よんじゅういち
流行の音楽とステップでクルクル回る三拍子の曲である。
女性の腰をとり、もう片手は手を合わす。優雅に舞うことが美点とされ、激しい音楽は貴族の間で親しまれていない……はずである。
「お、王子? ちょっと、回転が速すぎやしませんかね?」
「ワルツは、このくらい普通だよ」
身長に差があるため、爪先で立っているので足がひきつりそうだ。
「……怒ってるの?」
もう数年前から敬語をやめ、ため口になった。
それなりの付き合いがあるので、笑顔でも黒い方だとわかる。本気で笑っていない、目が。
「秘密はないはずだよね?」
「……」
隠し事は、すべて白状させられた。何もないはずだ、たぶん。
無言で回転速度を上げていく彼に、私は白旗をあげた。
「わかったから、私が悪かったからっ!」
悲鳴を上げると、回転がゆるむ。
そのまま、曲が終わり手を繋がれたまま二曲目が始まった。
二人とも偽の笑顔で、元の場所へと戻る。
すると、貴族の女性が誘って欲しそうに王子に群がった。いつものことである。
私は、その間に逃げ出した。
いつもなら、そのまま孤立まっしぐらな展開だけど、今日は違う。
「ハナさま、よろしければ私と一曲踊ってくれませんか?」
他国の王子から、王までがダンスに誘ってくれた。
嬉しくて顔が緩む。
「喜んで」と、手をとり踊ろうとしたところに待ったがかかった。
「これは、また何の用かと思えば、浮気ですか?」
冷気を放ち、王子が立っている。
「ご令嬢は?」
首をかしげて辺りを見回せば、彼はゾロゾロと彼女達を引き連れてきているではないか。
彼の知りたがりも困ったものだ。
私は、微笑んで「両国の友好のため、交友を深めてまいりますわ」と、他国の王子を連れてホールに繰り出した。
普段は、聞かない賛辞を浴びて、上機嫌で相手を変えダンスを踊る。
疲れて休憩をしながら王子を探せば、綺麗な女性のエスコートをしていた。
しばらく、食事を取りに行き会話を楽しむ。
「未婚でしたら、我が国の王子と釣り合いが取れましたのに。残念ですなぁ」
その言葉が、少し虚しい。
よく聞くと、色々な国が求婚をしたのだけどダメだった、とか。
断ったのは誰だ! と、叫びたい。
犯人は、判明している。王族からの求婚を断れるのは、自国の王族だけだからだ。
我が家は、逆らえないので途方にくれただろう。
選べるのなら、もう少し年の近い人と結婚したかった……。
王族達が集まれば、会話は自然と同じ方向へ流れていく。




