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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました!
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理事長室内は一気に即席治療所と化した。僕らから見た時は、2人ぐらいかな?と思っていたがぞろぞろ入ってきて約30人ほどになった。驚く一方で途方にも暮れた。



「ど、どうしよう…… 直江さんしか回復魔法出来ないよね……」



「あら! こんなに理事長室に人が来るなんて! あわわ!」



留分(とめわけ)シスターも僕も慌てる。先ほど魔法を教えてもらおうと思ったが、こんなにも人数が来たのでゆっくりと教えてもらうことはできなくなってしまった。飛鳥会長達も困惑。



「学校に戻って、朝田君など回復魔法班を連れてくるってのも時間が勿体ないし…… こんなことになるんだったら、最初から連れてくれば良かった」


少し困った顔をしたが会長は覚悟を決めた。浅田君達は学校にいるけど、魔法学校は現在聖女学園の上空に止まっている。ここから呼びに行くのは時間がかかるのだ。



「直江さん、私たちに回復魔法教えてくれないかな? 私たち魔法使いは人の魔法を覚えることが出来ると思ってるの、それに賭けるしかないわ。アホ達哉も出来たんだから出来るわよ!きっと!」



「わかりました会長。では、1人の生徒さんに回復魔法を施しますので、みんなは見ててください」



そう言うと、直江さんは回復魔法を施す。掌から緑色のもやが傷口を覆っていく。僕らも見よう見まねで手を前に出していく。

「あっ!」と言う声が聞こえたので、そちらを向くと飛鳥会長の掌から緑のもやが出ていた。魔法成功。それから着々と残りの魔法学校生徒達も回復魔法を覚えて行き、全員が覚えることに成功した。



「よっしゃっ! では、手分けして治療していくわよ! みんな横に広がって並んで!」



会長の言葉と共に魔法学校生徒達は横に一列に並び治療を開始。 やはり、同姓の方が安心できるのだろうか? 飛鳥会長と直江さんの列は自然と人が多く並んだ。その次に信二君の所に集中。あれ?なんでだろう?不思議だなぁ… ぼくは唇を噛み締めながら、列に並んだ聖女生徒に回復魔法を施していった。治療中に回復魔法を熱心に見ていた留分(とめわけ)シスターは、阿部理事長に仕事をしろ!と言われて追い出されていった。とても残念そうな顔が印象的だった。



ーーーー。



「皆さんお疲れ様! お茶でも入れるわね、さぁ座って」




阿部理事長は疲れた僕らを労うように席に促した。覚えたばかりの魔法をやるのは正直、疲れた。MP(マジックポイント)とかもあるのだろうか? それわからないが、校庭を何周か走ったような疲労感が体を襲った。汗を袖口で拭いた。阿部理事長の淹れてくれた冷たいお茶が、体に染み渡る。僕だけではなくてみんなも疲れてるように見えた。残りのここに来てない被害者数十人は後程に回復魔法をすると約束をした。



暫くして、落ち着いた僕らに阿部理事長が話し出した。被害者生徒達の傷の治療の感謝とこれからの聖女と魔法学校の事だった。




「前の国会中継で聖女学園と魔法学校は姉妹校だと世間に公言したから、ここにいても違和感はないと思われるし……後、私達の壊れた校舎を弁償もしてくれるわよね? 灘君?」



尋ねられた校長(マスター)は少し困った顔をしたがすぐに顔色を戻し、こくんとうなづいた。



「あー、もちろん弁償はさせていただきます。はい」



「そして、もう一つお願いがあるの…… 」



阿部理事長は僕らの方を向く。



「聖女の生徒を傷つけている犯人を捕まえてほしいの! 先ほどの回復魔法を見ていたら、あなた達の力が物凄い事を見せられたわ…無理を言ってるのは自分でもわかってるけど、頼めるのはあなた達だけだと思っているわ」




阿部理事長の本命のお願い事とはこれだと思った。困ってる人がいたら助けるのが魔法学校だと思っている。僕らや飛鳥会長だってそう思っていると思うしね。



「ぜひ、協力させてください。我々、魔法学校生徒や全員で力を注ぎます」




飛鳥会長が、我々を代表するように返事をした。ここに魔法学校協力の協定が結ばれる。



「ありがとう!と言いたいんだけど、これからね…… 私達の聖女関係者や世間はいきなりの事だから怪しむと思うのよね…何か良い案とかないかしら? 」



「あー、式典などをやろうと思ってるんだ。姉妹校式典! こういう形式とか取ってると大丈夫だと思ってるよ」



校長(マスター)が良い案を出してきた。


急にあなた達とは姉妹校だ!と、言われた大所帯の聖女学園側には驚いていると思われるし、しかも校舎を壊した側でもある。不信感があるのは仕方がない。 緩和する為にはこっちから歩み寄るのは良いと思った。



「よし!そうと決まれば、盛大にそして華麗なる式典にしなきゃね! 私に良いプランがあるの!任して!」



そう言うと、飛鳥会長は足早に出て行ったのだ。また、なんかまた疲れることが起きそうだ。やれやれだぜ。

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