ご
図書館へ行く許可をとった。
馬車で家人に連れてきてもらった。
「お嬢様、館内から離れるときは、お声をかけてくださいね」
「大丈夫です。今日は、本を借りにきただけですから」
うぬ。信用ないな。まあ、いつも森に出かけて姿をくらますから仕方ないが。
「馬車を預けてまいります」
家人は、馬車を引き連れどこかへ行ってしまった。
私は、大人しく館内へと足を踏み入れた。
中には、当然ながら本棚かズラリと並んでいる。図書館なのだから当たり前だけど。
「古語についての本と、古い魔法について書かれた本を借りたいのですが」
少しヤツレた感じの司書さんは、なぜか驚いた顔をしている。
子供のように振る舞うべきか迷う。けど、私がやったら違和感がありそうなので、礼儀ただしく当たり障りのないように、笑顔を浮かべて対応した。何かおかしいのかな?
「お嬢ちゃんが読むのかい? ずいぶん礼儀ただしいもんだ。親御さんの教育がいいんだね」
おじさんは白髪のはえた髪を、ポリポリとかきがら立ち上がった。
照れるより焦ってしまう。どこか、怪しいらしい。
「古語はいいとしても、古い魔法書は持ち出しできないんだよ」
「じゃ、じゃあ、ここで読みますっ」
「うーん、お嬢ちゃん魔法書なんてどうするんだい?」
おじさんは、面倒くさそうにしている。
「使えるようになりたいな、と……」
正直に白状すると笑われてしまった。
「ははっ。そりゃ頑張れよ」
そこからは、機嫌よく本を出してくれたのでホッとした。
「使えるようになったら教えてくれ」
などと、言われてしまった。
何か馬鹿にされた気がする。絶対、言わない。
後は、いやに空いている読書スペースの窓際をゲット。
古語の本を片手に持ち、早速魔法書をめくる。
えーと、著者は伊坂五郎……………………って! ちょっ、まさか!?
ページを急いで開く。手がかりは、この中にありそうだ。
「くわ~、まさか……」
古語だ。ヤツが立ちはだかっている。
日本語だったら嬉しかったのだけど、そうもいかないみたいだ。確かに、日本語だったらガラクタとして処分されててもしかたない。
ん?
もしかして、私みたいな人が他にもいるのかな。