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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました!
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微かに聞こえた百合子の声を頼りにエアバイクを進めた。 聖女学園の内部は今回の事故でメチャクチャになっていて、木製の梁や板が鋭く突き出していたり、コンクリート片が粉吹いていて、視界も最悪になっている。あまりの悲惨さに絶望した。だが、百合子の声が聞こえたのだ。あれは聞き間違いではない! 決して! 僕は自分を信じて排他した瓦礫内を進む。




【…… だれか…】




百合子の声がまた聞こえた。彼女の近くに来ている事は間違いないと思われるが、何処に居るのかが解らない。苛立ちが募る。ここは大分、校舎2階だろうか? 先ほど倒壊していた階段を上がったので推測だが。そもそも侵入した亀裂の部分も何階だったかも解らないが、うーん。ここは何処だろうか?そして百合子は? 僕はとりあえず、エアバイクを停めた。



「まずいな…」



降り立った所も木材がバラバラになっており、先ほどの階と同じような事になっていた。足場も不安定だ。



「アホ達哉! 聞こえる! ?今どこなのっっ?!え?!」



「ひっ?!」



インカムから聞こえたのは飛鳥会長の怒濤。いきなりの出来事に声を上げた。



「会長…すいません。助けを求める声が聞こえたのでついつい聖女の校舎に……」



「もー! すごく心配したわよ!危険だって言ってるのに行くんだもんね!! 呆れたわ!」




プンスカ怒る会長を謝罪つつ、僕は幼馴染みの声が聞こえたので侵入した事と腕時計の事も説明をした。会長は不思議な腕時計の事を話していなかった事に激怒していたが、後から実物を見せると約束してうやむやにして怒りを逃れた。そして、外部からの情報を得ることに。



「ここから聖女学園を見る限りは…… うーん。倒壊など恐れはないんじゃないかしらね? 」



会長が見ているテレビの情報では、聖女生徒と職員は校庭に避難をしているらしく、そろそろ消防関係者が侵入してくるのではないかと、予想をしている。



「達哉、見つかったら大変だから隠密に行動しなさいね」



会長は僕に注意を促した。それに答えてからインカムを切った。さて、ここからは慎重に行動をする事にしよう。



この近くにいると僕は思っている。木造の壁を注意深く見ていくと…… ドアらしきものを発見した。 それを慎重に取り除くと、教室内と思われる空間が出てきた。ここだ!と思い、侵入。中は机などが散乱しており、窓は潰されて光が無くて暗い。持っていたペンライトを照らす。誇り舞う室内を区照らすと……あっ!!



うつ伏せに倒れていた女の子発見。僕は急いで体を起こしにいった。



「百合子! …… え?」



百合子と思っていた人は百合子ではなかった! 虚ろな瞳を僕に向けたまま固まっている。…… 少し可愛いなぁ



「この化け物ぉぉぉ!!」



(つぅ)!!!」



突然、僕の後ろから叫び声と痛みが同時に来た。まるで天国から地獄だ! どうやら何者かに殴られたらしい。一回目の痛みを感じている時に二発目、三発目とポカポカと殴られる。両腕で顔周辺を守っていたが、思いきって殴られている方向に振り返る。



そこには鬼の形相に聖女学園の制服を着た百合子が立っていた。 今にも手に持っている棒で僕をもう一度殴ろうとしている。殺られてしまう! 僕は慌てて被っていたヘルメットを脱ぐ。



「百合子! 待ってくれ!僕だよ! 達哉だ!!」



「こりぁ!! …… てっ! えっ?! なんで達哉がこんなところにいるの?! えっ?」



ヘルメットを取った僕の顔を見た百合子は、驚きのあまりに手に持っていた棒を落とした。そして、両手で口を覆う。 久しぶりの幼馴染みの再会は、感動的な物ではなくて、最悪な物であった。 落ち着いた幼馴染みに僕は改めて、会話をした。





「百合子、助けに来たよ! 」



「嘘でしょ!? 本当に達哉なの?!」



まだ、信じられないと疑う表情をする百合子に僕はこれまでの事を説明した。聖女学園に魔法学園が突っ込んだ事、マスコミのヘリコプターを追撃していたら、百合子の声が脳内に響いて、ここに来た事などを話した。百合子は納得をしてくれた。



「そうだったんだ…… ごめんね。 殴ってしまって」



百合子は謝罪をした。僕にとっては大したことは無いので気にはしていない。気を取り直して、この教室から出ようとしたが、後ろから僕の右肘あたりを掴む感覚があった。



「起こしてくれて…… あ…… ありがとうございます…… 」



振り向くと、顔を真っ赤にした百合子と同じ制服を着た女の子がいた。それは僕がさっき程起こした女の子だった。身長は百合子よりは低く、姫カットされた髪型や目がぱっちりしていて、可愛いと言われる女の子だと僕は思った。



「どういたしまして…… 」



「私は綾子と申します! 普通に綾子と呼び捨てで構いませんので!! 貴方のお名前はなんと言うのですか? …!! 」




綾子と言われる女の子は僕を質問攻めにしてくる。ぐいぐいと攻め立ててきたので、僕は百合子に視線で助けを願ったが、百合子は呆気にとられた表情で僕ら二人を見ていた。助けてよマジで!


そんなやり取りをしていると、教室内と床が少し揺れた。僕らは三人は顔を歪ます。そこに丁度インカムから会長の声が聞こえた。


「達哉聞こえる?! 聖女の校舎が崩れ始めてるのよ! 早くそこから逃げなさい!! 早く!! 」


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