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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました!
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数分後に辿り着いたのは魔法学校操縦室だった。

操縦室の扉前で、会長は僕の奥襟を放した。急な出来事に僕は恥ずかしながら、尻餅をついた。



「痛いですよ! 会長!」



抗議をしたが、その言葉を会長は無視をして操縦室に入っていく。渋々立ち上がって続いて入室。中の様子は先程の衝撃が無かったかのように何も壊れてもいない。たしか、ここは軍事シェルターの防護材が使われていると聞いたことがある。なるほどね。 僕が感心をしていると、操縦室内に無線が響いた。


【こちらB班! 校庭などは被害ありません。引き続き探索を進めます】



【D班です! 食堂はテーブルなどめちゃくちゃですが、班員全員で片付けをしています。怪我人などは無しで、電気ガス系統などの故障は無しです】



さっき、生徒から無線報告が何度も届く。いつの間にか席に着いている飛鳥会長がその応答に答えながら、目の前のパソコンを操作していた。



「達哉。あんたには特別任務を与えようと思うの、あれを見て」



飛鳥会長は視線をパソコンに向けたままで、指を向けた。僕は自然とその方を見る。そこにあったのはエアバイクだ。随分前に火山活動を止める時に使用した以来である。だけど、機体が少し大きくなっているような……



「前のエアバイクよりも大きくなっているし、スピードも以前よりも出る!載ってもらった人に感想など聞いて、パワーアップさせたわよ!! 」



パソコンに顔を向けたままで、会長は威風堂々と言い。なんだか不気味。僕は新エアバイクに跨がった。 少し、跨がるのに苦労をしたのは車体が大きくなったからだろう。 色も全て漆黒色になっていて威圧感が感じられる。



「達哉!跨がったのに悪いんだけど、シートの下のトランクスペースにヘルメットあるから着けてみて」



会長の言葉を聞いて、跨がるのを止めて、シートを開けた。そこにはヘルメットが収納されていた。こちらもまた漆黒のフルフェイス型だが、顔面部分は黒いプラスチックで覆われていて、開閉は出来ない仮面型と言う物だろうか? 我に従え!と、言わんばかりだ。そそくさと着ける。



「なかなか似合うじゃない! よし!そのエアバイクに載って、学校外壁の被害確認と敵排除をしてきて!」



「被害状況確認はわかりますけど…… 敵排除ってなに?」



敵排除と言う沸騰ワードが登場したので、聞いてみた。 敵とは報道ヘリやカメラことらしい。 報道などにこの学校の外側や損傷部分から機密などを撮影されると何かと困る…… ここは学校ではないな…… 機密軍事要塞だ。会長から魔法を使って妨害しろと言うことだ。



「わかりました。行ってきます」



「あら? あなたにしては素直に従ったわね。珍しい」



ここで逆らったら、もっと恐ろしい任務を課せられのではないか思ったので、素直を従う事にした。後、僕の出身地を空から眺めたいと言う希望もある。僕は新しいエアバイクに跨がり、ハンドルを捻った。





ーーー。






僕は操縦室のカタパルト発進口から勢いよく飛び出した後は、学校の回りをぐるぐるとエアバイクを操った。案の定にマスコミのヘリコプターがところ狭しと飛んでいたために、僕は魔法で妨害を始めた。会長から妨害はしていいけど、死傷者は出さないようにと言われたので、ヘリコプターの機体尾部にある小さな回転翼に風魔法をぶつけて、制御不能にさせたりして、速やかにご退場を促していく。報道カメラにも電気魔法などで壊して回り、魔法学校の撮影を妨害していった。この電気魔法が一番難しかった。下手をすればカメラマンが感電してしまうので慎重に魔法をかけていった。



一機、また一機とヘリコプターを潰していく……



「ふぅ。」



一息をヘルメット内で吐く。



一機のヘリコプターが慌てて地上に降りていくのを見守っていた。これで23機目ーーこれで最後だ。



「お疲れ様。それで最後のヘリコプターよ! 」



飛鳥会長がヘルメット内のインカムで労いの言葉をくれた。




「会長。遅れましたが、学校外装は目立った損傷などは見当たりませんでした…… でも……聖女学園は…… 」



僕が言葉を詰まらせたのには、理由がある。 魔法学校は無傷であるが、突っ込まれた聖女学園の方が被害が大きいのだ。至る所に校舎の破片が散乱し、レンガ作り校舎が魔法学校を塞き止めている様にも見えた。「凹」の形の窪みにすっぽりと魔法学校があると、説明した方が良いだろうか?支えてる側の聖女学園の耐久性にも驚いたが。



「テレビでは怪我人無しと伝えてるし、聖女学園校庭に全校生徒が避難してるみたい…… 大丈夫よ」



「はい…… 」



会長の言葉を信じる事にした。 僕は学校に帰ろうとエアバイクのアクセルを回そうと握った時だ。



【…… 誰か…】



ん? 微かに声が聞こえた。 インカムの会長の声だろうか? 会長に確認をしたら、声なんて出していないと言われた。妙だな……



【誰か…いないの? 】



今度ははっきりと声が聞こえた。これは会長の声ではない。だけど…… 何処かで聞いたことがある。



【達哉…… 】




!!!



今度は僕の事を呼んだ!! これって、百合子の声じゃないか?! きっとそうだ! あっ!!


百合子の声が聞こえるのはきっと、僕が修理した腕時計だ。百合子はあの腕時計を着けているから声が僕に聞こえてるんだ。そして、近くにいるな。



「会長すいません。ちょっと聖女学園に行ってきます」



それを聞いた会長の制止を振り切って、エアバイクを聖女学園の倒壊している隙間から滑り混ませた。


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