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にじゅうきゅう

人は、人を、簡単に殺せるのか? そう問われたら、私は肯定するだろう。


目の前の現実が全てだ。


何故か思い浮かぶのは、前世の光景。


アスファルトに、ビルの大群。


酔っぱらいがフラフラ歩いてる夜の街、馴染みの店の暖簾。


赤いちょうちんがぶら下がっていた軒先。


友人と良く、知り合いの店で二人、朝まで飲んでいた。


たまに結婚した奥様も混じり、呆け話にくだをまく。




帰りたい。


弱い私は、初めてこの世界の神に祈った。




いつの間にか、周りは敵や味方でごった返している。


私は、死体が折り重なった山に隠れている。


敵は、まだ大人数が無事なのだ。


味方は、総出で応戦している。


私の叫びは、咆哮に消されてしまい届かない。


敵が増え、また屋敷の周りで大規模な争いが始まった。


それなのに、私は隠れていることしか出来ない。


敵や味方が入り乱れているから、魔法は使えない。


パパは……見知った顔はいるのか。


首を伸ばし辺りを探る。


すぐに、少年がコチラをみているのに気づいた。


敵だ。


敵がいる。


私は無意識に、空気を圧縮し始めた。


戦場の真ん中で。










ーー気づくと、白い空間の中にいた。


「世界を壊す気かっ! あんなところで、特大のブラックホールなど作り上げたら世界がなくなってしまうだろう!」


私は、声に視線を向けた。


まだ、子供のような高い音だ。


「神なんぞ、信じておらんだろうに、こんなときだけ神頼みか? しっかり役目をはたせ! なんの為の能力だ!」


私は、その自分勝手な言い分にカチンときた。


「私は、普通の日本人なの! 戦争に役立つ能力なんてないのよ! 魔法だって、無属性しかないのに無茶言わないで!!」


何も知らない癖に、随分な言いぐさだ。


「知識があるだろうが! 今までの英雄は、きちんと救ってくれたぞ? お前が悪いのだ!」


子供のようなヤツだと思った。


異様に腹がたつ。


「小さなブラックホールなら消えるでしょ! 大きくなんてなかったわ! ただ、あそこに居た全員が死ぬだけよ!」

「折角、能力をやったのに何が不満だ。だいたい、あそこに居た全員が死ねば、お前の親父も死ぬだろうが」

「それは……まさか近くに居るとは……」


ゴモゴモと口ごもる私に、誰かがいう。


「とにかく! よく考えろ! 自分が死ねば、周りが助かるなんて甘っちょろい幻想だ!」

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