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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
入学準備と百合子
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16

ぐわぁーぐわぁーと、竜巻の威力は先程より大きくなっているような気がした。


僕は竜巻の中心から目計りで一メートル近くまで近付いていた、竜巻の上部の方ではバレーボールやバスケットボールなどが渦に舞っていた。


見とれてしまっていた……


それはなんと表現したらよいだろうか?

理科の時間にビデオで見せられた[太陽と惑星]を思い出した。


太陽の周囲を公転する天体、太陽系は八個の惑星達…まさにそれだった。竜巻の目を中心にボール達が惑星のようにくるくる回っていた。たまに布切れなどがしゅん、と、中心部に吸い込まれたりした【あれは流星だろうか? 】


だが、その美しい光景を遮断する怪音が天井より鳴り響いた、バリーンと二、三ヶ所水銀灯が上まで登り詰めた台風によって割られてしまったのだ。



「うわ!」

「キャー! 」


などと、生徒達の悲鳴が響いた。逃げまどって壁側に引っ付く。


僕の頭上にも水銀灯の破片が降り注いだ、「ヤバイ! 」と思い、反射的に両手を天井に向けてしまった。



ビシッッ! ビシビシ! ビシビシぃ!



何かが弾かれる音がした。恐る恐る目を開いた。


そこには両手の掌から、薄い硝子の様な氷が開かれていた。その氷が水銀灯の破片を弾いていたので、僕は怪我などは一切しなかった。


「たすかった…… 」


思わず小声を灯した。


今度は落ちついて台風を見る。中心には人影が見えているが、はっきりとは見えていない。少し目を凝らして見ると、一人の男の子の横顔がちらついた。その表情は苦しいような顔立ちだ。


「…?あれって隣のクラスの信二君かな? 」


南田信二(みなみだしんじ)。―――


あまり目立つ存在ではない。勿論、喋ったことはないのだが、休み時間は本を読んでいる姿は教室の内窓から見かけたことはある。何故に彼は竜巻を起こしたのだろうか?


そっと考えを頭の中で整理した後に、彼に声をかけた。


「南田くん! どうしたの? 何でこんなことしてるの!? 南田くん! 」


南田君の顔つきがはっと、変わった。それと同時に竜巻が治まった。奇跡だ!


南田君は、僕の方を見た後にその場で倒れた。頭上からは先程舞っていたボールなどがバタバタと落ちてきた。僕は吉田君の所に駆け寄ると、生徒や先生などが集まって吉田君の回りを囲んだ。


「南田! 大丈夫か? しっかりしろ! 」


「南田君! 返事して! 南田君! 」


その後に先生に担がれて、吉田君は体育館を後にした。【大丈夫かな? 】


そこに校長が汗だくで僕に近寄ってきた。



「佐藤君! 君は大丈夫か? いやー驚いたよ!! 手から氷出たときは魔法だと興奮してしまったよ! 」


「僕は大丈夫です…… それより時貞さんは? 」


「心配ないよ!軽く怪我をしたけど意識はある」


ほっと、胸を撫で下ろした。

時貞さんは無事だった。


校長と話した後に体育館を出ようとした、その時だった。


先程の台風が原因だろうか?頭上にある水銀灯の傘が、音を出しながら落下をし始めた!僕は慌てて、その場から離れた。生徒達も慌てて逃げる。



「きゃ!」


逃げ足ながら、女の子の悲鳴を聞いた。そちらに目を向けると、百合子が転んでいた!水銀灯の傘は百合子の真上に近づくっ!



百合子が危ない!!


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