を破ってしまった事になるのよね。


「ごめんなさい」

「…リリー、ごめん、僕も言い過ぎた」


 顔を上げれば、申し訳なさそうなシリウスがいた。その横にいたノエルがわたしの方に来た。そっと手を伸ばされる。


「ごめんね、僕らは先生に呼び出されて行けなかった。行ってれば、もっと違う事が出来たかもしれない」

「……先生に呼び出された?」


 頭を撫でられながら聞き返す。ノエルが優しく頷いた。後ろでシリウスが悔しそうにしている。そうよね、あの場にシリウスとノエルがいれば、何か変わったかもしれない。何がかは分からないけれど。


 しかし、実際にはシリウス達は呼び出されて、あの場には来れなかった。結果わたしは追い詰められてしまった。そう、レテフィア嬢の思い通りに。


 ………もし、シリウスとノエルが呼び出された事もレテフィア嬢の策だったとしたら。


「……貴族って怖いわね」

「…リリーはかなり変わってるからな」

「普通だと思うわ」


 それに三人とも苦笑いした。


「リリーって賢くて大人だと思ったら、意外と子供みたいな所があるもんな」

「そう、変わった考え方の貴族だよな」

「ちょっと、三人ともひどいわ」


 もう、他の人達よりもちょっと頭が良くて、ちょっと魔力量が多いだけよ。考え方は確かにわがままだけど、それは一般の貴族もそうでしょう?











 それはともかく、この勝負以降レテフィア嬢はかなり大人しくなった。そしてわたしはクラスの皆に馴染んでいった。

これにて第3章は終わりとなります。


乙女ゲーム要素が……全然ない……


乙女ゲーム的展開、悪役令嬢の挽回的展開を期待していた方、ごめんなさい。この先もっと、というか、ほぼ乙女ゲーム要素がなくなります。


誰がイレギュラーなのか……?(それはもちろん根本の原因のあの二人……)

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