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魔法学校入学当日。 ――
数週間前に中学の卒業式を終えた。三年間はとても長いようだったし、短いような気もした。でも、ここ半年の方が一番印象に残ったのかも知れない ……
魔法が使えるようになったし、時貞さんとの出会いや信二君の事。そして、百合子。【余談だが、百合子は志望校に合格したらしい 母親談】
とても濃い時間を過ごしたと思う。
そして、僕は今、自分が住んでいる所から電車で30分ぐらいかかる所に立っている。何故、こんなところにいるのか? と、言うと、5日前に入学案内書が届いた。そこに書かれていたのは、入学を祝う言葉と一枚の地図。その地図には、この場所を示していた。だが、何にも見当たらない ……
おかしいなぁー こわいなー こわいなー やだなー やだなー と、怪談を語るように僕は不安に駆られていた。
すると、僕がいるところを目指すように数十人の人が集まってやって来た。あれは …… 信二君だ! 信二君は僕を見つけると走ってかけてきた。
「ごめん!待った? 」
「ううん、全然って、待ってないんだけどね! 」
アハハ。
冗談が言い合える友達になっています。
信二君の後ろには、僕達と同じ制服を着た人達がちらほらいた。皆は回りをキョロキョロしていた。
「やっぱり、おかしいよね? この地図」
「地図が間違ってるのかな? でも、俺達の回りの人達ってのも入学生だよな。そんなことはないと願いたいね」
二人で不安な顔つきを作りながら、回りを見渡した…… やはり、何もない。
その時、僕の背中をちょんちょんと叩く感触がした。僕は振り替えると、そこには、髪が長く切り揃えられて、魔法学校の女子生徒の制服に身を包んだ女の子が立っていた。【顔は小さく可愛らしかった】
「あの、ここで合ってますよね? 」と、
地図を僕に差し出して、質問をしてきた。
「合ってると思いますよ。僕も同じ地図を持ってますし」
「でも、何もないですよね? 」
「うん。なんなんだろう?」
女子と僕も困った顔を作った。そこで、話題を替えて、僕の方から話をかけた。
「僕の名前は佐藤達哉って言います、君は? 」
「あ! すいません。申し遅れました! 私の名前は高橋理恵って言います」
「よろしくね。高橋さん。ところで高橋さんはどんな魔法が使えるの? 」
「私は、指先から雷…… というか、電気を飛ばすことできます」
「へぇー! すごいね! ……まさか、テレビで紹介されてなかった? 」
「あ!見られちゃいましたか? 畑の作業中に熊が出て来ちゃって …… 」
高橋さんは、恥ずかしいそうに顔をうつ向いてしまった。どうやら、恥ずかしがりやらしい。
そんな、話をしていると、遠くから声が聞こえた。
「おぉーい…… こっちよぉーこっちぃー」
僕らは、その声のする方に振り返った。
すると、そこには、小さい人影がこちらに向かって手を振っていた。
(あの人なんだろう?)
(さぁ? わからないね。 とにかくいってみよう)
僕らと入学生達はそちらに向かって急いだ。
……
たどり着くと、そこに居たのは、テレビなどで有名になっている[教育のカリスマ]と歌われていて、中身はオネェ系と言う有名な教育学者であった。 (一部の生徒達はざわめいていた)
「あら〰 すっかり遅れちゃったわぁ〰皆さんごめんなさいね」
「あのー どうして、あなたが居るんですか? 」
「あ! 申し遅れました。 私は魔法学校の教職員の真木と申しますぅ〰どんだけぇ〰 」
!!
みんなが驚いた! まさか、有名な教育学者が教職員だとは! 魔法学校はレベルが凄い。
しばらくして、皆が落ち着いた後に、真木先生は話をしだした。
「ええーと、 皆さん、魔法学校に入学おめでとうございます。皆さんに学校の場所を教えるためにここにいます。…… 実は少し手違いがありまして… ここから少し移動します」
ざわざわ …ざわざわ …
皆の顔色が悪くなった。地図が間違っていたっ… 通りで何もないんだ …
「でも、安心してください! 私が案内するので、ついてきてねぇ〰 どんだけぇ〰」
そう言い終えると、真木先生は走り出した。 はやっ!! 真木先生は見た目とは想像がつかないくらいに足が速い!
「こっちよ〰こっち〰 どんだけぇ〰」
真木先生が小さくなっていく
「っぼっ …… 僕達も行こう! 」
僕らも慌てて走り出した。