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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
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『バリッギギッガガッッ!!! 』



僕の右頬を物凄い光と音が(かす)めた。



どうやら、僕が無意識に顔を左に背けたら、山形君の魔法が外れたらしい。少し焦げ臭い物が後方からしたが、 これが顔面に当たったら…… と思う、『ゾッとする恐怖創造』の方が勝ったので、確認もせずに僕は山形君の顔をずっと見ていた。



「あれ?! 外したなぁ。 今度は思いきって顔面を狙ったんだけど…… 駄目だったなぁ…… 残念だ」



予想外だったようで、山形君は残念がっていた。まるでゲームを楽しむ子供の様に……



「や…… 山形君…… もう、止めない? これってゲームじゃないよね? もう、殺し合いに近いよ、これって」



「別に辞めてもいいけど…… それでは、俺が野球チームに入らないよ? え? それでもいいの? 」




………… 人の足元を見やがって。



怒りが沸いた。 自分でもあまり怒らない人間だと自覚しているが、あの発言は正直ないと思う。 簡単な賭け事だと甘く見ていた自分も馬鹿だと思ったけど、山形君は二人の負傷者を出している。 これは度を越えてるし、即刻中止にして、二人の回復に力を貸した方が良い。 僕は山形君に負けを宣言しようと思った。



「山形君…… そっちの



『ぐぐぅ~…… ぐぐっ』



その時、何か可愛らしい音が鳴った。



この場に似つかない音…… これは人間の体から鳴る生理現象だ、これは空腹に鳴る腹の音。



僕は【自分が鳴らしてしまっただろうか? 】と思い、腹を両手で覆ったが、どうやら、自分が奏でた訳ではなかった。ふと、回りが気になったので、岩間君や真北先生の顔色を伺った。 岩間君は真っ赤な顔をしているが、首を激しく降って犯行を否定。 もう一人の真北先生の方を見たが、首を傾げて、両手を天に仰いだ。




…… この二人ではない。 では何処から聞こえたのだろう?




「ごめんごめん。今のは俺のだ。ずっと寝てたから朝から何も食べてなかったんだよなぁ」



山形君は少し顔を赤らめながら言った。



「なんか食べる物ないかなぁ……」



山形君は左手を座っているベッドの脇にかざした。 掌は黒く光輝き、そこからいろんな物が飛び出してきた。



教科書、筆記用具、折り畳み傘…… 等々が小さな山が出来るほどに物が積み重なっていく。



「あー !! ろくな物が出てこないなぁ! 俺は食べ物が欲しいのになぁ。 数日前に学食にコッペパンを失敬をしたから、あるはずなんだけどなぁ」


小さな山はガラクタの山の用になっていく、僕と他の人は奇妙な光景に釘付けになっていた。 じゃらじゃらと音が保健室に響いていく……



「あ! そろそろ出てくる!よっしゃ! コッペパンが…… 出てきた! うわ!」



目当ての食べ物が出てきたのだったが、それはパンの形をした黒い物だった。 明らかにカビで黒くなっており、とても食べられる状態ではなかった。


山形君は、それを恐る恐る摘まんで、自分の鼻に近づけた。



「真木先生。 この保健室にはカ○キラーとかないですかね? 」



「ないわよ!! あったとしても貸しません! どうせ、そのカビパンにかけるつもりでしょ?! そんな事したら、あなた死んじゃうわよ! どんだけぇ~!! 」



「ですよね」



ガッカリした山形君。 それから、彼の腹の虫は唸りを上げ続けた。



「あーー、限界だよ。 誰か食べ物を持ってる人いない? 」



保健室内の人に尋ねたが、返事はなかった。沈黙が訪れようとした瞬間に、後ろの方で、ドアが開く音がした。振り替えると、飛鳥会長が立っていた。



「何してるの?! 大きな音がしたから、気になって来たら…… どうやら、大変な事になってるらしいわね」



勘の良い飛鳥会長は、治療を受けている二人を見て気づいたらしい。 その視線を二人から、ベッドにいる山形君に向けた。



「あんたがやったの? 」



「そうだよ。 ここにいる人達と勝負してるんだ。俺をこのベッドから一歩でも動かせたら、野球のメンバーになるって言う賭け」



「へえ。 そこから、動いてないって事はまだ、続いてるの? 」



「いや、今は中断してるよ。俺が腹へり過ぎて、待ってもらってる」



飛鳥会長は、山形君から聞くと、話を続けた。



「私もその勝負に参加させてもらって良いかしら? 」



「いいけど…… 手加減はしないよ」



狭い保健室で、二人の視線に火花が散った。僕は、山形君より飛鳥会長の方がドス黒い影が見えた様な気がした。



…… ここから、逃げたいっっっ!!



飛鳥会長が、ずかずかと保健室に入って来た。倒れてる二人を容態を見た後に、治療をしている直江さん達に声をかけていた。 小声で話をしていたので、ここらでは聞こえなかった。 一通りの行動をした後に、会長は僕の方に来た。



『ドスっっっ!! 』


行きなりのボディブローが僕に入った。



「何やってるのよ! このアホ達哉!

相変わらず遅いのね!」



「あがぁっっ! あ…… ああっっ!! 」



余りの激痛に僕は言葉が出なかった。不意打ちのパンチは重くて、立っているのがやっとでとても女の子が出せる様な物ではない。 会長は恐ろしい……



「そこで、座って見てなさい。 アホ達哉! 」



「はいっ…… 」



強い口調に促されて、僕は床に座った。…… 直江さんか朝田君どちからか僕にも治療をしてくれないかなぁ…… いてて。








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