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僕の魔法学校が女子高に突っ込みました。  作者: 真北哲也
入学準備と百合子
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11

百合子は絶句した。なぜ、腕時計をタンスにぶつけて壊した事を知っていたのか? これは、母親にも言っていない事なのに…一息ついてから尋ねた。



「…なんで?なんで知っているの?壊した原因を?」



「は?今自分で言ったろ?腕ごとタンスにぶつけて壊したって」



「言ってないよ!そんなことを言ってない! 」


ぶんぶん!と、首が飛んでいってしまうくらいに百合子は首を横に振っていた。




「いや、言ったね。さっき小声で頭に響いて来たんだよ。あの位小声は聞こえるよ」


「だ・か・ら!小声でも大声でも言ってません! 」


しばらく、押し問答が続いた。では、さっきの頭に響いた声はなんだったんだろう?……まさか!


僕は気がついてしまった。さっきの頭の中で響いた声は百合子の声だが、口では言っていないのだ。多分、思っていた事だろう。心の声として僕の頭の中に聞こえてきたんだ。なんだろう?これはもしかするとテレパシー的な物だろうか?そこで僕は実験をしてみることにした。



「百合子お願いがあるだけどいいかな? 」



「なにする気なの?変なこと? 」




百合子は疑っているが、無視して頼み込んだ。




「何でもいいから、何か考えてみて。それを当てるから」


「?」


百合子は小首を傾げながら、瞳をつぶった。しばらくしてから、また、僕の頭の中に声が響いた。


【達哉は何考えてるの? めちゃくちゃ怖いんだけど……】


「今、僕の事怖いって思ってるでしょ?」


「!!」


百合子は驚いていた。そりゃそうだ、自分の考えていることが見透かされたので驚く。これって腕時計に何か魔法がかかってしまっているのかな?わからない。


「多分なんだけどさ、その腕時計に何か不思議な力が入ってるんだと思うんだよね…だから、百合子の思っていることが読めるんだと思う」


百合子は腕時計を見ながら、僕の話を聞いていた。少し複雑そうな顔をしながら、うんうんと言いながら…


僕の話を聞き終えると百合子はそっと腕時計を外した。


「……この腕時計外すとどう?私の考えていること解る?」


そう言うと、百合子は目をつぶった。……頭の中に声が聞こえない。


「今度は全然聞こえないよ。その腕時計を着けてる時だけだと思う」


「あのさ、腕時計を直してくれたのはありがたいんだけど、変な魔法とかは要らなかったわよ」


「僕だって解らないよ。ただ、直れ直れって思ってたんだけど…直すだけではなくて要らん能力つけちゃったんだね」


しょぼんと僕は顔を下げてしまった。人の考えていることを読み取ってしまうなんて、悪いことだと思っている。世の中の人達は、嫌な事や辛い事を隠しながら生活をしている、心では思っていても顔は笑顔で仕事したり…もし、心の中の思っている事を顔色で表していたら、世間は争いが絶えない世になっていただろう…


「悩んでいるでしょ? 」


百合子は言った、当たったいる。


「百合子も魔法で僕の思っていること当てたの?」


「違うわよ。達哉は悩むと眉間に皺がぎゅっと寄るんだもん。昔から変わってないわね」


百合子は微笑みながら話をした。そして、時計を腕にはめた。


「変な魔法かけられたのは困ったけど、腕時計は直ったわ。ありがと」


「ああ…良いって」


僕は駄目だと思いながら、百合子の心の思っているを聞こうとした。


【大丈夫よ。本当にありがとう】


その声は本当に心の底から聞こえた、その一言は美しくも優しい、百合子らしい言葉であった。

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