第1話
本編から二ヶ月後の二人です。
「裕一さん」
俺の体をゆさゆさと揺さぶりながら秋穂の柔らかい声が俺を呼ぶ。
「約束の時間になっちゃいます。いつまで寝てるつもりですか」
そう言えば久々に休みが取れたため秋穂にどこへ行きたいのか聞いたところ、久しぶりに二人で出かけたい、と言ってきたので、午後から出かけることにしていたのだ。
しかし、昨夜、父親に捕まり遅くまで付き合わさたため、秋穂の「起きて」攻撃をかわしていたが、どうやらそうはいかないようだ。
「昨日は遅かったみたいですし、今日は出かけるの止めますか?」
「いや、起きる」
ここのところ、親父が新しく立ち上げた事業の拡大を任されていたため、秋穂とはすれ違いの生活が続いていた。同じ家で暮らすようになり、さらに会社では俺の秘書をしているにも関わらず、どうしてこんなにも時間が合わないのかというくらい、秋穂との時間は合わなかった。
「でも・・・」
俺の体を気遣ってなのだろう、起こしに来たくせに彼女の声は遠慮がちだ。
「昨日は別に仕事で遅くなったわけじゃない。父さんと飲んでたんだ」
「社長と」
「ああ、早く紹介しろとうるさくて」
「?」
意味が分からなかったらしく、首を傾げる秋穂に俺は微笑む。
全く、自覚がないというのも困りものだ。
同棲をしているのは早く秋穂に俺といることになれてもらい、結婚するまでを少しでもスムーズにしたいからだ。
「秋穂は準備できたのか」
「うん。どこ行くの」
着替えを済ませ、リビングに行くと、先日プレゼントしたワンピースを着た彼女がいた。普段スカートは穿くことのない彼女は恥ずかしそうにしている。
「可愛い。おいで」
手招きすると、秋穂は素直に自分の前にやってきた。
「はい、これで完成」
そう言って、秋穂の左手薬指に嵌めたのは、ダイヤのはまった上品な細めのリング。
「・・・」
「デザイン、気に入らない?」
「ちがっ・・・私が貰ってもいいの」
意味はわかっているのだろう、瞳にはぷっくりと涙がでてきている。
「深山秋穂さん、俺と結婚しましょう」
驚いた顔をした後、先程耐えていた涙が秋穂の頬を濡らす。
その涙を指で拭う。
「・・・私なんかでいいの?」
「秋穂がいいんだ。返事は?」
「・・・よろしくお願いします」
プロポーズしました!
二ヶ月の間にいろいろありました・・・遠い目
秋穂は古賀さんに振り回されているようで、実は古賀さんがいつも秋穂に振り回されています(笑)
いつ、秋穂が飛んで行くのか古賀さんはいつもヒヤヒヤなのです・・・実は・・・




