じゅうなな
「よし、見繕ってやるよ」
などと言い出した彼は、正直別人のようだ。
手近にあるものじゃなく、沢山の道具が並べられた奥の奥から、銅色の繊細な装飾がされたキレイな短剣を渡された。
「お嬢ちゃんが持つなら、このくらいのモノじゃないと馬鹿にされるぜ」と言いながら、明らかに高そうな物を押し付けてくる。
押し売りだよ、お巡りさーん!
「無理です、無理です! お金がないですから、普通のやつでお願いします!」
所持金を見せて、必死に現状をアピールする。情けないが、まだ子供なのだから許されるだろう。
オヤジは、アゴに手をあてる。
「お貴族様なのに、金に困ってんのか?」
なんと言うことだ。お母様、お父様、ごめんなさい。ハナはきっと、良い子になりま……(以下省略)
貴族には、見栄とかプライドが大事なときもあるのだろう。家人や民に示しがつかないとか、そんな理由だったと思う。
「じゃあ、また今度……お金を持って出直します」
そう言って、逃げようとしたのだけど。。。
「ツケでいいぜ。お貴族様にツケなんざ、初めてだがな」
オヤジは、背筋が寒くなるような笑みを浮かべていた。それで、営業スマイルのつもりか!
「物を先にもらうなんて出来ません」
「金が先でもいいぜ」
「……」
「手付金は、もらうぞ。利子は一割でいい。お買い得だろ?」
「い、急いで必要なわけじゃ……」
「ここら辺は、少し物騒だから装備しといて損はない。孤児に金をスリ盗られたくなけりゃ買っときな。武器なら、アシがつきやすいから盗らねえだろう?」
「………………買います」
負けた。
どうやら、オヤジは商売上手でもあるようだ。
少し恨ましく彼を見ていると、彼は私の背をグローブのような手でバンバン叩きながら「安心しな! 品質は保証するぜ!」と言った。
「これは、この世に一つしかないシロモノだ。持ち手は繊細で、細身だから軽い。両刃じゃなく、小ガタナというらしいが強度は抜群だ」
「強度……ですか」
たしか、テレビで見たときは材料の鋼を熱して、水につけた後、固い部分と柔らかい部分にわけて、また熱してと折り畳んで、叩くという作業を何回か繰り返して……と、とても手間のかかる作業のように思えた。だって、レイピアだったら日本刀で折られてたよ。大きな剣と打ちあっても折れないし、本当スゴイと思う。
「いいのですか? 私は、まだ子供ですよ」
こんな大層な剣をもらっても、困るというか……払えない。どうやって、借金を減らせというんだ。うう。




