表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました!
87/91

86


魔法学校と聖女学園の姉妹校調停式典が執り行われる事が決定した。会場は聖女学園の大聖堂。こちらは衝突事件の時に難を逃れた場所であり、聖女関係者全員が収容できて僕ら魔法学校関係者が一緒に入場しても、お釣りが来るくらいの広さだ。


実は【魔法学校内で開催しても良いのでは?】と言う案もあったが却下。魔法学校は今の最先端現代科学や最新装備なども備えており、前回百合子達や文部科学省の関係者が来たのは異例である。機密漏洩を防ぐために部外者を入れたくないと思っている……そんなわけで聖女から会場を借りたのだ。



僕らはその式典の為に準備をしている。



「会長!! この段幕は何処にやりますか?」



「それは…… 式台の後ろに天井から吊るして!」



飛鳥会長を先導にテキパキと作業指示をしている。だが僕達の少人数でこの広い会場の装飾するのはとても大変だ。この設営が始まって丸一日経過しているが、まだ終わる気配はしない。僕も設営作業に疲れ果てそっと、額の汗を拭った。朝から動きっぱなしは堪え、僕だけではなくみんなも疲れていた。そのとき、講堂の扉が開き、講堂内に聖女の生徒達が数人ほど入室し最後に修道院姿の人が一人。あれは留分(とめわけ)シスターだ。そして彼女達は僕らをじろじろと見ている。なんだろう? そこへ飛鳥会長が駆け寄って行き、なにやら話し込む、それを見守る我々であったが会長が僕らの方に声を上げた。



「みんな! 聖女学園さんから差し入れを頂けるようです! お礼を言って貰うようにね!以上!」と飛鳥会長が言う。僕らは歓喜した。



ーーーー



「冷たい!うまい!」



差し入れされたペットボトルジュースを飲む。少し暑さも手伝って一気に飲み干してしまう。みんなも無言で飲んでいる。すると、僕の背後に人の気配を感じたので、すっと振り替えると、聖女の制服姿の百合子と佐藤さんがこちらを見つめていたのだ。

少し佐藤さんの顔が赤いのは気のせいだろうか?



「差し入れありがとう! 丁度冷たいもの飲みたいなぁ~と思っていたところだったんだ」


「そ、そうですか!! ジュースの差し入れを考えたのは私なんですよ!喜んでくれて嬉しいです!」



佐藤さんはワントーン高い声で答えてくれた。その脇で百合子もジト目で僕に話しかけてきた。



「達哉……私にはお礼とかないの?ねぇ?ねぇ」



「あ、百合子もありがとう、とても嬉しいよ」



その言葉を聞いた百合子は少し喜んだような表情を見せた…… 少しこちらも顔に(しゅ)が差したよう…それはさておき、僕は気がついた事があった。それは腕時計をしていない事である。



「あれ?百合子、今日は前に治した腕時計をしていないんだね?」



そう言うと、百合子は左腕甲の下を擦りながら、今日はちょっとヤバイと思って…… 訳のわからない事を言って来た。ヤバいとは?はて? 少し気になったが忘れることにした。



回りを見回してみると、あるところに人が群がっていた。数名の聖女生徒が少し黄色い声をあげていた。その中心にいたのはやはり信ニ君だった。



「ジュースありがとう。つけてる髪飾りのバレッタはセンスが良いね。君の美しい髪に」



「え?! そんなこと言われるの初めてですわ////」




聖女の生徒は両手で顔に手を当てて照れていた。あれ?この光景前にも見たことあるような……どこだっけかな? 僕は記憶を遡ったかが思い出すことは出来なかった残念。その代わりに自分の手の平に爪が突き刺さる程に強く握られていて、痛みが後からやって来て気がついた。なんだろう?これは不思議だなぁ (すっとぼけ)


このような魔法学校と聖女学園の交流が続いた。



「達哉さん!もう1本飲みませんか?はい!」



綾子さんが勧めてくれたペットボトル。受け取ろうとしたら、横から突然出てきた手で下に下げられた。一瞬の出来事に僕は驚き手の主を見た。そこには聖女の制服を着ているが、腕に腕章を着けた数人の生徒がこちらを睨み付けていた。思わず固まってしまった。



「綾子さん、学校関係者以外の方に物を差し入れするとは何事ですか? そして、シスター留分(とめわけ)も加わっているのはどういう風の吹きまわしですかしら?」




その集団の一人が怒りに満ちた言葉を言う。言われた佐藤さんは罰の悪い顔をしてうつ向き、あろうことか生徒に注意された留分(とめわけ)シスターもバツのアワワッと言いそうな顔して困ってしまった。 そして最後、僕の方に向かってその人物は話す。



「魔法学校の生徒様方! 申し訳御座いませんが、我が学園からご退場をお願い出来ませんか?」



え……



思いもよらぬ言葉に僕らはそこで固まってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ