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いったいどの位走ったのだろうか?
僕らは汗を拭いながら、真木先生の後を追い続けていた。 真木先生は最初のペースを落とす事無く、走り続けている。 【あの先生は化け物か? 】
「結構、走ってるよね? まだなのかな? 」
「…… はぁはぁ、なんなんだよ。入学そうそうのマラソンってきついなぁ」
「私は全然大丈夫なんだけど、こんな入学式は初めてで楽しいわ」
高橋さんはとてもニコニコと返事を返してくれた。この人も化け物だ。
そろそろ、数多くの入学生達の体力の限界を感じ始めた頃に、数キロ先の真木先生がピタッと、止まった。僕らは真木先生に追い付く。
「あなた達!よく頑張って着いてきてくれましたね。ありがと〰。 入学そうそうのミスは謝るわ。ごめんねぇ〰」
真木先生は片足を上げて、ウィンクがてらに僕らに謝罪をした 【気持ち悪い】
「では、皆さん! 改めまして、入学おめでとうございます!皆さんが通う魔法学校はあれです! 」
真木先生は少し離れた空を指差した。
ーーー
[読者の皆さんは、信じられない光景を見たことあるだろうか? 筆者である私は
、勿論見たことある。その体験を語るためにこの本を執筆したのだ。私が見た光景とは、空を飛ぶイルカを目撃した事だ。イルカは海の生物なのだが、そのイルカは空中を自在に泳ぎ回り、私の回りをぐるぐると挨拶をするように悠々と泳いだのだ。私がその光景に見惚れていると、イルカは太陽に向かって小さく消えていったのだ。信じられない、そして、美しい光景であった。その光景を見たのは …… ]
奏出版社 (私の見た奇跡) 著・内藤刀 p10より抜粋。
ーーー
……
僕は、夏休みに読んだ本の文章を思い出した。僕たちの目の前には、空を飛ぶ大きな城の様な建物があったからだ。その建物はだんだんと僕たちの集まっている所に近づいて来た。
「マジかよ! あれって空を飛んでいるよな? 飛行機とかじゃないよな! 」
皆は今の光景に興奮していた。
そして、学校は僕たちの頭上に覆い被さり、大きな影で包み込んだ。真木先生は皆に声をかけた。
「皆さん!あの魔法学校に入りますよ!
入り方は …… え〰と…… あ! 手を上にかざして下さい! そんな説明をされました! 」
皆は恐る恐る、手を上に翳した。
一瞬にして、学校の教室と思われる所に移動していた。
「 すげー!!! 瞬間移動だよ!これって!」 一人の生徒が興奮して、声を荒げた。
「興奮している所をごめん。私を見てくれないか? 」
真木先生とは違う、男の人の声が響いた。皆はビックリして、教卓に目を向けた。
そこに居たのは、この国の総理大臣である男が、にこやかに立っていた。