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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
火山活動休止作戦 ~said-B 救助班チーム編~
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「ふぅー、 やっと落ち着いたって感じかな……そろそろ休憩にしようか、 みんな。」


リーダーの阿佐田君がそう言った。 その言葉を聞いた皆は、切りの良い所で治療を止めて休み始めた。


「おねーちゃん、ありがとう! 」


「お母さんの言うことをちゃんと聞くんだよ! バイバーイ」


私も治療した女の子に手を降って、お別れした後に休憩を取ることにした。 自衛隊の協力によって、円滑に活動できたのは嬉しいが、 私の誘導に見向きもしなかった事は、 私達の力が足りなかったのが原因であろう。 もう少し、 声を張り上げて、 積極的に活動すれば良かったのだろうか?


「そんなに自分を責めるなよ。 第一、 俺達がいきなり現れて、 治療をするなんて言ったら、 どう思う? 怪しいって思うだろ? 俺達の力不足なんじゃないだろ? 違うかい? 」


私の考えている事を見透かした様に、 阿佐田君が声をかけてきてくれた。 確かにそうだろう。 普通に考えればそうかもしれない ……


「まぁー、あんまり深く考えるなよ。 これ飲め」


渡されたのは、スポーツドリンクであった。 私は急に渡されたペットボトルを慌てて受け取り、 キャップをねじった。 踏ん切りを着ける為にも大袈裟なぐらいの力を入れたのかもしれない。


「阿佐田君の言う通りかもしれないね。私達はまだまだ子供で、 しかも、知名度の低い魔法学校の生徒だもん ……。 得体の知れない人には警戒心があるのも納得するしかないわね。 ありがとう。 阿佐田君。」


私はそこまで言った後に、 スポーツドリンクを一気に飲んだ。 春先ではあるが、 まだまだ寒い今日この頃。冷たい飲み物は躊躇したいが、 今まで休みなしで治療魔法を使い続けたので、 熱っぽい疲労感が出ていた。 そんな時に冷たい飲み物はとても有難い。 飲み終わったあとに疑問が出てきた。


「 …… そういえば、このスポーツドリンクはどうしたの? 」


「これかい? これは自衛隊の人から貰ったんだよ。 そして、 この冷たさの秘密はあれだね」


そう言って、 指をさした所では数人の生徒達が大きいポリバケツに掌をかざしていた。 そこに、 氷の塊をじゃらじゃら出してスポーツドリンクを冷やしていたのだ。 その様子を興味深そうに自衛隊が見守っていた。


「あれ? 私達の班って、 回復魔法しか出来ないんじゃないの? 」


「そう思っていたよ、 数分前までは。 けど、 うちの魔法学校に氷魔法を使える人が居たよね。 名前は確か ……」


「佐藤達哉君だっけ? 初日に飛鳥会長に殴られそうになった」


「そうそう! 面白がってあの子の真似をしてたら、 なんと、氷が出てきたんだよ。 」


「え?! うそ! 真似事で出来るの? 」


私は驚いた。 阿佐田君の言葉には偽りは無さそうだ。


「 俺も驚いたけど、これ見なよ。 」


阿佐田君は自分の掌を下に向けた。 その瞬間にじゃらじゃらと小さな氷が出てきた。 私も阿佐田君につられて、 掌を下にかざした。 じゃらじゃらー あっ! 出来た。


「なっ? 信じられないよな。 この魔法って一体何なんだ? 」


「私にも解らない。とても不思議としか言いようがないわね …… 」


私達二人は多少、 恐くなってしまった。 何故、 他人の魔法能力を真似(コピー)してしまうのか …… しかも、 簡単に。 このまま考えてしまっていたら、 拉致が開かないと私は思ったので、 私は話題を替えた。


「と …… ところで、 もう、 あちらの会長のチームは大丈夫かな? 」


「あ、ああ、大丈夫だと思うよ。 実はさっき聞いたんだけど、 彼方にも自衛隊の小隊がいるらしいよ。 岩間陸曹が言ってたよ。」


その一言を聞きながら、 視線を自衛隊の簡易テントに向けた。 長机に無線機などを設置して通信をしている。 岩間陸曹が必死に無線に呼び掛けている様子が見えた。 何かあったのか? と、思っていると、 岩間陸曹がこちらに歩いて来た。


「何かあったのですか? 岩間陸曹さん? 」


「いや、 別動隊との連絡が途絶えたんだ。 信じられん! 私が自ら選んで中隊の編成を組んだのだ …… 選りすぐりの奴等だったのに ……」


がっくりと声のトーンを下げていた。


「あの、 別動隊の皆さんは何処に行っているのですか? 」


「E中隊は神子山(みこやまざん)に派遣している。 本当は神山山(かみやまざん)に派遣される予定であった。 しかし、 私達の上の大本営が急きょ、予定を変更して、神子山(みこやま)に派遣されたのだ。 あちらは火山の爆発の危険はないと思っているのだが……うーむ。だが、私が自ら選んで編成した中隊だ。 人数は少ないが、 隊員の中には特殊部隊の訓練を修了した者もいる。それなのに、 連絡を途絶える失態をするとは …… 」



「「 ……… 」」


私と阿佐田君は黙ってしまった。


神子山(かみこざん)は、 私達の魔法学園の火山休止チームが向かった所だ。 飛鳥会長をリーダーに何人かが居る。 彼方のチームは攻撃的な魔法、 つまり、 物理的な魔法を発動が出来る ……



【飛鳥会長達がなにかやった?】


私達の考えは一致していると思う。


(岩間陸曹殿ぉ! 今、 E中隊の石田から連絡が来ました! )


(本当か?! 今いく!)


私達もテントに急いだ。




ーーーー



「本部! こちらE中隊の石田です! 避難区域に少年一人と少女二人を発見! こちらで避難誘導を試みます! どうぞ!」


「なに! 今すぐにその三人を避難させろ! 」


岩間陸曹は叫んだ。 私達二人の予想は的中したが、 まだ、 飛鳥会長達は自衛隊の人達に何もしていなかった。


「了解! いま ぐはぁ!!」


「!!! 石田! 石田! 返事をしろ! 」


無線機から、 石田さんと思われる断末魔が聴こえた。 うん。 多分、 飛鳥会長達が攻撃(やった)のだ。


それから、 岩間陸曹の必死な呼び掛けも届かず、 無線機からはノイズが走るようになった。 無線機を机に叩きつけてから、 岩間陸曹はがっくりと腰を下ろした。


「一体、何があったんだ! くそ! 」


「「………」」


私達は黙るしかなかった。



ーーーーー。






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