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闘う! もんすたぁガールズ  作者: へぼめし
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第5話 ルビーアイ捕獲大作戦! その3

 少し行くと一面ガラス張りのショーウィンドウが見え、上の看板には丸文字でピンクベリーとあった。

 ショーウィンドウの中には、いかにも女の子女の子したフリフリの服を着たマネキンが並んでいる。


「きゃ~~っっ、かわいいです~~っ」


 ライムが黄色い叫び声を上げてガラスにへばりついた。


「すごいですっ、ピンクですっ、フリフリです~~っ」


 キラリ瞳に星をちりばめ、まるでキャラが変わったようなはしゃぎっぷりだ。道を行き交う人たちが何事かとチラ見してくる。


「おいライム、ちょっとテンション抑えろって」

「はっ! ご、ごめんなさい。私、かわいいものには目がなくて、つい興奮してしまいました」


 ライムは恥ずかしそうにはにかんだ。


(ライムはこういうのが趣味なのか)


 少し意外だと聡樹は思った。

 ライムは今着ている白いワンピースみたいな、清楚系のイメージが強かったからだ。浜辺で麦わら帽子をかぶって波と戯れたら完璧だと思っていた。


「ライムはこういうのがいいのか?」

「はいっ。というより、かわいいのが嫌いな女の子なんていないですよ、サトキさま」


『同感。まあ、あたしはストロベリー系着ないけど』

『アタシは別に』


 胸元から魅麗と真理のコメントも聞こえてくる。真理の声は相変わらずぶすっとしていた。

 ライムは再びガラスにへばりつく。


「はぁ~、かわいいです~。着てみたいです~」


 聡樹はライムがフリフリピンクを着ている姿を想像してみる。


(……アリだな)


 それはそれで新鮮でグッドだ。やはり素材が良ければなにを着ても似合う。

 こうなると、実際に着ている姿を見てみたくなるのが男心というもの。


「だったら試着してみればいいじゃんか」


 下心ではない、男心である。聡樹のこの発言は、かわいくめかした美少女を見てみたいという純粋(ピュア)な男心から生まれたものである。


「わ、私がですかっ? ダメですよ。私、もんすたぁですから……」


 ライムは困ったように眉尻を下げた。


「なに卑屈になってるんだよ。今時もんすたぁお断りの店なんてほとんどないぜ」

「でも、私スライムですよ? バレたらお店の人に怒られてしまうんじゃ……」

「そんなことないって。もしなにか言われたら、俺がガツンと言い返してやるからさ」


 正直ちょっとカッコつけた。しょうがないだろ、男の子だもの。さとき


「サトキさま……。サトキさまは、本当にお優しいんですね。私なんかのために、そこまで言ってくださったヒトは初めてです」


「そ、それくらい当然だって。もんすたぁだからって差別するの、俺はよくないと思うし。もんすたぁだって人間と同じ心をもってるんだから、もっと対等に扱われるべきじゃないかって……」


 照れて、ちょっとしどろもどる聡樹に、ライムはクスリと笑った。


「いいえ、サトキさまはお優しいです。でなければ私、とっくに契約を諦めて集落に帰ってます」

「そう……なのか?」

「はい、私だって女の子ですから。初めて契りを結ぶ相手は、優しいヒトがいいんですよ?」


 ドッキン。聡樹の心臓が大きく飛び跳ねた。

 初めて見せたライムのイタズラっぽい笑顔に、聡樹は顔が耳まで熱くなるのを感じた。

 やはり女の子の笑顔は、涙とはまた違った破壊力を持っている。

 今まで恋愛そっちのけで、女の子に対しての免疫がない聡樹は翻弄されまくりだ。


『はいはーい、イイ感じのところ悪いけど、そろそろ移動してくれないかな?』


 胸ポケットから魅麗の呆れたような声がする。


「え、でもまだ店に入ってないし」

『あのさーお兄ぃ。これデートじゃないからっ!』


 まずい。魅麗がちょっと怒っている。このままではライムの立場も危うい。

 聡樹は受話器に拾われないように小声で喋る。


「悪いライム、試着はまた今度にしようぜ」

「また今度……ですか?」


 ライムは驚いたように目を丸くした。


「今はその、作戦行動中だからさ。また今度、ゆっくり見に来ようぜ」

「また今度……よろしいのですかっ?」

「うん、また今度、暇なときならいつでも付き合うからさ」


 ライムの表情がパアァっと百万メガワットで明るくなる。


「は、はいっ! また今度、よろしくお願いしますサトキさまっ」


 なんだかすごく嬉しそうだ。そんなにフリフリピンクを試着してみたかったのだろうか。

 それくらいのことでこんなに喜んでもらえるなら、聡樹としてはいくらでも付き合ってあげたい。


 ギリリ。

 ……今なにか、不穏な音が胸元から聞こえた気がする。

 恐いので聡樹は聞こえてないフリをした。

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