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一言ですらなく、語るモノ
手の中の銀色を、もてあそぶ。右から左に、左から右に。ちょっと投げ上げてみたりして。それを、刃をつかんで受け止めてみたりして。
それはどこまでも冷たく、人を拒絶する。
瞑目したままソレを掴んでいると、背後から、誰かが肩を叩く。
彼は振り向き、けだるげに。
「……ああ。親方」
「今日の仕事は済んだのか?」
金髪を細い三つ編みにした少年ーー 一見すると、女の子にも見えるーーは、だるそうな表情のまま、ひとつ頷いた。
「時間は、永遠の川。運命は小舟。たどり着くは、永遠の岸辺」
少年の言葉に『親方』は、怪訝そうな顔をする。
「三女神の伝承か? 俺には、何を言っているのかサッパリだが」
「今日亡くなった誰かは、永遠という名の岸辺にたどり着いたってことーーだよ」
少年の顔が曇る。
親方はわらった。
「俺たちはカミサマってわけか! そりゃあ良い」
「神になんて、なれやしないさ。俺たちはただの羽虫ーー風に吹かれて踊るだけだよ」
だけど、踊るなら。願わくば、この運命の下ではなくーー
「誰かの望む、未来のために」