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第1話
ただそこに浮いていた。
見渡す限りそこは白く、他には何もない。
自分の身体すら感じることができず、ただそこに浮いていた。
手も足も目も何もないのに見ることだけはできた。
この空間はなんなのだろうか。
何度も自問自答を繰り返しても答えは出ない。
死んだ覚えもなければ寝た覚えもない。
そもそも自分が誰で何処にいたのかさえわからない。
自分が存在していたのかさえわからない。
もしかしたら存在していなかったのではないか?
それならなぜ自我があるのだろうか?
なぜ知識があるのだろうか?
なぜ?なぜ?なぜ?・・・
考えることすら面倒になり、
だんだんと意識は薄れていった。
「・・・なんか変な夢見たな。」
いつものように午前6時に目を覚まし、ポツリとつぶやいた。
これはなんてことのない一人の高校生の日常だ。