闇夜
「お休みのところ大変申し訳ありません。本日この列車の車掌をやらせていただいております鈴木でございますが、お客様の中に警察関係者はおりませんか?おりましたら大変申し訳ございませんが車掌室までお越しくださいませ」
それは、午前0時を少し回ったところで、この特急列車ふるさとが出発してから4時間が経過したところだった。
この特急列車ふるさとは、東京から九州・福岡を結ぶ午後8時10分出発のふるさと203号。
僕の名前は広島隆。僕は、東京へ1年に1度の妻との旅行の帰りの最中であった。僕の仕事は警察官。一概に警察といっても様々な担当があるのだが僕は、少年係で未成年の窃盗や暴力事件などを担当して今まで、殺人事件を担当したことがなかった。新人の頃はいつかは殺人事件の捜査をやってみたいとは思ってはいたが、その頃から10年も過ぎた現在はこのまま少年係をし続けたいとも近頃は思っていた
。
このアナウンスを聞いていたのは妻の富美子だった。なぜかというと、その時僕は熟睡していた。1年に1回の妻との旅行は毎年、地獄である。それは今年も例外ではなかった。先ほど、地獄といったがなぜ地獄であるかというと、妻は大の買い物好き。いや、それならまだいい。この妻の富美子の一番恐ろしいのはよくいる大阪のおばちゃん以上にとてもよくしゃべることである。しゃべるといっても、妻がひとたび話し始めればこれはもう、まるで暴走列車のようにブレーキがかかることなく1時間でも2時間でもしゃべり続ける。
そして、妻の暴走中に、僕が相づちをするのを忘れると、今度は僕の悪口を1時間でも2時間でもしゃべり続ける。ましては旅行中はテンションが高いので話題がたくさん出てきやすいのか富美子のおしゃべりは止まらなかった。
妻のせいで疲れがでたのかは分からないが、いやっ、それしか考えられないが、僕はその時深い眠りについていた。ただ、僕が深い眠りに入っていたら、妻に起こされ事情を聞かされ、僕は
「そんなの黙ってればだれも僕が警察官だなんてわからないよ」
と妻に言って、また眠りに入ろうと横になったら妻から
「そんなことが私に通用すると思っているの?あと10秒のうちに行かないと何をするかわか・・・」
妻の言葉をすべて聞く前に僕はもう重い腰を上げて布団から出ていた。妻の怖さは僕がよく知っている。
僕は
「えーと車掌室、車掌室どこだっけかなぁ」と呟きながらあるいてたら、6号車に入ったところでようやく車掌室をみつけた。僕は、ノックをして
「失礼します」
と言って車掌室のドアを開けた。その時、僕はなぜか車掌室のよくあるような普通のドアがとても重い鉛のような感じがして、すんなり開かなかったような感覚がした。
部屋の中には乗務員の方が3名いた。
「ひょっとして警察関係者の方ですか?」真中に立っていた車掌らしき人物が話しかけてきた。
「そうですけど、なにかあったんですか?」
「落ち着いて聞いてくださいね。実は、乗務員が乗客らしき一人の遺体を発見しました」
僕は、その言葉を聞いたとき、今度は僕の体が一瞬金縛りにあったように動かなかったような感覚に陥ったような気がしたことを覚えている。
ご意見・ご感想などがありましたら是非遠慮なく教えてもらえたら嬉しいです。
初めて小説を書いたのでいろいろ至らないところがあるとは思いますがよろしくお願いします。