さんじゅうきゅう
三国の王宮で、王が次々と亡くなるという事件が発生。
神託を受け、一国はわざわざ戦争をしないと宣言、協定の重要性を説いたらしい。他の二国は知らない。
……国境なんて上空を飛べば簡単に越えられる。しかも、魔法でなければ殺害の証拠は残らない。だから、科学の実験よろしく寝室に手作り爆弾を投げ込んでやった。
こちらも命がかかっている。罪悪感はさほどない。中には、私腹を肥やし堕落していた王もいたのだから、よけいにそう思う。
「これで満足?」
そう問えば、姿の見えない彼の笑い声が聞こえる。
辺りは血だまりで、死体がゴロゴロ転がっている。場所は、王宮の中庭だ。
「ああ、早くこうしておけばよかった」
満足そうな様子の子供が目に浮かぶ。
「死んだら地獄いき?」
「相応しい能力はやったが、別に殺せとは言っていないぞ」
「ちょっ……」
理不尽である。
これからの、私の人生など想像に難くない。
「で、私がここに居たら被害が甚大だよね?」
「出ていけばいいだろう」
「おいおいおいおい、それは酷すぎるのでは?」
びっくりするぼど、冷血な判断である。
「力とは、孤独を呼ぶものなのだ」
なに言ってくれちゃってるの!?
どう考えても、私は悪くないっ………………と思う。
「独りで過ごせとか、無理だよ。寂しくて死ねる」
「では、死ね。特別に、この世界にもう一度転生させてやろう」
「え……いや、痛いのが……ちょっと嫌」
正直に言えば、彼は何もしてくれないのである。
しかも「人の気配を感じた」と言って、完全に気配を消した。
派手にドンパチした訳ではないのに、しばらくするとメイドさんがやって来る。
彼女は、何も言わず死体を処分してくれている。慣れていそうなのが怖い。
「弟が生まれたときは、この倍は刺客がいたよ。王妃になれば、それなりに命の危険がある」
背後から声がして、振り向けば王子がいた。
何をしにきたのかは知らないけど、血の海を見てもケロリとしている。
「君は、この国の英雄だから少ない方さ。…………他国から? ……きみ、何をしてきたの?」
死体の特長から、王子はそう判断したらしい。驚いた顔を隠そうともせず、私をじっと見つめる。
コチラは、いつものようにサラリと流した。
「さあ、検討もつきません」
嘘八百である。
「未来の王に隠し事?」
「……脅しですか?」
「いや、事実だよ」
嫌なヤツだ。
なぜか、彼は私の前で王子の仮面を被らない。今も黒い笑みを浮かべている。
「君は飽きないなぁ」
口に出すのは辞めてください。




