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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
入学準備と百合子
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17

「百合子ぉぉ! 」と叫びながら、僕は両手を向けていた。その瞬間に手から物凄い風が吹き出た。突風だ!


「やぁっ! 」と百合子は声を一瞬上げて、体が風によって吹き飛ばされた。


ガッシャ!


百合子が居た所に水銀灯傘が落ちた。


百合子は数メートル離れた所に、うずくまっていた。回りの生徒達はその一瞬の危険と僕の魔法で静まり返っていた。


僕は慌てて、百合子の元に駆け寄る。



「おい! 大丈夫か? 」


「…… ビックリした!風に吹っ飛ばされた記憶はあるんだけど…… あれって達哉がやったの? 」


「たぶん、僕の魔法だと思うよ」


「ありがとう、また、達哉に助けられたんだ…… わたし」


かぼそい声でお礼言われた。


百合子は先生達に肩を貸されながら、念のために保健室に向かっていった。


体育館にいた生徒達は唖然としていた。



「なんだよ。あれって …… 」


「あれが噂の魔法を使う人? テレビとかでみたけど」


などなど、物珍しい目線を僕に突き立ててきたが、そんなことを気にせずに体育館を出た。



―――。


保健室にやって来た。


三つのベットには、左に時貞さん。真ん中に真司君、右に百合子が寝ていた。


まずは、時貞さんに話しかけた。


「時貞さん? 大丈夫ですか? 」


「…… ああ、大丈夫だよ。怪我も軽いし、こんなことは馴れてるよ。でも、今回は不意討ちだったかね」


大丈夫そうだった。話もハッキリと出来るし、怪我も大したこと無さそうだ。


「私の事はいいから、隣の信二君と話をしてくれないか? 」


僕は少し顔を下げた。


それを察して時貞さんは、


「…… なるほど、あんまり面識がないんだね。それではこんなのはどうだろう? 私は気にしてないから、怒ってはないってさ、伝えてくれないかな? 」


その優しさに便乗する事にした。


僕は真ん中のベットに移動した。


信二君はまだ、眠っていた。少し額に汗が滲んでおり、顔色も悪かった。


【これはまだ寝かせておけばよいかな? 】


と、思っていた次の瞬間に、信二君はガバッと、起き上がった。正直、ビックリした!


ぼーっと、していた信二君は、枕に頭を埋めた。そして、一言を言い放った。




「知らない天井だ」



……


僕は落ち着いて話しかけた。




「シ シンジく …ゴホンゴホン…… !信二君? 大丈夫かな?僕の事はわかるかな?隣のクラスの佐藤達哉だけど…… 」



「…… 知ってるよ。僕とはあんまり話をしたことはないよね? 」



「そうだね。 ところで隣で寝ている時貞さんが気にしなくて良いって言ってたよ」



僕が時貞さんに視線を向けると、時貞はウィンクで相づちをしてくれた。【イケメンやぁー】



信二君はバツな悪そうな顔を作った。



「…… 俺、またなんかやらかしたかな? 」



「え?! 覚えてないの? 」


それまでの経緯を説明した。



……



「俺、またやってしまったんだ…… この間も家で似たよう事をしてしまってさ。最近になってからなんだよね」



「…… そうなんだ」



この一言が僕にとっての精一杯の慰めだった。


それから信二君は語りだした。


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