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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました!
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会長からの無線を聞いた後に、僕らは慌てて教室を出た。それと同時に激しい揺れと(きし)む音が校舎全体に響く。いつ倒壊してもおかしくない廊下を走った。



「あった! あれだよ」



少し離れた所に停めていたエアバイクを指差しながら僕は言った。それを見た百合子達は怪訝な顔をした。事前にエアバイクの説明をしていたが、2人にはピンと来ていないようだ。



「あれって言われても…… タイヤが付いてないじゃない?」



「……達哉さん… あれは壊れているのでは? 」



見た目はそうだ。普通の人から見たら、壊れたバイクに見えるかもしれない。 僕は不安がる二人を安心させるためにエアバイクに跨がった。そして、ゆっくり浮遊させると、それを見た二人はとても驚く。



「ね?! こう言うことだから! 二人とも乗って!早く! 」



僕の言葉に我に返り、二人はパタパタとこちらに近寄ってきた。このエアバイクの大きさは大型バイクよりも大きい。本当は駄目だが、小柄な女の子2人ぐらいなら乗せられる。だが、2人は乗ろうともしない。何だろう?と思い、振り向いたら言い争いをしてる。



「私が達哉さんの真後ろに乗りますので、百合子は私の後ろに!」



「嫌よ!あなたが後ろよ!後ろに行きなさい!早く! 」



うわぁ……。 乗り方の順番で揉めてるよ…… おいおい。 女の子って言う生き物はこんなことにも順番などに(こだわ)るんだね。そんな事をやっているとみるみる校舎が倒壊して、僕ら三人はペッシャンこだ。



「時間無いよ! 急いで!」



僕が発破をかけると、言い争いを止めて、素直にバイクのシートに乗り込んだ。シートが重さで沈んだのを確認した。



「しっかり捕まっててね!行くよ!! 」



廊下をエアバイクが走る。 後方から「きゃっ」と、悲鳴が聞こえたが気にはしていられない。早くここから脱出しなければ。焦る気持ちと後ろの2人に気を使いながら、アクセルを吹かした。もう時間がない。



自分が侵入してきた廊下を戻っていると、ある事に気がついた。さっきから僕の背中に柔らかい物…… 【感触が良い物】が当たっているのだ。これは…… 良くラブコメ漫画とかの男女に良くあるシチュエーションだ。 主人公が「当たっているぞ!」と注意すると、テンプレで女の子が「わざと当ててるのよ」と答えるあの場面…… うーむ、集中力が削られる…… そして、この持ち主はどちらだろう? 振り返っての確認など出来ないな。



うっ!!



僕が天国(しあわせ)な気分に浸っていると、背中に激痛が走った。何事かと思いエアバイクを止めて、2人を降ろした。



「危ない! 前をしっかり見て運転しなさいよ!ほら!」



「え?…… あっ!」



百合子が注意した先は、瓦礫の山になってて、侵入してきた廊下が塞がれていた。このまま進んでいたら大事故になっていたかも…… 武者震いをした。こうなると、出口がもうない。困っていると百合子の友達である伊藤さんが答えた。



「あの…… ここが駄目なら、他に思い当たる所があるんですが…… 」



恐る恐ると言う感じで話をし始めた。もうひとつの脱出候補は鐘塔。そこに行くには来た道を引き返すしかないと説明をされた。鐘塔…… この聖女学園のシンボルにもなっているレンガ造りでステンドグラスが中央にある塔であった。



「あの塔なら強度も他の校舎よりは強度があると先生から聞いたことがありますし、裏側は清掃用の出入口があるのでそこからなら…… 」



へぇ。そこしかないか……



今来た道を戻るのは怖いかもしれないが、ここに居たってしかたがない。救助に頼るのは甘い考えだと思った。



「達哉…… 」



「達哉さん…… 」



二人が不安そうに僕の名前を呼んだ。 僕は無言で頷くと、2人をエアバイクに載せる。先ほどよりは校舎全体の揺れは治まった様な気がした。これはチャンスだと思い、元来た廊下を急いで戻り始めた。


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