さんじゅうよん
今日は、朝からひどい目あった。
ドレスの流行、化粧に無関心であったバチが当たったのだ。ううう、重い。
剣道の防具も数キロと鉄アレイなみに厳しかったけど、着飾るための普段着が重苦しいとは何故に?
化粧は、口紅ぐらいで勘弁してもらったけど、髪は丁寧に結い上げられ頭痛をおこしそうである。
さらに、いく場所が王宮ともなれば気も重くなろうというモノだ。
お父様と一緒に馬車でゆられ、注意事項を頭に刻みこまれた。
「いいか? 嫌なら、断ってもいいんだ。田舎に越してでも、静かに暮らせるだけの金はあるんだ」
「え? それって、田舎に飛ばされるってことだよね? 本当に、不興なんて買えないよね?」
パパが顔を青くしていた。ごめん、正直に言いすぎた。
「誰に、そんなことを聞いたんだい?」
「常識だよ」
私が言うと、パパは複雑な顔でモゴモゴと何か呟く。
「ああ……あんなヤツにハナを渡すことになるとは……! 養女趣味など……やはり、ロクな男じゃない……!」
ひとしきり愚痴り終わったあと、後ろを振り向き私を見つめるパパ。
「立場なんて、気にしなくていいんだ。なにかされたら、お父様にすぐに言うんだよ?」
「うん」
頷きながら、思う。
王妃狙ってるとか、余計なことは黙っておいたほうがいいな。やっぱり、権力がないと税金とか導入できないし。
今まで、戦って奪うがスタンスだった適応できない国もあるだろう。そんな所は、恨んでいるだろうな。
暗殺、奇襲で死にたくないなら、この見合いはうってつけだ。
個人的な幸せは、この際ぬきにして……王子を差し出すということは、向こうにも何か計算があるのだろう。それは、なんだろうか?
私は、パパの愚痴を聞きながら、王宮にたどり着くのを待つ。
出迎えたのは、金髪の細みの爽やかな青年だった。
パパが渋るので、とんでもない男に嫁がされるのか、と戦々恐々だったのに見た目は極上である。
柔和な笑顔と上品な身のこなし、顔も整っていて文句のつけようがない。
パパが顔を引くつかせながら、対応している。相手は、誉め言葉しか喋ってないのに不満そうだ。
「ハナとお呼びして良いですか?」
話しかけてくる王子に、ニッコリ笑顔で承諾した。
「二人で庭を散歩でもしませんか?」
「喜んで」
私達は、お互い表面上なごやかに場をうつした。




