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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました!
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74 聖女高校編

「このヨハネの福音を三行目から読んでください。幸恵さん」



先生(シスター)から指名された生徒は席をそっと立ち、音読を始めた。六時間目の科目は聖書と言われる物だ。ここがキリスト教系学校だからこういう授業もあるし、聖書の授業では修道服を着こんだ女性。所謂、シスターが授業を取り仕切るのだ。私は最初は戸惑ったが、慣れればそれは国語に近い授業と把握をした。だが、この時間帯は辛く眠たくなる。



そんな高校生活が始まって半年という月日が流れた。



私は辛い受験を乗り切り、この聖女高校に晴れて入学した。目を閉じるとその事を思い出す。




―――― 。




本日の進路相談で担任には「君には難しい、違うところも考えた方もいいかもね」と言われたが、私は第一志望校を変える事はしなかったし、滑り止め受験もしなかった。何故に私がこの高校に入学拘っていたのかと言うと、私の母や祖母がこの学校のOGであり、私は幼い頃からこの学校事を聞かされて育ったからだ。校内は国立公園の様に深緑が多く自生しながら、目映い大きな時計台とステンドグラスが嵌め込まれている礼拝堂などが設備され、まるで夢の国の様な所だと、私は聞かされて育った。必然的に私は憧れを抱いた。絶対に入学したい…… 負けず嫌いの性格に火が着き、受験勉強にもっと力が入った。




――――。




「あった」



ノートパソコン前で私は確かにそう言った。


合格発表はネットで公表されると知らされていたので、聖女高ホームページを開き、合格者番号一覧の欄を上から下に目を動かし捜索。 そして、とうとう自分の番号を発見したのだ。


自宅のリビングには私が一人だけだったのでこの声は自分しか聞いていない。それまでの緊張感が糸切れて、私は後ろに上半身を倒して目を閉じた。 あれほど私が受験は無理難題と言っていた担任の顔が浮かんで消えた。【ざまあーみろ、べー!!】と、心の中で見返してやり、片腕で両目を覆った。自分の体温を感じながら、やりきった充実感と疲労感が覆った。その時、手首に着けていた腕時計の冷たさに気がつく。



達哉は元気にしているだろうか?



この腕時計を直してもらってからは、達哉とは会っていない。 クラスも別々なので、なおさらである。中学卒業式では彼の後ろ姿だけを発見したが、別に声をかけようとか思わなかったし、私も私用で忙しかったのだ。今思えば、最後の会話ぐらいはした方が良かったかなと、後悔はしている。



合格したからの余裕が出たから、こんな事を考えたのだろうか? 私はまたゆっくりと目を閉じた。




――――。




「…… さ 百……さん、百合子さん。聞いてますか?」




私の白昼夢か回想を呼び覚ます先生(シスター)の声が、私を呼んでいた。慌てて返事をして席を立つ。




「百合子さん…… もういいです、この問は他の人に答えてもらいますので」



「……はい」




呆れられた先生の顔を見ながら、赤面顔で席に着いた。なんとも恥ずかしい失態を出してしまった。 少しばかり、回りがざわついた。



「百合子…… 大丈夫? 」



ひそひそ声で私に声をかけてきたのは、隣の席の伊藤綾子(いとうあやこ)だった。彼女は私がこの高校で最初に出来た友達である。 顔が小さく、色白でしっかりと自分の主張をする女子。彼女は初等科からこの学校に通っているので、何も知らない私にこの学校の事を教えてくれた恩人でもある。【ちなみに私の祖母と母は高等部から入学をしている】



私は綾子に「大丈夫」などと言うジェスチャーを送ると、今度こそ授業に集中をした。だが、達哉の事を思い出したの何故だろうか?



「シスター…… あれは何ですかね?」



一人の生徒が言った。



問いかけに答えて先生(シスター)が聖書から顔を上げると、声を放った生徒を見る。その生徒は窓をそっと指を指していた。



そこには、空を飛んでいる大きな飛行機…… いや、大きな塊がこちらに突き進んで来るのだ。 段々と姿形が大きくなってこちらに来る。 教室中……いや、校舎中から声が響いている。



「…… メシア…あれこそがメシア…おおっメシア!!」



先生(シスター)は自分のロザリオを握ると、メシアと連呼をしていた。 ……違うと思う。 そして、その大きな空を飛ぶ物体は段々とこちらに近づいてくる。その大きな影が私たちのいる校舎を寄ってくる。



不思議とパニックなる人や逃げ出す人などは見当たらず、私もその人間の一人だった。呆然と見ていた。




ガリガリガリッッッ!!!



「うわぁ!!」




大きな衝撃音が学校中に響くと、やっと事の重大さに気がついた人間達が悲鳴を上げた。 その後に逃げる足音、倒れる生身の音などが私の耳に入って来た。地震を受けた様な揺れも感じた。



私は大きな揺れで足元を崩し、その場に倒れてしまった。…… 打ち所が悪かったのだろうか? 目の前が暗くなっていく……


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