詳細
「私は車掌の鈴木と申します。そして、隣にいるのが乗務員の山本と伊達です。早速ですが現場をご覧いただいてほしいのですが」
そう車掌の鈴木が僕に伝えると僕は警察官である自分の良心からか断ることが出来なかった。
そこで、僕は
「分かりました。ただ、一つみなさんに伝えておかなければならないことがあるんですけど」
「何ですか?」
と鈴木は聞いた。
僕は責任から逃れようと思い
「実は私は警察官といっても少年課ですし殺人事件の担当は一回もやったことがないんですが・・・」
鈴木はすぐに
「しかしあなたしかいないんですが」
僕はしぶしぶ
「そうですよね。ははははっ」
と苦笑いしため息をついた。もうこれは逃げることはできないと僕は心の中で思った。
鈴木は僕に向かって
「笑っている場合ではないですよ。では現場に行きましょう」
と言った。僕には鈴木の姿がとてもたくましく見えたのであった。
我々は現場に着いた。
「ここです」
と鈴木が言った。
そこに乗務員が立っていた。我々がそこに着く前にすでに乗務員の小松が鈴木の命令で現場になるべく乗客を立ち寄らせないために立っていてほしいということで立っていたというのであった。
車掌の鈴木によると乗務員はすべてで6人いるとのことだ。車掌の鈴木と乗務員の山本、伊達そして小松、また運転室に運転士の高木と副運転士の岡本だ。
現場は10号車と11号車の間にある男子トイレである。この列車は全16両からなっていてトイレは偶数列の後ろに男女1つずつ置かれている。第一発見者は幸いにも乗務員の山本であった。
僕はやはり自分では怖くて開けられないので
「鈴木さんドアを開けてもらってもいいですか?」と言った。
鈴木は少しむっとした表情で
「広島さん。あなた警察官でしょ。開けてください。」と言った。
「いやっ、だから僕は警察官の中でも少年課で殺人事件の担当はやったことがないんですって」
「そんなこといったってあなたしかいないでしょ」
この一連のやりとりを聞いていた第一発見者の山本がしびれを切らしたようにドアを開けた。
「まさか・・・・」
山本以外の僕たちは言葉を失った。いやっこの現場を見たのは2回目である山本でさえ顔面が硬直していた。
40歳代と思われる男性の遺体が便座の上で座りながら寝ているような感じで動いていなかった。見た目では外傷は見つけられず出血もなかった。
僕は人の死体を見たのは初めてであった。
「広島さんどうしますか?」
鈴木が僕に聞いてきた。
だが僕は何を言っていいのか、何をするべきなのか全く分からなかった。僕の小さい頭脳でひねり出そうとしても言葉が何も出てこない。本当に僕は駄目な警察官だとつくづく感じた。
そんな時、山本が車掌に
「ここになんかありますよ」と言って、死体のそばに落ちていた小さな物体を持ち上げた。
「これは鶴かな」鈴木が言った。
どうやら折り紙で折られた黄色い鶴のようだ。そして再び山本が発言した。
「その中に何か文字が書いてありますよ」
「貸してくれ」
僕が責任感からなのか好奇心からなのか分からないような精神状態の中、声を出して言った。
そして、僕は丁寧に折り紙を元の状態にしていくうちに書いてある文字が徐々に読めるようになっていった。そして僕が鶴の折り紙をきれいに全部開いた先には、ここにいる5人にさらに恐怖を与えるには十分であるようなメッセージが残っていたのだった。
まだまだ日本語がおかしいところや文章がおかしいところがあると思いますが、どうか興味を持っていただけたら本当に嬉しいです。
またご意見・ご感想などももらえたら嬉しいのでよろしくお願いします。