表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第四話 ランバル

二日後、セイガ小隊はランバルへの配属が決まった。ランバルは「都市要塞」であり、戦時中はランバルの町全てが難攻不落の要塞と変貌する。今戦争では、このランバルが重要防衛地点となり、多くの兵が配置されていた。

「えっと、どっちが教会だっけ?」

「地理を頭に叩き込んでおけと言っただろ。右だ、行くぞ」

「あ、ちょっと待って!これ地図じゃあ左って書いてるよ!」

「地図の向きが逆だバカ」

メリーの方向音痴は昔から変わってないようだ。セイガ小隊は無事、目的の教会にたどり着いた。

「メリーちゃん、しっかりしてよね」

メルが笑いながら話しかける。実際、セイガもそう思っている。

「だって…「のんきだなぁ訓練兵第35小隊諸君」

メリーが反論しようとした矢先、声が聞こえた。全員が振り返る。訓練兵第35小隊とはセイガ小隊の正式名称だ。

「そんなにのんきではこちらも欠伸が出そうだよ。ま、優秀な君達ならその23人で敵全軍退けてくれるんじゃないかなと思ってるんだけどねぇ」

「…誰だっけ」

嫌味ったらしいその人物に対して、最初に飛んだのはメルの一言だった。

「…すまん、お前たちが誰だか全く覚えていない」

セイガも知らないようで、きょとんとしている。

「…驚いた。君たちの石ころへの関心がこれほど薄いものだとは…失望したよ!」

いちいち大げさな人間だと思いながらも、相手を放っておくこともできず、聞いているだけとなった。

「…で、誰だよ」

メルの次はエルが聞く。

「君達に教えても無駄だとは思うが、一応伝えておくよ。訓練兵第75小隊のカルロさ。君達には到底及ばない、1年だらけの小隊の隊長さ!」

彼は嘆くように言って、そのまま去って行った。

「…なんだったんだあいつ」

「…さあ?」

嵐のような一瞬はすぐに過ぎ去った。

「…まあいいか」

「楽しそうだな35小隊」

かに思えたが、また声が聞こえる。しかし今度は威厳のある声だった。

「私は貴様らの教育係としてアムルストン騎士養成学校教官、ベルンハルト殿から役目を引き継いだエドガーだ。」

「エドガー上官…よろしくお願いします。」

今度は迷いなく挨拶をした。まあ、当然のことである。

「さて貴様ら…今すぐ戦いの準備を始めろ。それが私からの最初の指令だ。」

エドガーは突然切り出した。

「…どういう事でしょう」

「奴ら、もう近くにいるようだ。じきに戦闘となるだろう」

もう躊躇している暇などなかった。彼らには、戦うという選択肢しか残されていなかった。次の瞬間、全員が動き始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ