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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
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「というわけで、マネージャーの紹介も終わったので解散!」



「みなさ~ん♥️ これからよろしくねぇ♥️どんだけぇ~♥️♥️」



会長の発言で解散となった。 日は黄昏時を指しており、オレンジが皆の顔に反射をしていた。学生寮に帰った。




――――。




「いろいろな事が1日で起きてしまって、疲れたね」



「そうだね。俺もだ」



僕は汗だくなったジャージを脱ぎながら、ルームメイトの信二君に話しかけた。先にシャワーを浴びた信二君も疲れを顔色に出していた。



「そういえば、夏の高校野球っていつから始まるの?」



あまり野球を知らない僕は他人事の様に、信二君に質問をした。信二君は嫌がらずに答えてくれた。



「最初は北海道とか沖縄などの最北南端から地方大会をやるよ。それから、関東地区とか関西地区に移っていく…… もう、早いところでは二回戦ぐらいは消化してるんじゃないかな? 」



「えっ! そうなの? それじゃ、僕達もその地方予選に参加しなきゃいけなんじゃない? 」



「…… そうだね。 俺も少しは危機感があるんだけど」



信二君はタオルでガシガシと髪の汗を拭きながら答えた。 目は真剣だった。



うーん…… この魔法学校野球部ほとんどが飛鳥会長のわがままと言うか、独断と偏見で進んでいる。 まさか、会長は予選とかを通過せずにいきなり甲子園に出場出来るとかは思ってはいないだろうか? …… あり得るかもしれない。 校長が現役内閣総理大臣である。 まさか特権で参加する?



「達哉君、テレビ点けるね」



信二君はおもむろにテレビをつけた。



【今年も甲子園地区大会が開幕しました】



噂をしていると、その話題が飛び込んできた。


画面上の日本地図には都道府県ごとに代表高名が掲げられる様な仕組みになっているが、まだ何にも書かれていない。



「沖縄の地区大会 …… あれ? 雨降ったから中止なんだ」



信二君が画面をテレビを見ながらボソッと呟いた。 対戦する高校名の間に【雨天順延】と文字が並んでいた。



【今年の全国高校野球大会地区大会は異常気象により悪天候などで順延が多く出る可能性があります! 高校球児の皆さんはそんな困難にも負けずに頑張ってください! 続いては文部科学省は…… 】



当たり障りのないアナウンサーの言葉によって、高校野球ニュースは終わった。



「俺達もそんな困難に負けないように頑張ろう。よっと、」



信二君はテレビのアナウンサーの言葉をそのまま繰り返した後に立ち上がった。髪の毛を拭いていたタオルを戻そうと、脱衣場に歩き始めた。「あ。良いよ! タオルは僕が持っていくよ」と言おうとした瞬間。





ゴゴゴゴッ!!





「「うわっ!」」



突如の地震が僕ら二人を襲った。


地震と言うより、横から遠心力が掛かったような…… ジェットコースターの強いカーブに差し掛かった遠心力に近かった。揺れは一瞬で終わった。



「信二君!! 大丈夫?」



「…(つう)っ! 、舌噛んだ」



僕らが倒れた体を起こした時に、頭上にあるスピーカーから放送が流れた。



【ごめん! ちょっと用事を思い出したから、学校の方向進路を変えさせてもらったわ! 進路は東京です】



飛鳥会長の悪気のない声が魔法学校中に響いた。




「会長…… 最初に放送をして、注意を呼び掛ければ良かったのに……いてィ 」



信二君が口を押さえながら、小さな声で喋った。 そういえば、この魔法学校は空を飛ぶ移動式建物なので飛んでいる。いつもなら自動運転でしているが、たまに会長みずから操縦桿を握ることがあるらしい…… さっきより心なしか、建物のスピード感が上がっているように感じた。



「何故に東京へ向かおうとしているのかな? 」



僕は信二君に尋ねた。



「うーん…… わからない」



まだ痛みがあるのか、彼は口数が減っていた。 その時、僕らの部屋の扉が開いた。



「ごめーーん!! お邪魔するね! 飛鳥からの伝言です! 明日は10時に校庭に集合だそうです! 」



そこには高橋さんがニコニコと笑いながら出現していた。 頭から大量の出血をしながら……



「高橋さん…… 頭…… なんで怪我してるの?」



「あ、これ? さっきの学校の方向転換の時にテーブルに頭をぶつけちゃったの! 大丈夫だから! こんなのかすり傷だよ! へへ!! 」



笑いながら答えてくれたが、ドクドクと額にかけて流血している……



「とにかく… このタオルで止血しなよ! 使ったらタオル捨てちゃって構わないから」



信二君から受け取っていたタオルを渡した。 「ありがとっ!! 」と、言いながら高橋さんは受け取った。



「あっ! まだこの伝言を回さなきゃいけなんだ! んじゃまたね! タオルありがとっ!!」



ピュー!と、言いそうなぐらいの猛ダッシュで彼女は消え去った。 あの怪我は大丈夫だろうか?



「やれやれ、また明日から忙しいことになりそうだな」



落ち着きながら、信二君は答えた。



「………うん」



小さな一言しか僕は返せなかった。そして、ここでの東京へのいきなり移動…… 明日はどうなるの?





ーーーー






「あー…… 飛鳥君、高校野球連盟にはこちらから連絡したよ。来てくれるってさ」



「マスター! 有り難うございます! すっかり忘れてました」




ここは魔法学校操縦室。 今の時間は自動操縦になっているが、 会長がある用事の為に手動で運転をしている。 その傍らには、魔法学校校長の姿。




「あー、だけど、飛鳥君らしくないね。高校野球連盟に加盟許可を取っていないとは…… 書面とかでやれるがね」




「これは私のミスです…… もう時間がないので、直接高野連に観てもらって許可を取る。そして、適当な地区大会予選に潜って勝ち進み甲子園に」




「あー、強引だね。 予選でも激戦だと思うが…… 本当に大丈夫かい?」




軽く校長は言った。それに半比例して飛鳥は言った。



「大丈夫です!!! 私達には魔法があります! この力で甲子園初出場優勝なんて簡単です!」



「あー……」




圧倒して校長は口がすぼんだ。



夜の魔法学校は東京上空へと迅速に舵を切っていた。


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