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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
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「 …… 今度は僕ですか? 」



会長から指名されたのは僕。 そう、佐藤達哉である。 こうゆう事には慣れてしまっていたので、落ち着いた返事ができた。



「僕はどんな事をしたら良いですかね? 会長」



「あら? もっと嫌がると思っていたけど、アホ達哉にしては潔いわね? 期待して損しちゃった! ちょっと残念」



会長はオーバー気味に両手を上げた。



【ちょっと残念】って発言に少しイラッとしてしまったが、大人になろうと心で言い聞かせて落ち着つかせた。ドンマイドンマイっっ 落ち着こう……落ち着こう。 冷静さは大切だ。



「あんたにやってもらう事は簡単よ。 まずはこれ持って」



会長から渡されたのはバットだった。



僕は何も疑いもせずに、会長からバットを受け取り、じっと見つめた。



「よろしい! では、そのバットをあんたの氷魔法でカチカチにしていきなさい! 氷の層を何重にも重ねて太くするのよ!! わかった!?」



なんだそれっ?! なんでそんな事をするのかと思ったが、黙って命令に従うことにした。 だけど、上手く行くだろうか? 考えても仕方がないと思い、僕は両手でバットを持つ部分を強く握る。 それから、頭の中で氷がバットを被うイメージを膨らます。




ビキビキッッビキッッッ




「ッッ!!! 」




驚いた! クレパスを砕くような音が聞こえたと思ったら、自分の握っているグリップ部分からヘッドに掛けて太い氷が出現していたのだ。 バットは氷の槍のように見える。



「出来ました! 会長!!…… ってあれ? 」



興奮して会長を見たが、会長も含め回りの人達は僕と同じようにしてバットと、にらめっこをしている。 …… 大声を上げた自分が恥ずかしくなった。



「しっ!! 少し黙ってて達哉! あんたが出来るのは何となく解ってたわよ、 問題は他のみんなも打席に立つんだから、これは出来ないと試合にもならないから」



会長はそれだけを言うと、また手に持っているバットに視線を戻した。と言うか、いつ人数分のバットをみんなに渡したのだろうか? 僕が氷魔法で成功できなかったらどうなっていたのだろうか?



「うわぁ〰い! 出来たよぉ! 見てみてぇ!! みんな見てよ!! 」



高橋さんの陽気な声が響いた。 みんなは高橋さんに注目。 勿論、僕も見た。



物凄く驚いた。 高橋さんのバットはまるで巨大な氷アイスの様な形をしていたからだ。 ヘッド部分が四角い氷で団扇状態! 高橋さんは片手で持ち上げて、自慢げに僕らに見せつけている。まるで漫画の様だ!!



「理恵! もうちょいまとまった形にはできないの?! それはバットではなくて、アイスキャンディみたいよ!! 」



「はいはぁーい! もう少し達哉君のバットみたいしてみるね!」



そう言うと、高橋さんは氷バットの形を整える。 その他の人も氷魔法が出来るようになっていて、続々と氷バットを量産されていた。 …… 僕の魔法って他人にも真似が出来るの?




―――。




「よし! そろそろこの練習は止めましょう! 時間も時間だしね!!」



気がつくと、回りは夕暮れになっていた。 会長の一言で、氷バット製作練習は終わりを告げた。 結果的には全員が氷魔法が出来ることが解った。 最後に代表して会長がバットでボールを試し打ちをすると、 打つ面積が大きい為に簡単にボールに当てることが出来た。これなら、空振りも無くなるし女の子も簡単に打てる。 だけど…… 野球のルール的にはOKなの? これって?



僕だけが疑問視していたが、他のみんなは会長のアイディアに逆らわずにしていた為に、僕もそうすることにした。


…… バットを氷河で覆って面積を広くして、球を当てやすくするだろ? 誰だってそーする。 ぼくだってそーする…… 【一部地域では】




「みんな、今日の練習はここまでにします! ではかいさ…… あっ! 忘れてたぁぁ!」




終わりの号令をかけようとした会長の口が途中で止まった。 どうやら忘れていた事あったらしい…… 帰ろうとしていた僕たちもその声に驚いて会長の方を向いた。




「すっかり忘れてたぁ! この魔法学校野球部にマネージャーが入ることになりましたぁ!! 本当は東さんがマネージャー志望だったけど、選手に専念してもらう為に改めて新規募集してたの!! そしたら、志望者が出てきて、マネージャーやってもらう事になったから!! ……男子達喜べ!!!」



なんだとっっっ!!



最後の「男子達喜べっ!」という一言が気になる!! まさか…… 女子マネージャーなのか?!




「「 ごくりっっ…… 」」




何者かの固唾を飲む音が聞こえた。


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