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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
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気配を殺しながら校庭から移動した。実は魔法学校野球部視察が本来の目的ではない。 視察を理由にこの学校に侵入し、内部を調査するのが本命。 …… ここまで来るまで誰にも見つかってはいない……



【操作室】と書かれた部屋の前まで来た。

ここまで順路は陸自の岩間から聞き出していた。 彼の甥はこの魔法学校の生徒であるらしいので、構造など施設の設置場所などを聞いたらしい。 何にも疑いもせずに身内に話してしまうとは…… 恐ろしい! 私などは絶対にそんなことはしないっ!!



厳重に扉はセキュリティロックされていると思ったが、私が近づくと扉はすんなり開いた。…… 今日はツイてるな。





ーーーー。




米国(アメリカ)の航空母艦の司令室だなこりゃ…… 」



岩間からある程度の情報は得ていたが、ここまで凄いと思ってはいなかった。この魔法学校の建設に税金が投入されたが、あれは地方県の約2年程の予算だったので、気にはしていなかったが、私の眼にはそれ以上の予算が入っているようにも見える…… 謎だ。


そう疑問に思っていると、ふと自分の眼に入った機械に驚愕した。



「これはっっ! ジェネラル・ウェポン社のレーダー2200X!! 」



米国軍事会社が開発した軍事機械である。 これは先程の中東内戦で活躍した最新レーダーであるが、ただのレーダーではなく人工知能搭載であり、自己判断で危険を察知して最善な判断を下すと定評を得ている。 ……これは輸出制限がかけられているのに…なぜだ?



「なっ! あれは光化学MMD通信機! これは高速マテリアル超音波センサー!!」



思わず大声を上げてしまう程に最新の機器が所狭しと並んでいる。 まるで、軍事機器のショールームに来たような錯覚に陥った。



「これは……まずいな…戦争でもする気か? 」



額に流れた冷や汗を拭った。



こんな物が我が国の日本国にあることに驚き、そして、危機感が同時に沸いた。やはり、この魔法学校はあまりにも危険過ぎる。 この事は各省庁に報告しなければ……




「文科省大臣…… 探しましたよ」



「っっっ!!!」




いきなり呼ばれたので驚いて声も出さなかった。 呼ばれた方に振り返ると、一人の青年が立っていた。




「い いや、道に迷ってしまって偶然にここに…… 」



「へぇ…」



怒るどころか青年は私な方を見てニコニコしながら語りかけてきた。



「ここは我が魔法学校の心臓部とも言える操作室と言われる場所です…… 学校に操作室があるってのも不思議ですよね?」



「……ああ」



大人の私が只の少年に狼狽(うろ)えた。そんなことを気にすることなく、彼は話を続ける。一体何を考えている?



「ここにある精密機械は製造元から直接交渉して購入した物です。 米国(アメリカ)露西亜(ロシア)などの企業から…」



「それはおかしい! 軍事機械などは相手国によって厳しい輸出制限がかけられているはずだ!!いくら戦争放棄している我が国でもダメなはずだ!」



まだ高校生になったばかりの少年に私は声を荒げた。そんなことに動ぜずに少年は真っ直ぐに私を見つめられた。



「勘の良い大臣なら気がつくと思いますが… 総理大臣(マスター)の特権などは使っていませんよ。先代の総理大臣にいましたよね…… その後彼は失脚した…… この間の授業で習いました」



ではこの機械はどうやって手に入れたのか? 私は首を捻るしかなかった。



「ヒントは…… うちの学校の生徒会長は吉沢飛鳥と言います」



「吉沢……あっ!! あの吉沢かぁ!!!」



吉沢と言う名字はあまり珍しいとは言えないが、【あの吉沢】なら話は違う。 四井・菱元・吉沢と言われる旧三大財閥の一つだ。 吉沢財閥は勿論、先程の戦争後に米国から解散を命じられたが、その後、なんとか法の網をすり抜けて結託して返り咲きを果たした。……確か、鉄鋼類に強いはずた。



「そうです。会長はあの吉沢一族本家のご令嬢です…… 自分で働きかけて、この精密機械を手にいれています…… 俺も凄いと思いました」



「そう言うことか…… 」



吉沢財閥なら米国(アメリカ)露西亜(ロシア)などとは貿易などをしている。 だったらそのコネクションで手に入る。企業と個人の交渉なら問題はないはずだ。



「おっと、口が滑りすぎました。では大臣、出口までお送りいたしますね。この学校はとても複雑な作りをしてますから」



「ああ、頼むよ」



そう言う彼に私は着いていった。……勿論、出口の場所なんて知っている。






ーーーー。





大臣を学校出口まで見送った後に会長に電話をした。





「もしもし会長…… やはりあの人は動きました。会長の予想通りで」



「高野連に引っ付いてくるのが怪しいと思っていたし、あの人(大臣)は焦臭い噂があるし、何か企んでいると思ったわ」



少し低い声で飛鳥会長は電話口で話す。


今回の件は会長から直々に頼まれた。学校に来たら文科大臣から目を離さずに徹底的にマークしろと。最初は疑っていたが、案の定に迷わずにあの操作室に彼は行ったのだ。 これはいけないと思い、大臣に釘を刺したのだ。 やはり、飛鳥会長は勘は鋭い。



「後…すいません。 会長があの吉沢財閥のご令嬢だと洩らしてしまいました」



「…… それはいずれはバレると思っているから良いわよ…… あとご令嬢とか言わないでよ! それが一番イヤなの!!」



もしもの時は会長の身分を明かしても良いと言われたので使った。 大臣が狼狽えている様子を見たら、吉沢財閥は凄いんだなと思った…… まぁ、俺は名前ぐらいしか知らないが……



「今後も警戒は必要ね。 後、エアバイクとかは隠してくれた? あれを見つけられると厄介だし」



「ええ、隠しましたよ…… と言うか、操作室のロックを外してましたよね? 」



「あれはわざとよ! 少しはあの中を見てビビったんじゃないかしら?」



少しは抑止力になったのではないだろうか? これで、奴の動きが鈍くなる事を願おう。



「では、信二君お疲れ様!これであなたの任務は終わりよ!」



「はい。会長! あと……」



言いかけた時に電話を切られた。



エアバイクを隠すのに相当な時間がかかったと、文句を言おうとしたが……ま、いっか。



スマホをポケットにしまうとは、俺は寮に戻った。


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