さんじゅうさん
本当に協定が守られたらしいと知るのは、自宅に帰った後だった。
パパが取りなしてくれたので、お咎めはなしである。
その後、王宮に呼び出され謁見の間に通された。
王は、私の顔を見て泡を吹き、倒れそうになったのを側近にささえられていた。
「ハナです。お初にお目にかかります。本日は、お招き頂き光栄です」
そ知らぬ顔で挨拶をして、なんとか無事にやり過ごした…………と、思っていたらパパが見合い話を持ってきてしまった。
断れないらしいので、将来どうなるか少し微妙だ。
第一王子なんて、二十五歳だよ。ロリコン扱いされたらどうするのだろう?
学校には、早々に復帰した。
魔法の授業も満点に次ぐ満点である。
以前は、友達が二人だったのだけど何故か「お友だちに」と、人が沢山の寄ってきた。全て貴族なので、王妃候補を早くから取り込もうとしているのが手に取るようにわかる。
泣く泣く、自分で孤立した。
工房には、行った途端に拳骨をもらった。
オヤジは「何をしに来た」と、ご立腹で話も聞いてもらえない。
仕方なく魔法を見せたが信じてもらえず、喧嘩になった。それで、うやむやになったのだから皮肉なものである。オヤジはツンデレなのだ。
私は平和な生活に戻り、さっそく神に祈った。
そうすれば、彼に出会えると思ったからである。
「殺したのに、罰をあたえないのは……」
「なぜ、そんなことをせねばならんのだ」
返事は律儀に返ってきた。
「恨むなら、恨めばいい。神を」
意外といい人なのか、と思ったのは一瞬だった。
「解放はせんがな」
彼は、そう締めくくったのである。
どうやら、背負わされるようだ。
色々なモノを。
これって、何の罠だろう。
完全なる責任の擦り付けに、苦情を申し立てたいけど責任者はどこだ?
だいたい、私が死んだらどうするのか、とも思ったけど…誰か召喚するだろう、と予想がついた。
そして、また責任を押し付けられるのだ。
上手い話なんてないけど、私の周りはそれなりに幸せなので満足だ。お金は稼げばいい。
私は、毎日神に祈ることに決めた。
ギブ&テイクである。
意地悪な神様も、私の願いを聞き届けてくれるはずだ。じゃないと割りに合わない。
私が殺した人に、来世では幸せな人生を。
そんな、身勝手な願いを祈る。
生まれ変わるまでに、色々と改善されていればいい。
手始めに、発明品で儲けた金を「脚長おじさん」こと、じいに孤児院まで運ばせている。
ゆくゆく、私が王妃になった暁には、行政改革で奨学金制度や教育の義務化、兵の死亡保険の導入、その他もろもろ引き受けよう。
どうせ、すべて神の手のひらで転がされているのだから、好きにさせてもらう。
私が帰宅して、初めてしたことはママとパパの胸で泣くことだ。
今だけは、子供で。
まだ、まだやらなければ駄目なことが沢山あるのだけど……今だけは。
お疲れ様でした。最初からお付き合いくださった方も、たまたま覗いてくださった方にも、良い暇潰しを提供出来たでしょうか? 長編になると、物語の全体図を見通すことができず不安に襲われます。きちんと書けていたか、いつも恐々です。
今回は、見ていてくださる方のお陰で早く書き終わりました。前のサイトからは、携帯の機種を変えたためコチラへとお引っ越ししてきました。見たことがある話の方はスミマセン。たぶん、私です。
前にあった話を改良して、書き始めたのは良いのですが……もし、アドバイスやこんな場面が見たかった
などございましたら教えていただけると恐縮です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。興味がございましたら、番外編にお付き合いいただけると嬉しいです。




