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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
火山活動停止作戦
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「本部! こちらE中隊の石田です! 避難区域に少年一人と少女二人を発見! こちらで避難誘導を試みます! どうぞ!」


一人の隊員が、 無線機で確認をしながらこちらにゆっくりと近づいてくる。 その後を二人の隊員が険しそうな顔つきで付いてきた。 僕らはいきなりの出来事だったので、そこに立ち伏せる事しか出来なく、ゆっくりと近づく自衛隊を呆然と見ていた、気になって、会長の方をちらりと見ると、わなわなと震えて、どうにも出来なさそうな仕草をしていた。いくら、気が強い会長でも怖いものはあるんだなぁーと、不謹慎にも冷静に僕は会長の事を考えつつ、天災(巨大な岩石) の次は人災(自衛隊)かよ! と、自分の不運も嘆いた。


「君達! どうやってここに入って来たか解らないが…… とにかく、ここは危険だから出なさい! さぁ、速く! 」


「あの…… 私達は決して怪しい者でないいんです……」


「?…… 何を言ってるんだ? わかったから、ここから速くっ!ん? 」


ドサッ!!


急かしていた自衛隊の隊員の言葉が途中で途切れた。 彼の後ろに居た隊員の一人が急に倒れたからだ。 僕も彼の後側を見える所に突っ立て居たので見えた。 倒れた隊員は前のめりに倒れて、 声も立てずにだ。


「な、なんなんだ! こちら石田! 聞こえますか?! 隊員一名が急に倒れた! 至急! うわっ!」


今度は石田と言われる隊員と残りの一名も倒れた。 急に怖くなって僕は周りを見渡した。 そしたら、この原因が解った。 僕の後ろにいた高橋さんが、電撃魔法で奴等を気絶させていた。


「ふー。危なかったぁ。ちゃんと、仕事はしたわよ! 飛鳥!」


バシッと、会長の肩を叩いて高橋さんはにこやかな笑顔を振りまいたが、 それに納得出来てないのは会長である。


「仕事しましたって…… 理恵! あんたはなんで危険を速く察知しないのよ! 」


「だって、いきなりなんだもん! 私だって驚いたよ! あ! 飛鳥だってびびってたよねー。 かわいい!」


「なっ! びびってなんてないわよ! あれは理恵の魔法発動させるためにわざと演技したんです! 演技!」


「またまた~、本当はびびってたんでしょ?」


「びびってませんっ!!」


また痴話喧嘩が始まった。 一対何回目だろうか? 実はこの二人は本当は仲が良いのではないだろうか? っと、疑問に思いながら、二人の喧嘩を見ていた。


「はぁ…… はぁ…… もういいわ。 今度こそはしっかりしてね。もう疲れたわ。」


「うん! わかったー! 約束するね!」


会長の根負けによって喧嘩は終息した。 結構がっつり怒られていた高橋さんはケロッとしていた。 この人は多分、 何を言っても聞き流してるだと思う……


「はぁ……はぁ、後、そこに隠れているのは解ってるわ!さっさと出できなさい!」


「「???」」


会長は僕ら二人の後ろにある、森の茂みにそう問いかけた。 すると、茂みからガサガサと音を立てて一人の男が出てきた。


「やれやれ、見つかってしまいましたか…… 飛鳥会長は流石ですね。」


そう言いながら、出て来たのは信二君であった。


「いやー、何時から気が付いていたんですか? 飛鳥会長? 」


「私達がさっきの自衛隊の人達に絡まれていた時よ。 あの時、そこの茂みが一瞬だけ動いたのが解ったのよ。 誰か居るって解ったわ。まぁ、信二君に先回りして欲しいって頼んだのは私だから、居て貰わなきゃ困るけど。」


「ええ。飛鳥会長に頼まれた任務は整っているよ。先ずはあれを」


信二君は自分が出できた茂み付近に指を指した。 そこには迷彩服の人達が数人が、気を失って倒れていた。


「結構、疲れましたよ。けど、そちらに三人ほど突破されました。申し訳ない。」


「大丈夫よ。アホの子の理恵が何とかしたから」


「えへへ。」


「いや、誉めてないから!!」


信二君の仕事によって、この辺一対は、僕らだけになった。 信二君に尊敬の視線を送ったが、無視された。 【ちくしょうー】


「そして、二つ目の任務も完了をしています。 この作戦に的確な人物も確保しています。」


「ご苦労さま。 で? その人物はここにいるの?」


「居るんですが…… そこに。おーい、出てこいよ。」


信二君が呼び掛けると、茂みがまたガサガサと動いた。 そこから出てきたのは、僕らと同じ魔法学校の制服に身を包んだ男子生徒であった。


「あ、あのー、もう、安全すか?」


「大丈夫だよ。本当に君は臆病だね。心配ないよ。」


「うす。」


改めて、彼の姿を見た。 彼の身長は大きい方で、 180㎝はあるのではないだろうか? 体つきは良くて、格闘技等をやっている様な姿であった。


「ほら、さっさと自己紹介してくれよ。」


「あ、うっす、自分は岩間守(いわままもる)って言います。 よろしくっス。」


「よろしくね。岩間君」


「よろ~岩間っち!」


「よろしく。」


僕ら三人は声を揃えながら、挨拶をした。 挨拶を終えた岩間くんは何故か、モジモジしながら、 その場で沈黙をしてしまった。 大きな体からは想像がつかない恥ずかしがり屋なのだろうか? 僕は、岩間君に話をかけた。


「岩間君…… どうかしたの? 」


「うっす。 自分なんか何の役に立つか解らないので…… 」


「そう言えば、岩間君はどんな魔法を使えるの? 」


「自分の魔法は…… 土や岩などを操る事が出来るッス。 家業が農家なので、結構役に立ったりしましたが…… それほど使い道はなかったッス。」


「そうなんだ。」


「ほら! そろそろ岩間君に活躍してもらうから、 達哉はこっちに来て! 」


飛鳥会長に呼ばれたので、岩間君から離れた。 岩間君は会長と僕達に頷くと、 地面に手を当てた。すると、岩間君の掌から何らかの光が地面に吸い込まれ行き、 自分達が立っている所が少しつづ揺れてきた。


「!!、 会長! これは地震ですかね? 」


「違うわよ! 岩間君の魔法で地面内部の土を動かしてもらってるの。 本人は無理だって言ってたけど…… なんとか出来てるじゃない! 上手く行ってる!」


会話中も岩間君は地面に集中していた。


「なんだか、あっつい様にも感じてきたわー。」


高橋さんは手で顔を仰ぐ仕草を始めた。


「この真下のマグマとかが、岩間君の土を動かす魔法で移動してるのよ。この調子なら、神子山の枯れたマグマ脈に流れ混むわよ! よーし、作戦は上手くいくわ!」


そして、遠くの方で何かが弾け飛んだような音が聞こえた。 それと同時に岩間君はその場で崩れ落ちた。 慌てて、近寄って肩を擦ると、 「大丈夫ッス。 大丈夫ッス。」 と、何度も何度も応答をしたので安心をした。 結構、体力使ったのではないのだろうか?


「岩間君! お疲れ様! さっきの爆発音は神子山にマグマが雪崩れ込んだ音だと思うわよ。 後はマグマが空っぽの神子山のキャパで収まるように祈るだけね。」


僕らは、神子山の山頂を見た。そこからは真っ白な湯気の様なものが見えた。 マグマがあちらに移動したと読み取れたが、 まだ、油断は出来ない。 僕らは疲労困憊の岩間君を守るように、回りに警戒心を張りながら、ぼんやりと神子山を見上げていた。






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