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聖女学園の校舎内に薄暗く現在は使われていない一つの教室。在学生も職員も知ってる人も少ない。もちろん、日中だろうが誰も近づかない。そこでなにやら数人の話し声が聞こえてくるーー
「ターゲットへの妨害を終了しました。お姉さま」
一人の生徒が報告をする。
「良くやってくれましたわ妹よ!! これで彼らも混乱をするはずでしょう!ふふ」
お姉さまと言われた女生徒は、薄暗い部屋で、にやりと広角を上げた。この教室は我が百合十字団の秘密会合場所として使用し、伝統がある格式高い神聖な場所。団員同士での会合に使われる。いまここで話し合われているのは、我が愛しき聖女学園を粉々にした魔法学校とかいう悪魔達への攻撃報告だ。 我々は業を煮やした。あの悪魔達を何とかしないと私達が愛する聖女学園が崩壊してしまう!
「お姉さま!落ち着いて下さい!」
妹に注意されるまで、私はテーブルの赤いクロスを握りつぶしていのだ、慌てて、はっとクロスを放した。私ったら、なんて暴力的なのかしら!と反省をした。
「お…お姉さま…お気を確かに?」
もう一人の妹が心配をしてくれた。私たちは百合十字団は互いに疑似姉妹の関係を保っており、この団のリーダーは皆から「お姉さま」と言われる。それに対して私は、下級生に対しては「妹」と呼んでいる。
その一人の妹が不安そうに私の顔を不安げに覗き込んだ。なんとも愛おしい瞳をしている。私は思わずその瞳を持つ妹の頬を優しく掴む。妹は「お…お姉さま」と動揺し、頬に朱が差して行く。ああ、美しい。
「心配してくれてありがとう。私は大丈夫よ」
妹の眼を見てお礼を言うと、彼女の頬は食べ頃の林檎のように益々(ますます)赤くなる。
「い…いい…いえ私は当たり前のことをしただけですわ、お姉さま」
恥ずかしがって、サッと後ろに妹は下がる。なんとも可愛らしいく、私のために心配をしてくれたことが嬉しいのだ。 そして私や妹達を苦しめる魔法学校が憎い!憎い!とても憎い!!
私は怒りを納めると今後の計画を話すことにした。 今日の午前中に聖堂で魔法学校との友好式典を開かれるが、我が百合十字団が式典中に奇襲をかける。その為に学園内の全ての下駄箱に憎き魔法学校への中傷ビラをメンバー全員でバラ撒いた。我が聖女学園の生徒たちにあの魔法学校とか言う悪魔の手先から守るのだ!
最近、聖女学園の生徒だけが襲われている通り事件。あれも魔法学校の連中達が犯行に及んでいると推測した。我が学園にあの魔法学校が衝突してから、襲われたり未遂で終わる事件がぐっと増えているからだ。
私たち百合十字団もこっそりと放課後に見回りなどをしているが、犯人らしい怪しい人物は見つかっていない…… メンバー数十人で見回りした後に聖女の生徒が襲われたもして、とても悔しい思いしていた。これはあやしい! 聖女学園周辺などは私たちは熟知しているのですぐに怪しい人物などを見つけることができるのだが、捕まらないのは不思議な力を使っているのでは?と思ってしまった、そうなると怪しいのは魔法学校の連中。あの方達は魔法を使える。それを悪用して私達を襲っていると判断したのだ。何の怨みがあるのかはわからないが、聖女に学校ごと衝突したのだから、大きな怨みがあるのだろう。これは聖女学園いや、キリスト様に対する冒涜でもある! だから、これは聖戦なのです!! そう私が高らかに宣言をすると妹達がパチパチと拍手をしてくれた。嗚呼、なんとできた妹達!惚れ惚れとしてしまう。
だが、そこに愛しき光景を破壊する出来事が舞い混んできた。突然この教室のドアが開いた。 我が百合十字団のメンバーの一人が立っていた。
「お…お、お姉…様…皆様方…う」
そこまで言うと、その場で彼女はヘナヘナと倒れこんでしまった。私たちは慌ててかけより介抱する。一体何があったのだろうか? 妹たちが彼女の肩をを持ち、ゆっくりと教室に運び込む。 暫くして落ちついてから彼女がゆっくりと口を開いた。
「魔法学校の奴らに…… 顔を見られたかも知れません…申し訳ありません…皆様、お姉さま……」
「…ッッ!!」
彼女には講堂でセレモニーの準備をしている魔法学校の奴らの様子を監視を担当してもらっていたが、監視がバレてしまい、奴らから攻撃を受けたらしい。怪我はしていないだろうか? 無事なようだ。落ち着いてきた彼女に聞いたら、講堂の外から様子を伺っていたが、魔法学校の女子生徒に何かをぶつけられたらしい…… 慌てて逃げてきたが心労でこの秘密の教室にたどり着くのがやっとだったと、本当に憎たらしい魔法学校だこと!
「申し訳ございません。お姉さま……」
彼女は振り絞る様にもう一度謝罪をしてきた。このかわいい妹が悪いのではない! こんな事にした魔法学校の連中が憎い。私は弱った妹にそっと手を優しく当てた。
私はここに誓おうと思う。 必ずや妹やこの聖女学園をめちゃくちゃにした魔法学校を追い出して、清く正しい聖女学園を取り戻そう!
「行きましょう。そろそろ時間ですわ」
「「「はい!お姉さま!!」」」
私の号令に妹たちは返事をした。私たちは式が開かれる講堂に足を向けた。