さんじゅう
愚痴を聞いていたら、能力を与えているのは彼だと判明。
私にも、言いたいことはある。
「ねぇ、全属性なんて使えないんだけど」
「まあ、そうだな」
あっさり認められた。
確信犯に違いない。
「お前なら、世界を滅ぼしかねん」
彼の言い分はこうだ。
あまり能力を与えすぎると、世界が歪んでしまうと。
それに、この国だけ発展しているのは不本意らしい。
「子供からココで育ち、過ぎる能力を与えなければお前たちもやり過ぎることはないだろう? ……まあ『お前は』とんでもないモノを生み出したがな!」
仕方ないだろう。
テレビでやっていたのだから。
「見た目がこの世界の人間では、英雄とわからない……だから、全属性にすることでそれが判明する。使えないのは、目印にする為で使用することが目的ではないからだ」
彼は、声の調子から自信満々に言い切ったのだろう。イラッっときた。
「最初から、何か1つだけでも使えていれば荒業なんて生み出さなかったわよ」
どんだけ苦労したと思っているんだ。
「な、なんだと……」
「それに、歪むのなら召喚なんてしないで。迷惑よ」
今現在、被害を受けている最中だ。
「だ、だが……あの国が滅べば、国々の戦いが激化するのだ」
「私の国がなくなっても、未来はわからないわよ。私の世界なんか、密かに核実験で滅びかけることがあったわよ。他にも、細菌や……このブラックホールとか、様々な研究で星そのものがなくなりそうにもなったんだから。でも、人間ってしぶといから生き残るわよ。私だって、本当は死にたくないし、戦争もないほうがいいけど……そのときは、ものすごく足掻く。必死で抵抗すれば、どうにかなるわよ」
私のお気楽思考がただ漏れした。
両親、友達、知り合いぐらいなら、困っていれば手を貸したい。
でも! この国なんて、重いものは持てない。
「みんな連帯責任よ。夢枕にでも立って、世界平和を説けばいいじゃない!」
私だけでは無理だ。
彼は、しばらく無言だった。
「よい考えかもしれんな」
相手がポツリと呟いた。
まさかの採用?
私が期待する中、彼は宣言した。
「では、連れてくる」
「誰を!?」
話は妙な方向へ転がったようである。




