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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
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「無駄だよ」



僕は確かにこう聞こえたような気がした。 山形君は右手の掌は完全に電撃を放とうとしている高橋さんに向いた。



「そんな掌を向けたぐらいで、私の電撃はぜんっぜん防げないよぉーー! やぁ!!」



高橋さんは勢い良く電撃を放った。



前に火山停止作戦の時に見た電撃よりもさらにパワーアップしているように見えた。 太く鋭くなった雷が、山形君に襲いかかった。だが、山形君の掌は光る事を辞めて、黒い小さなブラックホールの様なものが出現していた。 そのブラックホールに雷は悠々と飲み込まれていった。



「え!? うっそぉーー! 」



高橋さんは驚きの声を上げたが電撃攻撃を止めなかった。



一方、攻撃を受け続けている山形君は、右手をそのままにしながら、 左手で後頭部をカリカリと掻いていた。 余裕の表情と共にだ。



「うーん、俺はまだ余裕だけど続けるか? 雷女?」



「むうっ! 私は雷女じゃないよ! 高橋理恵って名前だもん! あったまにきたぁ! その黒いヤツなんか壊してやるぅ!! 」



カチンと来た高橋さんの電撃はもっと威力を増していく、回りで見ていた人間は、目を腕で隠したりして、壮絶な死闘を見守っていた。




「うっ! 目がぁ! 目がっっ!」



何処かの大佐の言葉を言ったのは、岩間君だった。 岩間君は限界だったらしく、その場で土下座の格好しながら、地面にうずくまった。





「やばいなぁ! このまま行ったら、二人とも怪我どころじゃなくなる! 止めよう 」


信二君が真っ先に動いた。 信二君は腕で目元を隠しながら、高橋さんの背後に近づいていった。 ゆっくり、ゆっくりと、近づいて行き、高橋さんの肩に手を置いた。



「やめろ! 理恵! 」



その大きな声で、高橋さんは電撃を止めた。 いきなり止まったので、見ていた僕の目はチカチカしていた。



「あー!! 止めないでよ信二君! もうちょっと威力上げようと思ったのに……むぅ」



膨れっ面の高橋さんは、悔しそうに言った。 ……まだ威力を上げられるなんて、僕は高橋さんを決して怒らさないようにと、心に誓った。 一方、協力な電撃を食らっていた山形君はなにごとも無かったように、そっと、右手を降ろした。



「あら? もう終わりかい? 初めて魔法を受けたけど…… 大したことなかったな」



「大したことないとはなんなのぉ! ムカつくぅ! うーー」



高橋さんは本当に悔しがっていた。山形君はその行動を欠伸(あくび)ひとつを上げながら、見ていた。



「はぁー。 そちらのターンは終わりで良いね? では、こちらのターンといきましょうか」



山形君は左手の掌を高橋さんに向ける。

掌は、明るい光明が発せられてる。裸電球がそのまま張り付いた様に白く輝いていた。



「お返しだ」



冷たく言い放った後に、掌からは電撃を放った。 それは高橋さんの魔法をそのままコピーをしたような電撃であった。



「ぎゃぴぴ!!」



「うぐぁ! 」



男女の断末魔が保健室に響き渡った。 高橋さんはその場で崩れ落ちて行き、 高橋さんを押さえつけていた信二君も同じように倒れた。


突然の出来事だったので、 真木先生と残った僕らは呆然とした。 その呆然を打ち砕く様にして、朝田君が慌てて声を上げた。



「たっ…… 大変だ! 直江さん! 二人を治療するから手伝って! 」



「……っ! わ わかったわ!」



気絶をしている二人に駆け寄っていった。 直ぐに魔法での治療に入って行く、 高橋さんは直江さんに治療されて、朝田君は信二君の治療へ。 倒れた二人には、緑色の霧が掛けられていった。


その治療をされている二人を見て、ベッドの上の山形君は興味深そうに見ている。



「へぇ、そんな魔法もあるんだ。攻撃系しかないと思っていけど…… あ、俺の魔法もそうか! なるほどね!」



山形君は独り言のように呟き、一人で納得していた。そして、僕の方に視線を向けた。



「次は君かな佐藤君? まさか、ビビったかな? 」



挑発的な発言に僕は怒りが込み上げたが、 冷静に事を進めようと思った。 このまま動いたら負ける事は解っている。



彼の魔法は何なのかを知りたい……



僕は一言返した。






「な 何をするだァーッ! ゆるさん! 」




……




噛んでしまった。台無しだ ……



「た……達哉君! 相手を挑発してどうするのぉ! どんだけぇ!! 」



確かにそうだった…… 真木先生の言葉に同感した。 噛んだことはどうでもいい。



相手は高橋さんを倒している、しかも …… しかもだっ! 相手はどんな魔法を使っているかも解らない。


これが、人質を取った立て籠り事件なら、犯人を刺激しない様にするのが普通だ、下手したら人質に危害が及ぶのだから、誰だってそーする、僕もそーする ……



「もういいか? 自分が犯してしまった過ちの後悔は終わった? そう言われたら、こっちから行くからね」



僕の心を読んだのだろうか?



山形君は馬鹿にした様にそして、死刑判決を降す裁判長の様に冷たく言った。



「ではいくぞ 」



山形君は左手を向けてきた。 さっきと同じように電撃が放たれ、僕の目の前まで迫った。




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