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『S県幼女誘拐事件』(えすけんようじょゆうかいじけん)
S県幼女誘拐事件とは20XX年の7月に幼女一人が誘拐された事件である。 公安は「警視庁広域重要指定213号事件」としているが、 この誘拐事件は当時6歳である超能力少女が解決をしている為に「超能力少女解決事件」とマスメディアは報道したので、こちらの方が知名度が高い。
▲概要▲
7月2日、S県T市の小学校に通う少女 (当時6歳) が、学校下校途中に行方不明になる事件が発生した。 帰宅があまりにも遅いことに心配をした少女の保護者が警察に通報し、その日の18時から市内警察署が捜索を開始した。総勢50人体制で、少女が通う小学校や通学路付近を捜索した結果、通学路に近い公園の遊具近くでランドセルとハンカチが発見された、発見された物を少女の両親に見せたところ行方不明少女の私物と判明。
発見されたハンカチには血液が付着しており、事態を重く見た警察は失踪事件から誘拐事件に切り換えて捜索を開始した。
▲事件中の出来事▲
事件発生後の翌日である7月3日に被害者少女宅と地元警察署に犯人から電話が入る。 少女宅には「俺を怨むな。怨むなら警察を怨め!直ぐには殺らない」話し、電話は切られた。
一方、警察側の電話には「お前ら無能に捕まえられるか? 今度は俺が楽しむ番だ」と、挑発的な一言を言い放ち電話を切った。
この後に犯人はテレビ局や有名新聞社にも電話をしている。 この為に各マスメディアの情報は過熱を辿る一方となり、全国的に知られる事件となってしまった。 この挑発と取れる行動に警視庁はこの事件を「警視庁広域重要指定213号事件」と格付けを上げた。この広域重要指定にされると、日本全国公安に捜査協力命令がされ、事件発生地域の公安捜査のみならず、全国の公安との連携が取れるようになる。
その結果、当時の日本全国では通学時間にはPTAなどが通学路に警戒に当り、警察などは教育施設などをパトカーで毎時間をパトロールするなど、異様な光景になってしまった。 マスコミも特番を組んだりして、この事件をトップニュースに取り上げていった。
▲転機▲
事件発生から五日が経過した、7月7日。
事件の捜査は難航を極めていた。警察によるパトロールやビラ配りなどで、犯人の有力情報を掴もうとしていたが、有力な情報はなかった。 誘拐事件は発生から一週間が焦点となっており、これ以上続くと被害者の生存率は極めて低くなって行く。 公安は焦りを感じていた。
ところが、その日の午前中にテレビ局への一本の電話で事件は急展開を見せた。電話をしたのは、当時9歳の男の子からの電話であった。
「うちの妹が誘拐された女の子の居場所が解る」
電話を受け取ったテレビ局職員は、怪しいと思っていたが、警察への取材で、公安もお手上げ状態と解っていたので、この連絡に賭けようと思い立った。 取材スタッフは彼の自宅へと取材に出掛けた。
▲超能力少女▲
彼の自宅はS県O町であり、事件の派生したT市の隣にある町である。早速、自宅に入ると紹介されたのは東映子ちゃん (当時6歳)であった。取材に来たテレビ局員は疑いながら話を聞いた。
彼女は家族と共に隣町のT市に7月6日の午後に買い物来ていたと言う。 スーパーでの買い物が終わった後に、休憩がてらに近くの公園に立ち寄った。 その公園こそが、被害者少女のハンカチが発見された公園であったのだ。 当日の公園には取材に訪れるテレビ局や警察がそこで忙しく動いていたが、一般人に迷惑が掛からない程度にしていたので、遊具などは使える情況であった。 映子ちゃんは両親が見守る中で、兄と共に遊び始めた。
兄がジャングルジムに行ったので、追いかけるようにしてジャングルジムに映子ちゃんが手を掛けた、その瞬間に、彼女の脳内に断片的な映像が流れたと言う。
異変に気づいた兄が、ジャングルジムから降りて、妹である映子ちゃんに声を掛けると「わたしぐらいの女の子が男の人に連れ去られて行った。 その時にジャングルジムで軽く怪我をして、自分のハンカチで血を拭いている」と、話した。 映子ちゃんの兄はビックリした、それは最近報道されているあの誘拐事件ではないかと思ったと言う。事件現場もこの公園なので、確信を持てた。
兄妹達は慌てて今の事を両親に告げると、両親はあまり信じてもらえなかった。それに納得が行かない兄は、翌日にテレビ局に自分で電話をしたと言う。
▲テレビ公開捜査▲
テレビ局員は兄妹達の両親を説得して、映子ちゃんをテレビ局に招き入れ、生放送での事件解決特番をする事に踏み切った。 翌日の7月8日のゴールデンタイムに特番に登場させた。 番組製作スタッフが前もって被害者の両親から借りてきたランドセルをスタジオに持ち込み、映子ちゃんに手を触れさせた。 映子ちゃんはランドセルから感じた映像をスケッチブックに書いていった。
その番組にゲストとして参加していた、犯罪科学博士は映子ちゃんを見て驚愕した。 「このお嬢ちゃんは物から残留思念を読み取ることが出来る……サイコメトリー能力者ではないのか?! 」その発言から映子ちゃんは超能力少女と言われる様になった。そんな博士を気にせずに、彼女はスケッチブックに映像を書き続けていった。
映子ちゃんが書いた絵には、整備されていない道路、路肩に止まっている白い車、 森の中にある屋根が青い小さなロッジ…… などなど、断片的な絵が並んでいた。その絵を元にスタジオでは、事件が発生したS県の地図と照らし合わし作業が開始された。 スタッフ達が地図を見ていると事件現場から数十キロ離れた所に雑木林があることが解った。 この雑木林は所有地にしているので、警察は捜査をしていなかった。 現地スタッフは指示された場所に向かった。
▲事件解決▲
指示された雑木林は国道から脇に反れる場所であり、道路は舗装されておらず、映子ちゃんの書いた絵と合わさった。 スタッフ達は所有地にも関わらず、雑木林への門が開いていた事を好機と思い、カメラを回しながら入っていった。 道を通っていくと、絵の通りに白い車が止まっており、現地スタッフはパニックに陥った。ここまでのスタジオ内部は偶然と思っていたが、さらに進んだ映像を見ていると観覧席の客から悲鳴が飛んだ。 なんと、小さなロッジが見えて、屋根の色は青色。 現地スタッフはその中に飛び込んだ。鍵を壊して、中に入ると、手足を縛られ猿轡された少女を発見。 スタッフは警察に通報した。この時の瞬間視聴率は36%と取り、その年の年末歌合戦よりも高い数値である。スタジオに居た映子ちゃんはその光景を見て、パチパチと、拍手をしていた。
▲犯人逮捕▲
通報を受けた警察により、少女が発見されたロッジを封鎖していると、この所有地の持ち主でもあるA (当時28歳)が食料を
抱えてロッジに戻って来た、その場で警察は職務質問をして、犯行を認めた為に、緊急逮捕された。
犯行動機は、事件発生前日の7月1日に犯人Aは飲酒運転で検挙されており、警察を恨んでの犯行と自供。 誘拐した少女は殺害をせずに、数日後に解放しようと計画をしていた。
▲その後▲
事件は無事に解決されたが、この事件は誘拐事件よりも、一人の超能力少女の能力に注目が集まった。 警察は映子ちゃんに感謝状を贈り、感謝を現した。
この後も超能力者と名乗る者が似たような事件に挑んでるが、的中させる者は未だに出ていない。
▲批判▲
「1」被害者の少女と犯人の名前は匿名で報道されているが、この事件を解決した映子ちゃんはフルネームを出している。ブライバシーの考慮に欠けると批判する者もいた。
「2」被害者少女が監禁されていた土地は、当時の警察の捜査線上にも浮上していたが、警察は所有地と解っていたので、捜査線上から消していた。警察に対するいい加減な捜査も批判を浴びた。
「3」公安は警視庁広域重要事件としているが、その効力はあまり事件解決の活動力に生かされていない。犯人からの挑発に乗ってしまい、怒りに任せての重要事件に格上げに疑問が残る。
「4」 警察は感謝状を渡して、映子ちゃんを讃えているが、公安側は無力を表す結果になっている。この行動は世間から日本公安に対する捜査批判を緩和するための処置だと言う声も多い。
▲関連項目▲
・超能力
・誘拐事件
・サイコメトリー
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最終編集‥8年前 名無しさん
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