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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
魔法…だよな?
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3

目の前の光景に目を疑った。患者の手から氷が出てきたのだから……そう、きっと私は疲れているんだ。私は掛けていた眼鏡をそっと取り、目頭を指でギュッと摘まんだ。そして、頭の中で考えを潜らした。【きっとこれはマジックだ!佐藤少年は、私を試してるんだ!このマジックはデパートかマジック専門店なるもので、買ったんだ!きっとそうだ!そういえば…シルクハットから鳩が飛び出すトリックってなんなんだろうなぁ…あの小さい帽子から鳩が出てくるなんて…鳩が可哀想だ!鳩は平和の象徴だぞ!あの様なことに鳩を使うとは…だから、世界は争いの絶えない地なのだ!やはりこの地に必要なのは……】


……



「せんせーい、せんせーい、帰ってきてください。聞いてますか? 」


はっ! 私は少年の声によって、我に帰った。どうやら現実逃避をしてしまっていたようだ。危ないっ!危ないっ!


ゴホン!と咳払いをして、改めて、患者である少年を見直した。…こちらをジト目で見つめていた。うわー…完全に疑われてるわー 先生引退しちゃおうかなぁー ……



「先生…もう一度見ますか?氷を出すところ? 」



「ああ…もう一度見せてくれ」



少年は右手をかざすと掌から、またジャラジャラジャラッと氷を出した。今度は、病院にある鉄製の洗面器に。


―――数分が経過した。


ジャラジャラジャラッと続けていった洗面器に氷の山盛りになっていた。 作業が終わってから、また、先生の顔を見た。……先生の顔は絶望に打ちのめされていた。


やっとの思いで、先生は口を開いた。


「信じられないよ…マジックではないよな…こんなに氷を沢山出すなんて…現実なんだよね…これってさ」



その後に、先生は僕の右手の掌を観察したり、僕の聴診器で心音などを測ったり、血液採取もレントゲンもMRLなどなど… あらゆる検査が行われた。


結果は、すべてに異常なし。【血液検査の結果は数日かかるが異常はないと思う】


先生は、ふぅーとため息をついた。


「……異常はなしっ!まっっったくの健康でありんすっ! 」



【ありんす口調が腹立つなぁ】



「本当に異常はないんですか?」



「そうだよ、私も信じられないよ」



………


診察が終わり、ふと、待合室にある時計に目を通した。もう、22時を回っていた。待合室の片隅のソファーでは、心配した母がこちらを見ていた。


「では、お大事にしてください」



受付からの言葉で見送られて、自動ドアを出た。※処方箋などはなかった。


車に乗り、家帰っていった。帰りの車中で、少しばかり母と話した。


「でも良かった。体に異常がなくて」



「……まぁ、掌から氷が出るのは異常なんだけどね」



「こんなことお父さんに言ったらびっくりしちゃうよね」



「……卒倒しちゃうよね」



他愛ない話であったが、なぜが安心をした僕であった。しっかし……お腹が減ったなぁ…


家に着くと、母は自分の部屋に行ってしまった。「ごめん。今日はすっごく疲れまた…すぐに寝るね」だそうだ。僕も、冷蔵庫からヨーグルトを少し食べて、寝ることにした。「※歯は磨きました」

二階の自分の部屋に戻り、ベッドにダイブした。目を閉じたら、すぐに眠りに落ちていってしまった……



………。


……ブーン

ブーン


僕はそのやかましい音で目を覚ましてしまった。この季節の風物の蚊の飛ぶ音である。あいつら狙って夜中に現れんじゃないの?これじゃ眠れない……


確か、台所に蚊取り線香があったはずだなと思いだし、二階から一階の台所に眠い目を擦りながら移動した。


薄暗い台所でレンジの上にある蚊取り線香を発見した。これで、眠れる!


そして、火をつけるためにライターを探し始めた。が、一向に見つからない…どこに仕舞ったの?お母さん?薄暗い台所をうろちょろと探していた。


「どこだ?どこだ?」と薄暗い台所を指を指しながら、悪戦苦闘中である。イライラしてきた…【火だよ、火、火】と念じていた。その瞬間に僕の人差し指から、ライター火力ぐらいの火が、ぽっと吹いた。


「え?」


お母さん…今度は火が出ました(苦笑)


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