じゅういち
入学の季節がやってきた。
向こうは、春だけどコッチは夏みたい。
どうしよう。本物のお嬢様に混じると、私なんて空気だ。
いやに緊張して、マイナスな想像をしてしまう。友達出来なかったら死ぬる。
新入生は、大きなホールに詰め込まれ在校生と対面する。
向こうの世界の子より、大人っぽい見える。私なんか、もう三十一歳になってしまっている。コチラと向こうの世界での年齢を足してだけど。
香水の匂いが漂う中、学園のヌシの演説を聞く。
ブルジョアに校則は関係ないのか、それとも校則がぬるいのか疑問だ。
在校生の挨拶の途中、私は半分意識が飛んでいた。眠い。年齢に関係なく、体が若いから眠いのかもしれない。
「「ふぁ~」」
アクビが誰かと重なった。
ふと横を向くと、私と同じように大口を開けた少年と目が合う。
「……」
見つめ合うこと数秒。
「「ぶはっ」」
二人、同じ格好だったのが可笑しくて吹いてしまった。これは、気が合いそうな予感。
「私、ハナ。よろしく」
ヒソヒソとごあいさつ。
黒髪に薄紫色の目をした少年は、愛らしい顔ではにかんで言った。
「僕は、ライ。ラインボルト」
非常に可愛い。性別が反対の方が頷ける。
思わず見とれていると、女の子のようなライは戸惑っていた。いかんいかん、私はショタコンじゃない。
「同じクラスかな?」
先生に誘導されて座ったけど、これは何の順番なのだろう。
「たぶん」
少年は、訳知り顔だ。私が説明を聞き流していたのかもしれない。
「そっか、良かった。知り合い居なくて心細かったんだよね。友達になって」
軽い調子でいくと成功したのか、彼はびっくりしたような顔をして「うん」と言った。
ここは積極的にいかねば、きっと友達が出来ないだろう。気合いを入れて、少年の手を握る。
「ありがとー。嬉しいっ」
握手した状態でブンブン上下に降った。
よし! さい先は良好だ。
上機嫌で、前を向こうとしたところにお声がかかった。ちょうど、私の頭の後ろからだ。
「私も仲間に入れて」との言葉に、ぐるりと百八十度体を回転させる。やった、二人目ゲット!
後ろの女の子は、少し勝ち気そうなつり目の美人さんだった。将来有望。
「私、ハナだよ」
「僕、ライ」
二人で自己紹介する。
「私は、テアー」
彼女は、生粋のお嬢様だろうと推測した。もう、雰囲気からして高貴さが滲み出てる。うぬ、いい匂い。




