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にじゅうなな

オヤジに首根っこを捕まれ馬車に乗る。


メイドとじいは、オロオロしているだけで助けてくれない。遠慮なく、邪魔してくれていいのに。


そして、メイドの運転で馬車は動き出してしまった。


私は、こっそり小刀を抜いて自分の指を切りつけた。


紙なんていらない。血があれば魔方陣は描ける。


私は「空気を入れかえる」と言いながら、窓を開けた。


体感速度は、車から顔を出すぐらいだろうか。


オヤジの方を向き、ニヤリと笑ってやった。


「じゃーねっ」


バイバイと手を振りながら、窓から飛び降りた。


「フライ!」


自分の体が浮く。


あとは、地面に降りると一目散に逃げた。


オヤジの唖然とした顔が忘れられない。すごい顔してたな。


気分はしてやったり、である。


適当に森の中に逃げ込んだわけではない。じいに、領主の館の場所は確認済みだ。


今いる道を戻らなくてはならない。だいぶ走ったけど、まあ戻れるだろう。


私は、軽い気持ちで一歩を踏み出した





ーーーーーーーーーー


森の抜けて、なんとか戦場の跡地にまで戻ってきた。


ここから、また歩かなくてはいけない。日は暮れている。


見渡す限りの荒れ地から、説明された方角にキチンと道があった。


「よっしゃ!」


領地だから、すぐに着くだろうと、棒のような足を引きずる。


死体の中に、知っている顔はなかった。パパはきっと生きているのだ。


今、助けに行くよ!


信じて道を歩き出す。


暗い夜道を、灯りもなく歩く。無駄な魔力は使いたくないので、ライトの魔法は唱えない。


真上にお月様が来る頃ーーやっと、目的の場所らしい建物が見えた。


沢山の松明に照らされ、見える姿は孤島のイメージだ。人がざわめく中心に、巨大な建物が見える。


壊された門の扉が、戦いの悲惨さを物語っていた。


中心は、人が一段と多い。ココからは、菓子にアリが群がっているようにしか見えない。


あの中に、きっと籠城しているのだ。予感は、核心に変わった。


ここから見える館は、手に乗るほど小さい。


私は、ポケットから紙を取り出した。


近くに見える人々は油断仕切っている。


敵国の旗を睨み付け、彼らのはるか上空を見上げた。


「フライ」


必要なのは、それだけだ。


目に見えない空気が圧縮される。


数キロに渡るすべてを吸い込む。


理論上、光の速さ以上でなければ、吸われたものは取り返せない。


人はそれをブラックホールと呼ぶ。

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