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しろねこ姫の不思議な力  作者: しーにゃ
第3章 貴族しろねこ姫
48/125

38-I 特殊ルールで勝負です

たくさんの誤字報告ありがとうございます


やっぱり文章を書くというのは難しいです……


間違いや違和感を感じましたら遠慮なくご指摘ください



いつも「しろねこ姫」を読んでくださってありがとうございます!

「……『岩砲(ロックキャノン)』」

「……ふふ、『土壁(ソイウォール)』」

「やっぱりアイリーナはすごいな」

「そうかしら?アレクもかなり上手よ?」


 笑顔を見せたアレックス様に、昔のように接して欲しいと頼まれた。そのため、きちんと許可を取ってから、昔のようにアレク、と呼ぶ事になった。


 正直、木の下に蹲る朱色の髪の男の子を見つけた時、ただの子ではないと思った。まるで街でいじめられていたシリウスみたいに思えた。


 着ていた服も纏っていた雰囲気もどことなく高貴なもので、どうしても放っておけなかった。だから、何も知らないふりをして話しかけたのだけど、まさかファルク王国の王子様だったなんて。











 授業が終わると、案の定令嬢に取り囲まれた。


「今年入ってきた貴女ごときがアレックス様の笑顔を見るなんて」

「そうですわ、弁えてくださいまし」


 レテフィア嬢が睨み付けてくる。どうしよう、これは面倒な事に巻き込まれた気がするわ。さらに、取り巻き達も色々言ってくる。それら全てを黙って聞いていたわたしは、何かを投げつけられた。


「……勝負よ!」


 投げつけられたのは、白い手袋。それが取り巻き達全員分あった。そして、投げつけてきた一人、レテフィア嬢が挑戦的な笑みを浮かべた。


「……まさか、断らないですわよね?」

「……分かりましたわ」


 ここまで言われては断れない。ため息をはきながらわたしは頷いた。











 勝負をするために闘技場に移動する。わたし達の一方的な言い争いを見ていたらしいシリウス達が心配してついてきた。


「ねえリリー大丈夫?」

「何がかしら?」

「その、勝負…」


 歩きながら目を伏せたシリウスは、言いにくそうに口を開いた。


「相手、殺さないでよ……?」

「なっ、失礼な。いつも気をつけてますわ」

「そ、そう」


 わたしの心配かと思いきや、相手の心配だった。思わず頬を膨らます。そして、そのまま早歩きで先に闘技場に入った。後ろでシリウスがノエルに何か言われているみたいだけど、知らないわ。


 そもそも、勝負は普通一対一の魔術対決。それも、どちらかが降参するまで続く。そのため、先程みたいに一度に数人から勝負を挑まれるなど前代未聞の事。わたし、そこまで気に食わない事したかしら。アレクの笑顔を見たのが、そんなにいけなかったの?











 闘技場に入ると、レテフィア嬢が呼んだらしい先生が舞台で既に準備していた。レテフィア嬢達も準備万端だった。


「さあ、始めましょう?」

「アイリーナ、準備はいいか?」

「はい先生」

「よし。今回の勝負は、勝ち抜き戦で行う。アイリーナが負ければそこで終了、勝てば次の人に代わる。いいな?」

「はい」

「では、第一勝負、始め!」


 そうして勝負が始まった。












 一人目は、レニア·ラ·ゴートン子爵令嬢。茶髪で茶色の瞳の彼女は、いつもレテフィア嬢の後ろをついて歩いている。昨年ミレイルに嫌がらせもしてきた。ふーん、地属性か。どうしようかしらね。


 考えているうちに向こうが攻撃してきた。


「『防壁(バリアル)』」


 とりあえず飛んできた土弾を防ぐと、すぐさま反撃に出た。


「『水刃(アクアエッジ)』」


 さあ、どう来るかしら?土壁か、防壁か。


 飛んでくる水刃に少し慌てたようなレニア嬢は、土壁を出した。あら、残念ね。わたしの水刃は、土壁ごときでは防げないわよ。せめて防壁でなくちゃ。


 見事に土壁を切り裂いた水刃がレニア嬢に当たる寸前で止めた。恐怖に目を見開くレニア嬢に、とどめに水球を飛ばした。


「──そこまで!第一勝負、勝者アイリーナ!」


 先生が宣言する。


 ふらつきながら舞台を降りるレニア嬢と代わって、灰色の髪の令嬢がやってきた。あら、あの方は確かアロー伯爵家のベネジット嬢ね。緑の瞳を持っていて、風属性使いよ。


「第二勝負、始め!」


 わたし達の準備が終わったのを確認して、先生が言った。それと同時にベネジット嬢が魔術を使う。


「『風刃(ウィンドエッジ)』」

「『水泡(バブル)』」


 わたしが出したたくさんの泡に当たり、ベネジット嬢の風刃は威力を失っていく。すかさず残った泡で攻撃する。


「『泡弾(バブルショット)』」


 しかし、これはベネジット嬢の突風で吹き飛ばされた。続いてまた風刃が来る。今度は防壁で受け止めた。


「私の勝ちですわ!『竜巻(サイクロン)』!」


 勝ち誇ったような笑みを浮かべて、ベネジット嬢が竜巻を飛ばしてきた。しかし、どうもその調節が上手くいっていないようで、威力は少し心もとない。


「その程度でわたしに勝てるとでも?『水砲(アクアキャノン)』」

「何ですって!?」


 怒ったベネジット嬢が竜巻に魔力を込める。わたしとしては竜巻を無視しても良かったけど、せっかくだから無力化しますか。回転と反対方向に水砲を当て、先程よりは威力を増した竜巻を弱めていく。ものの数秒で消え去った竜巻にベネジット嬢が驚いている間に水砲で倒した。


「第二勝負、勝者アイリーナ!」

「そんな、無力化されるなんて……」


 びしょ濡れのまま呆然と立ち尽くすベネジット嬢に、三人目、フローラ嬢が何やら話しかける。そして、フローラ嬢はこちらをしっかりと見据えた。


「わたし相手に簡単に勝てるなんて思わない方がよろしいですわよ」

「あら、随分自信がおありですのね?」

「当然ですわ!わたしとレテフィア様は、昨年の地術クラスの上位五名に入るんですのよ!」

「それは楽しみですわね」


 地属性相手に、わたしはまだ水属性しか使っていないけど、これは他の属性も使った方が良いのかしら。











「第三勝負、始め!」

「『砂塵(ダステーレ)』」

「『水泡(バブル)』」


 先生の声と共に、フローラ嬢が魔術を使った。辺りに砂埃が起こる。それをわたしは泡で収めにかかった。続いて土弾が連続で飛んでくる。


「クラス上位五名の実力を見なさい!」


 言葉と共にどんどん威力を増していく攻撃。わたしは飛んでくる土弾を全て水刃で迎え撃っていた。しばらくそれが続く。


「……なかなかやるじゃない」

「そんな軽口を叩けるのも今のうちですわ!『岩砲(ロックキャノン)』!」

「……『水砲(アクアキャノン)』」


 相手の全力攻撃に、それなりの威力を込めて反撃する。向こうは防壁で防げない地属性上級魔術、こちらはごく普通の水属性中級魔術。これを見たフローラ嬢が勝利を確信したのもまあ無理はないかな。相手がわたしでなければ。


 わたしの手元から勢いよく飛び出した水は、飛んできた岩とぶつかり、押され…………なかった。


「そんな!?」


 岩の威力を削ぎ、そのままの勢いで迫る水砲に、フローラ嬢が慌てて防壁を張るも、一歩遅かった。


「きゃあ!」

「!?危ない!『浮遊(フローサ)』!」


 思い切り吹き飛ばされたフローラ嬢を見て、威力が強すぎたと後悔しながら魔術をかける。壁にぶつかる寸前でギリギリ止める事が出来、一安心した。これでは、シリウスの心配が当たってしまっているわ。ふと見上げれば、観客席で頭を押さえるシリウスが見えた。


「…だ、第三勝負、勝者アイリーナ」

「……こ、れは…………」

「ごめんなさい、フローラ嬢。威力が強すぎたわ」


 そっと舞台にフローラ嬢を降ろして謝った。しかし、フローラ嬢は腰が抜けてしまったのか、その場に座り込む。


「大丈夫?怪我してないかしら?」

「…………」


 何も話さないフローラ嬢が不安になって、治癒をかけた。


「フローラ、戻って来なさい」

「……レテ、フィア、様………」


 よろよろと舞台から降りるフローラ嬢を、レニア嬢とベネジット嬢が受け止めた。一方でわたしは舞台上でレテフィア嬢と向かい合った。

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