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満儚

掲載日:2026/05/08

「満儚」で「まんぼう」と呼びます。

「昨日、久しぶりに飯食ったんだよね」

 公園にある自販機を前にして夕星(せきぼし)が言った。

「なにやってんの…で、何日ぶりだったの?」

 満保(みほ)が呆れた声で言う。

 すると、夕星は自販機にお金を入れて飲み物を買った。

「ピッ」

 不自然で聞き慣れた音が響くと、中から缶が出てきた。

「4日ぶり」

「よく生きてたね」

 缶を取り出し横にズレると、今度は満保が自販機の前に立った。

「水は普通に飲むからな。今みたいに、おしることか飲んだりして栄養は取ってるし。4日ぐらいは大丈夫なんだよ」

「普通はそんなことしないんだけどね…」

 自販機で飲み物を買う。

「ピッ」

 またその音が聞こえると、中からペットボトルが出てきた。

「そんな生活してたらさすがにヤバいよ? 毎日ご飯を食べられるように、家に行ったげようか? なんなら、家に住んでご飯作ったげるよ。学校同じだし、私も一人暮らしだしさ」

「やだよ。部屋汚いし、ゲームもろくに出来なくなるじゃん」

「それを防ぐために家に行くんだけど」

 夕星と満保が公園のベンチに座る。

 満月の秋夜は、今年で一番明るく光を放っているようで、街灯よりも目立っていた。

 おかげで、手に持つジュースがはっきりと見えるので、2人は手こずらずに手に持っていたジュースを開けて飲んだ。

「それ美味しいの?」

「うまいから飲んでるんだけど。これを飲むと元気になるからね。下にビリビリくる感じが、儚く満たされるんだよね〜。夕星も飲む?」

 手に持っていたジュースを夕星に向けた。

「じゃあ遠慮なく」

 夕星はレモンサイダーを飲む。

「酸っぱ!」

「あっ、そういえばおしるこを飲んでたね。甘い物飲んだばかりだから、そりゃそうなるか」

 満保は、夕星の手にあったレモンサイダーを手に持ち、背中を擦った。すると、夕星はすかさずおしるこを口に流す。

「うわ、まだ酸っぱさ残ってるから甘酸っぱいんだけど」

「いいんじゃん、珍しい味を体験できて幸せもんだね」

 満保はレモンサイダーを飲んだ。それを夕星は眺める。

「…まあ、もう体験出来ないかもしれないからな」

 月光が2人を照らす。

 それは平等に2人を照らすが、夕星には重荷だったようで、うつむき、満保が手に持っているレモンサイダーに焦点を当てた。

「…満たされすぎかな」

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