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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
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「高橋さんもう少しだから! しっかりしてくれ!」



「ほら、もう少しで保健室だからね」



「あぅ~、もうだめぇぇ」



僕ら二人は彼女の肩を担いでいるが、もう一歩も歩けない状況まで悪化している。なんとか、僕ら二人で励ましながら引きずって歩みを進めていた。



「保健室に着いたら、直江さんに見てもらおう。 返事はしているから大丈夫だと思うけど…… もしもの時は魔法で治してもらう」



「それが良い」



これからの予定を確認しつつ、保健室に向かう。




―――。





「大変です! 高橋さんがこんなことにっ! 」



保健室の扉を急いで開けると大声で叫んだ。



「しっ!! ちょっと静かにして!」



注意を促したのは、真木先生であった。真木先生は僕らをジェスチャーでゆっくりと手招きをして、入室させた。



「すいません、先生。 保健室では静かにしますので…… 」



「違うのよ……あっちのベッドを見てみなさい」


先生が指差した方に見た。そこには、今まで探していた、飛鳥会長がゆっくりと寝ていたのだ。



「っ!! なんで? 」



「私もビックリしちゃったわ。 あなた達が来る数分前に来たのよ。 急に疲れたって言って、直ぐに寝ちゃったのよ」



ベッドをもう一度確認すると、確かに飛鳥会長であった。ゆっくりと呼吸をしながら、寝ている。 僕が目線をゆっくりと上げると、丁度、会長の寝ている頭の上で掌をかざしている直江さんを発見した。 彼女の掌からは緑色の靄をゆっくりと出して、会長を身体を覆い包もうとしている瞬間であった。



「一応、大事を取って、直江さんの魔法をかけてもらってるの。 外傷とか無かったんだけど…… 」



「ビックリしましたよ。 何処に行ってたんですかね? 」



真木先生と僕はヒソヒソと飛鳥会長を見ながら話をした。 僕がここから見る限りでは、疲れて寝てしまったと見えたが、少し、気がかりな所を発見してしまった。




「飛鳥会長…… 泣いたんですかね」



本人に聞こえない位にボソッと、呟いた。 目の回りが少し赤い。 その下の頬は保健室の蛍光灯によって、涙筋がうっすらと見えたからだ。…… 結構泣いたのかな?



「ここに来た時も、目を真っ赤にしていわ。 声も鼻声だったし…… 私は飛鳥さんに何があったのかはわからないけど…… 彼女、追い詰められていたのかも知れないわ。反省しなきゃね…… その原因は私達なのかも」



「……」



真木先生の言う通りなのかもしれない。飛鳥会長は魔法学校の為に頑張っていた。 会長が企画した野球部創立も、彼女の思い付きではなくて、学校生活を盛り上げる為だったとも考えられる。けど、 ここで僕に対して、あんな態度を取ってきた会長も悪いと思っている。山形君の魔法を知らなかったんだ。 しかもだ! 信二君と高橋さんがやられていたのに「頭使って戦えっ!」って言われても……




僕の頭の中は堂々巡りになっていた。怒りと反省が入り乱れ、混乱した。



「達哉君の考えている事も分かるわよ。 争いに答えなんてないんだもん、さぁ、考えることを止めなさい」




真木先生はゆっくりと話した。その言葉に救われた様にも感じ、僕はゆっくりと頷くと思考力を止めた。飛鳥会長から視線を外す。あと、何か重要な事を忘れているような……



「あ!」



思わず声を上げた。ここに来た本来の目的は高橋さんの治療だった。すっかり忘れていた! ふと、後ろを振り返ると、信二君が高橋さんを丸椅子に座らせていた。 まるで、ボクシングの休憩(インターバル)を取っているように見えた。 首をがっくりと下げ、「燃え尽きた……」と、言わんばかりに見えた。



「大丈夫かな…… さっきよりも酷くなっているような……」



「意識は辛うじてあるから…… きっと大丈夫だよ」



その後に、会長を治療していた直江さんが来たので、高橋さんの治療を頼んだ。 直江さんは会長の治療に専念していたので、高橋さんを見たときはビックリしていた。 一旦、慌てていたが、直ぐに魔法で治療を始めてくれた。



「 飛鳥会長がいきなり戻ってきた時もビックリしたけど…… 高橋さんがこんなことになっているのにも驚いたわ。 一体何があったの? 」



直江さんは高橋さんの頭を触るようにして、掌から緑色の(もや)を発生させていた。(もや)に包まれる高橋さんの顔は少し安堵になったようにも見えた。



「まぁ…… 色々あったわけで」




…… 言えなかった。



高橋さんが猛ダッシュの末に壁に衝突したなんて。小学生位なら解るが、高校生にもなって…… 僕は高橋さんの名誉を守るために誤魔化した。色々考えている内に直江さんの治療は終わった。 緑色の靄はすっかりと無くなっていて、包まれていた高橋さんの表情は先程とは違って安堵になっていた。



「よし、これくらいで大丈夫かな? 外傷とかは無かったけど、念入りに魔法はかけたし、 ベッドに高橋さん移動するから手伝って」



直江さんからのお願いで、僕は高橋さんをベッドに運んだ。 その時に丁度、真木先生が声を上げた。



「あら?! もう、こんな時間だわ〰どんだけぇぇ〰 そろそろあなた達は寮に帰る時間だわ」





その発言と共にふと、壁に掛けてある時計を見たら、18時ちょっと前に針が差し掛かっていた。 夢中で会長の捜索をしていたので、時間などは考えていたなかった。時間の速さに驚いてた。



「さぁ、帰りなさい。 この二人の事は先生が見ていてあげるから」



「でも、真木先生も帰るのでは? 」



「帰るって言っても、私はこの魔法学校の職員寮に住んでるから、自宅がここなの。 今は地上での仕事は絞ってるけどね! どんだけぇ〰 岩間君も山形君もとっくに帰ってるからね」



そう言えばそうか。 この魔法学校が空を飛べるし、今も低空で飛行中なんだよなぁ…… 職員も住んでいる事にも納得出来る。



「それじゃ、僕達は帰ります。 あの二人の事をよろしく」



「大丈夫だから、後は任せなさい」



真木先生の言葉を信じながら、保健室を後にしようと思った。少し気になったので、飛鳥会長の様子を眺めた。



ベッドの脇の窓からは、夕暮れの茜色をバッグに雲が優々と流れていた。 夕暮れの光が飛鳥会長の顔を染めていた。頬の涙筋は光のお陰でバッチリと見えた。表情は寝ているのに…… 愛おしい見えた。



「達哉君。そろそろ帰ろう」



信二君の声で我に帰った。 会長から視線を外し、保健室を後にした。



会長とは一度、話した方がいいな。


僕は帰路の寮に延びる廊下をそう考えながら歩いていった。


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