空っぽの空
2週間後
俺は護送車に乗せられヒースロー宇宙港へ連れて行かれた。
護送車の中にはテレビで見たときあるような凶悪犯もいた。
「おめぇ、何人殺したんだ?」
隣にいた50代ほどの男から小声で話しかけられた。
「俺は…3人。」
「ほぉ〜まぁ俺は9人。なんか衝動に駆られてよぉおめぇもだろぉ…」
俺は違う。
俺の動機は違う。
俺の動機は…復讐
俺の殺した3人は俺の彼女を突然轢き殺した。
「道端でイチャイチャしてるのをみてイライラして轢き殺した。」
らしい。
人一人殺したのに判決は軽いものだった。
許せなかった。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる!
俺はその一心で、
殺した。
俺は復讐を成し遂げた。
そして逮捕され、判決を下され、そして今、ここにいる。
宇宙で一体何をされるのだろう。
もしかすると宇宙で処刑されるのかもしれない。
ここに来て恐怖を思い出した。
恐怖を和らげるもの…
空っぽの空…
何もない
雲もない
ただ太陽が照りつけるのみ…
そんなものが今の俺の糧になろうとしてる…
護送車が止まった。
俺は降ろされた。
上を向いて見た。
空を見た。
綺麗だった。
この空を見て勇気をもらえた。
この宇宙を飛び立つための勇気を…
「シエロ-ニエーバ。早く歩け。」
捜査官から怒鳴られた。
俺は歩きながらも空を見た…
AD2214Apr.22