じゅうはち
オヤジは少し考えるような仕草をしていた。
「ああ、どうせ買えるのは貴族ぐらいだしな。それに、お前は支払いをケチるようなタマじゃねぇ」
「わかりませんよ? カタナを持ち逃げするかも知れませんよ」
「お嬢ちゃんは、馬鹿じゃねぇだろ? そんな捕まりそうなこと誰がするかよ。証人が周りにいるしな」
ああ、なんてことだ。この世界に、神はいないのか。借金する幼児なんて、今だかつて聞いたことない。
ため息を一つ吐き、私は仕方なく取引を申し出た。
「では、こうしませんか? カタナに関する技術の情報提供です。それで、これを値引きしてください」
前世で、おじいちゃんは刀を集めてたから、少しなら話せることもあるだろう。
オヤジは、恐い顔をさらに歪ませて叫んだ。
「ふざけんな! これは、そう簡単に作れるもんじゃねぇ!」
こ、恐い。そう怒鳴らなくてもいいだろう。
私は心密かに怯えながらも、表面上は冷静をよそおった。
「では、今から情報を提示します。けど、それは一部で全てじゃありません。試してみて下さい。情報が偽物か、そうじゃないか、というのは、貴方の方が詳しいはずです。この刀が世界で一つというのなら、製法は何も知らないはずですよね?」
オヤジは、凄みをきかせて私を見下ろす。
「もし嘘なら、どう落とし前つけてくれるんだ?」
このおじさん、本当に堅気か。
六歳児の体で、私はキリリとした表情を作り上げ彼につげた。
「逃げも隠れもしません。好きにしてください。ただし、それが間違いだった場合は……わかりますよね?」
わざと挑発的に、笑みを浮かべる。今の私は、貴族らしく見えるだろう。
「いいぜ。タダにしてやるよ。失われた技術を知ることが出来るならな」
こうして、契約がなされたのだけど。
大変なことになった気がする……。いいのかな? こんな技術教えてしまって。
「まず、鋼を用意してください。後、水と高温の火が必要です。下準備から、初めましょう」
こうして、小刀はただで手にいれられたのだけど、大層時間がかかってしまった。
しかも、また工房に行かなくてはいけない。色々、教えて欲しいことがあるそうだ。
この後、私は馬車を待たせていることを思いだし、急いで学校まで戻って家人に叱られ、ママとパパに原因を厳しく追求されたのは言うまでもない。
でも、このカタナで実験をした結果があがっただけで大きな収穫だ。




