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いきなり着けたテレビから衝撃的な言葉を聞いた。まさか、僕と同じように氷や火が出せる人がいるなんて…そんなことを思いながら、写し出されたニュース番組を母と共に食い入る様に見だした。
[××県の少年K君(15)は、二日前の夜から異変に気がついたと話しています、トイレから出て、手を洗おうとしたら、突然両手の掌から湧くように水が出てきて、驚いたそうです!]
…え?
[また、×県の少女Aさん(15)は、夏休みを利用して、家業である農家の作業を手伝っていたところ、畑の近隣にある山奥から一頭の熊が突然出てきて、Aさんに襲いかかりました!Aさんは、熊にビックリして両手をかざしてしまったところ、掌から電流の様なものが放たれて、熊に直撃!熊は額から血流して絶命していたらしいです。幸い、Aさんにケガはありませんでした。]
…なんだと?
それらの報道ニュースに僕は驚いた。僕と同じように、掌から何らかの超能力(?)的なものを出す人間がいる!場所はそれぞれ違う所に住んでいる少年少女達。そして、僕と同い年。
…
一体何が起きているんだ?
トゥルル!トゥルル!
僕達がテレビに夢中になっていたら電話が突然鳴った。
一瞬、ビックリしたが、僕はソファーから立ち上がり、受話器に手をかけた。
「は はい、佐藤です」
「佐藤さんのお宅ですか? 」
あ!この声は病院の先生だ。
「……その声は達哉君だよね? 」
「そうです! 僕です」
「丁度良かった。…今テレビとか見てるかな? 」
「ええ…今見てますよ」
「驚いたよね。君と同じ様に不思議な能力を持った人達が報道されてたからさ、一応、報告を」
「……お気遣い…ありがとうございます……」
「ショック受けてるよね…… 」
「いえ、ショックよりも…あの子達と友達とかになれますかね? 」
「ははは!君は面白いこと言うね! 」
「僕は本気ですよ」
そんなこんなのやり取りをおこなった後に、先生は本題を切り出してきた。
「君が帰った後に私は研究機関に、君の事を報告した」
「報告書にまとめて提出するんじゃなかったんですか? 」
「いや、これは世紀の大発見だと思ってね。電話で報告をしたんだ。報告書は後で良いと考えてね」
「そうだったんですか……」
「そしたら、驚いた事を聞いたよ」
「驚いた? 」
「研究機関の人間からまたですか!ってね」
「またですか?とは? 」
研究機関には、日本各地の医療関係施設などから電話が鳴りっぱなしだったらしい その数は約40件!内容は、患者の掌からの不思議な超常現象の報告であった。そして、その患者は皆、15歳の少年少女達。(ちなみに、僕は20番目の報告者だったらしい)
……
「おーい、達哉君聞いてるか? 」
「……聞いてますよ」
「君にはその内研究機関から連絡があると思うよ」
「……どうすればいいのですか? 」
「あっちもいきなり警戒とかはしてこないと思うんだ。相手は15歳の子供だし、こうやってメディアにも報道されてしまったからね」
「なるほど」
「心配しなくても大丈夫だから」
「わかりました。連絡ありがとうございます」
カヂャ。
受話器を降ろした後に、僕は恐怖と好奇心を感じてしまった。【僕はどうなってまうのか? 】という恐怖と【僕と同じ事が出来る人達がいる】という好奇心。
……
ふと、顔を上げたら、心配そうにこちらを見ている母の顔を発見してしまった。
僕は【心配ないよ。大丈夫】という微笑を母に向けた。