表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
おおまかに振り破って ~魔法学校野球編~
43/91

42


食堂に向かう途中で、僕は疑問を信二君に聞いてみた。



「信二君も野球のメンバー集めをしていたの? 」



「さっきも言った通りに飛鳥会長からの指示だったけど、指示の内容は達哉君の手助けだけと、言われてたよ」



「じゃ、なんで、自分からメンバー探しをしていたの? 」



その一言で、信二君は立ち止まって僕の方を向いた。



「いや、個人的にみんなで野球をやりたいなって思ったんだよ。折角の高校生活なんだからさ、飛鳥会長には内緒だよ」



信二君はニッコリと微笑みかけて答えた。その笑顔に僕はドキッとしてしまい、一瞬、…… 抱かれてもいいなぁと、思ってしまった。



「達哉君……残念ながら僕はそっちの気は全然無いんだよ」



僕の(よこしま)な考えを見透した様に信二君は冷たく冷静に言った。 冗談だ!冗談だよ信二君! ここでのまさかのBL路線には行かないよ! 僕にもそっちの気は無いんだ!


信二君はやれやれと言った感じで、歩みを進めた。 その時の僕は冷静さを無くしていたのかもしれない、反省しよう。【他の人達も僕に軽蔑の視線をしていたような気がした】




……




「ほら、あそこのテーブルで本読んでいる女の子だよ」



昼過ぎの食堂はあまり人が多くはなかった。他の生徒達は雑談などをしたりして、テーブルに陣取って居るのがわかったが、野球部員候補のその生徒は、ゆっくりと本を読んでいた。 左手は頬杖をかきながら、ロングの髪を鬱陶しく垂らし、その間から大きな目を覗かせていた。端から見ると普通の女の子に見えた。その視線は本から外す事はなく、夢中で読んでいた。




「あの女の子? ここから見る限りでは、スポーツとかに感心が無さそうに見えるけど…… 」



「まぁね。話してみるとわかるかも」



信二君は全てを解った様な口調で話した。



「やっほー! それは何を読んでいるのかなぁ!」



高橋さんがぴょんぴょん跳ねながら、その女の子の元に向かっていった。


その行動に僕らは驚いていたが、話しかけられた人はもっと吃驚していた。



「うわ!な なんですか? 急に!」


慌てて、女の子は本を仕舞いこんでいた。僕らも慌てて、説明をした。



「急に話しかけてごめんね。僕は佐藤っていいます。あの、こちらの信二君から話は聞いているかな? 野球をやりたいって話は」



「ええ。聞いてます。あの打ち上げパーティーの時に校長からの提案に興味が出てきたので…協力したいです」



彼女はおずおずと了承をした。僕の見る限りでは、スポーツが得意そうではないように見えた。だが、今は迷っている暇はなかった。



「ほんとに! 助かるよ!」



「兄が野球をやっていましたので……スコアブックをつけるのは得意です!」




ん? スコアブック?



スコアブックってポジションはあったかな? 最近出来たポジションなの? 僕は素直に感銘を受けていたが、僕の回りの人間は【そっちか!!】と言うような顔を作っていた。 そして、信二君は僕の肩に手をかけて、180度そのままターンさせて、そっと僕の耳元で囁いた。



「達哉君…… ごめん」



一体何に謝っているのか解らなかった。そして、こんなときにどんな顔をすれば良いのかと迷った。



「なんで、信二君が謝ってるの? 素直に喜ぶべきだよ! メンバーが増えたじゃないか!」



「なっ!…… 君ってやつは……」



信二君はやれやれと言った感じに、僕に説明してくれた。




「あのね、スコアブックをつけるってのはね、本来マネージャーがやる仕事であって、野球のポジションではないんだよ。 だから、彼女はマネージャー希望者なんだ…… すまない。僕としたことが……」



信二君はがっくりと肩を落とした。



僕はあまり気にしてなかった。野球のメンバーは確かに今は足りない。だが、マネージャーもいた方が部活らしくて良いのではないだろうか?



「信二君。気にすることないよ! まだまだ、時間はあるんだしさ! 彼女はマネージャーやってもらおうよ!」



「君ってやつは……とても前向きと言うか……気にしないと言うべきか」



信二君はニッコリと微笑んでくれた。そして、僕らは密談を終えて、彼女の方に振り返った。



「ということは、君はマネージャー希望でいいんだね?」



「はい! 皆さんの事を応援したいです! 雑用とかも何でも!」



そう言って、彼女は綺麗な声で答えた。僕らもその声に応援されたように感じたので、やる気がアップした。



「よし!もっともっとメンバーを集めて、甲子園に行くぞ!」



僕らは目標を再確認すると、高橋さんが言った。



「そういえば、あなたの名前って何て言うの? ごめんね! 聞いてなくてさ!」



「あ!! ごめんなさい! 自己紹介がまだでしたね。 …… 私の名前は東映子って申します」



東映子(あずまえいこ)



もう仕分けなさそうにひっそりと(あずま)さんは言った。そうすると、僕らのメンバーである岩間君がそっと口を開いた。



映子(えいこ)って……まさか、あの超能力少女映子ちゃんっすか?! あの少女失踪事件を解決している!いやー

何処かで見たことあるなって思ったら、やっぱりだったす!!」



興奮したように岩間君は喋りだした。



超能力少女映子ちゃん? ……どこかで聞いたことがあるような……無いような



「うっ……知っている人が居たとは……もう十数年前だから知ってる人は居ないと思っていたのに」



東さんは岩間君の発言で少し顔を歪ましてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ