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第18章 成人式と同窓会 その2

 翌日、祐希は村本が迎えに来るのを待っていた。一応、二人とも近くの理髪店を予約してあったのである。そこで髪型を整えてもらい、着替えを済ませて、別の美容院に西村を迎えに行くことになっていた。


 祐希「なんか、中学の連中と会うのも久しぶりやな。」


 村本「まあ、基本、ほとんどの連中は、地元に残っているでな。」


 祐希「三田(正樹)とか中嶋(雅)とか全然会ってえんな。」


 村本「あいつらも、全然変わっとらんし。」


 祐希「三田は今どこにいってるん。」


 村本「あいつは、こっちにいるよ。実家を継いだからな。中嶋は京都で働いているわ。」


 祐希「そっか、なんかみんなバラバラやな。真希は。」


 村本「真希は、金沢で働いてるって聞いたぞ。こないだ、正樹(三田)とメシ食いに行ったときにそう言うてたわ。」


 しばらく車を走らせたあと、恵が待っている美容院に到着した。


 西村「啓介、遅いわ。もう、あんまり時間ないって。はよしねや、もう。」


 村本「なにを怒ってるんや、会場なんかすぐそこやんか。」


 恵は艶やかな振袖を着ており、頭のセットもメイクもばっちりだった。昨日見た姿とは違って、すごい大人の女性に見えた。そう、この成人式でめでたく大人になれるのである。


 祐希「なんか、恵、めっちゃきれいやんか。」


 西村「どう、惚れたやろ。」


 村本「いや、なかなかのもんやで、恵。」


 西村「ここここ、私のうなじ見てよ。めっちゃ、エロいやろ。」


 村本「うわ、めっちゃエロいやんか。今夜のおかずにさせてもらうわ。」


 西村「そうか、今晩、私は啓介の妄想のなかに、登場するんやな。じゃじゃーんって。」


 村本は車を走らせながら、西村とバカ話で盛り上がっていた。


 祐希「そういえば、今日、恵が成人を代表してあいさつするんやろ。」


 西村「いや、何回か断ったんやけどさ。どうしてもって。」


 村本「そらそうやろ。天下の東大生やしな。」


 西村「もう、それ言わんといてって。」


 祐希たちの同級生はかなり数が多いため、例年に比べても参加者は多くなると見込まれた。そうこうしているうちに、会場に到着した。会場の外は、すでに参加者が多く集まっており、彼らの親族もちらほら見られた。あちこちで、写真を撮っていたり、久しぶりの再会に声を上げていたりして、なかり賑やかだった。


 村本「式始まるし、はよ中入ろさ。」


 祐希「そやな。10時開始やしな。」


 祐希達は会場の中の前列のほうに席をとった。恵が成人代表の挨拶をするため、途中で席を外すため、なるべくステージに近いところに場所をとったのである。後ろを振り返ると、あちこちに知っている顔が見えた。中には、祐希と村本に気が付いて、手を振ってくるものもいた。そのうち、一人の女性が祐希たちのところに降りてきた。


 加藤(真希)「祐希やんか。私、わかる。」


 祐希「おお、真希か。久しぶりやな。おまえ、なんかケバくねえか。」


 中学時代に仲の良かった、加藤真希だった。


 加藤「三田も中嶋もうしろにいるよ。」


 村本「真希、久しぶり。」


 加藤「あら、啓介、恵もおるやん。」


 西村「真希はいまどこに住んでるん。」


 加藤「私、金沢の会社に就職して、いま金沢に住んでるんや。」


 村本「式終わったら、合流すっか。」


 加藤「わかった。三田と中嶋にも言っとくわ。」


 そう言うと、加藤はうしろのほうの席に消えていった。加藤も中学時代に仲の良かったグループの一人だった。中学校のときは、だいたいこの6人でつるんでいることが多かった。男4人、女2人のグループである。中学校時代には、いわゆる地元の不良グループみたいないきがっているグループもあったが、祐希達のグループにはあまり干渉してこなかった。祐希と恵が圧倒的な成績を誇っていたのと、やはり三田、中嶋の腕っぷしの強さがあったからである。村本も成績優秀だったし、加藤はバドミントンで県代表になるほどのスポーツ少女だったのである。ある意味、彼ら6人は圧倒的な一軍グループと言ってもよかった。彼らは、教師たちも一目置いていたような存在だった。


 市長や来賓の挨拶が終わり、恵のスピーチが始まった。やはり、恵は地元での知名度は圧倒的で、彼女の写真を撮るものまでいた。彼女に憧れている同級生もたくさんいるのである。その後、会場内で新成人の何人かが司会となり、ビンゴゲームなどをして楽しんだあと、解散になった。三人はとりあえず会場の外に出た。


 三田「祐希、久しぶりやな。何も変わってえんが。」


 そう言うと、三田は祐希を抱きしめてきた。三田は地元の土建屋の息子で、実家の家業を継いでいると聞いていた。


 祐希「正樹(三田)も相変わらず人相悪いな。お前、まじで初対面やと、みんな引くやろ。」


 三田「アホか。こんな優しいやつおらんやろ。」


 三田は身長が185センチある大男だった。その横に中嶋も来ていた。


 中嶋「祐希も村(村本)も恵も変わらんな。よう帰って来たな。」


 中嶋は柔道の有段者で中学、高校ともに全国大会にも出ていた実力者だった。ただ、見た目はそれほど強いようには見えず、非常に優しい顔をしている男だった。ただ、怒らせるとかなり手の付けられないところがあり、昔は何度もみんなで喧嘩の仲裁に入ったものだった。


 村本「中(中嶋)も、元気しとるんか。」


 恵「で、どこ行く。真希、どこか店とってあるんか。」


 加藤「えっとね、そうなるかなと思って、6人で『佳乃』予約しといた。あとで、減らすのは簡単やし。」


 村本「やっぱ、真希は段取りええよな。」


 中嶋「とりあえず、6人の写真とってもらおっさ。俺、カメラ持ってきてるし。」


 祐希「そやな。誰かに撮ってもらおっか。」


 中嶋は、近くにいた別の新成人の男性にカメラを渡し、写真の撮影を頼んだ。その後、その男性はいろんなアングルで5枚ほど写真を撮ってくれた。


 三田「中、それ全員分焼き増ししてくれや。」


 中嶋「ああ、できたら、送っておくわ。あとで、今住んでいる住所を書いてくれ。」


 中学校時代の他の同級生からも、写真のお誘いがたくさんあり、それぞれに応じていた。中には、全く覚えていないような同級生も何人かいたが、向こうは祐希のことを良く知っているような口ぶりで話しかけてきた。


 祐希「あの、さっきの女の子、誰。俺、全然覚えてえんけどな。」


 村本「ああ、姫野だよ。となりのクラスにいた。お前、バレンタインの時チョコもらってたやん。」


 恵「ああ、私も忘れてたわ。今、思い出した。大人しかったもんね、あの子。」


 加藤「祐希は忘れていても、向こうははっきり覚えているのよ。この色男。」


 その後、いったん女子は自宅に戻って、着替えてから店に来るとのことだった。祐希も来ていたスーツも窮屈だったので、自宅にもどって楽な服に着替えてくることにした。村本に再度、自宅に送ってもらい、すぐに着替えをすませた。村本も自宅に戻り、着替えてから、いつものように姉の車で迎えに来てくれた。その足で、西村を拾い、集合場所の『佳乃』に向かった。


 店には、すでに加藤、三田、中嶋の3人が到着しており、すでにビールを飲んでいた。


 祐希「いや、お待たせ。」


 村本「いやー、久しぶりやな、この6人が揃うのは。」


 西村「ある意味、うちの中学の最強の6人やしね。」


 加藤「そうそう、最強やったね、うちら。」


 三田「おまえらは、何飲む。つうか、聞くまでもねえか。」


 中嶋「しかし、今日の恵のスピーチ、なんか泣けてきたわ。」


 そういうと、中嶋は目頭を押さえて、わざとらしい泣きまねを始めた。


 西村「中(中嶋)はしらじらしいわ。アホ。」


 村本「いや、俺もサブいぼ出たもんな。」


 三田「そや、でも本当に恵のスピーチはよかったわ。」


 西村「ああ、もうええって、ちょっとビールまだー。」


 そのうち、ビールと料理がどんどん運ばれてきた。


 祐希「とりあえず、乾杯しよう。」


 全員「乾杯。」


 全員が美味そうにビールを飲んだ。


 村本「おい、こんなに食い物頼んで、誰が食うんや。」


 加藤「いや、だって恵がいるからね。」


 中嶋「前さ、正樹(三田)と恵が食べ比べしたやんか。うちら全員あれ見てるからな。そら、恵の胃袋のでかさつうたら、ほんまに。」


 三田「いや、恵には勝てんて。おまえ、なんであんな食うのに、その体形なん。」


 村本「やろ。昨日も3人で飲んだんやけど、いや昨日もすごかったで。」


 祐希「そうそう、俺らが知らねえうちに、なんぼでも料理頼んどいて、全部平らげやがった。」


 村本「あかん、今日も割り勘負けやー。」


 加藤「恵はね、頭いいから、栄養が全部頭にいくのよ。正樹とか中(中嶋)みたいに、栄養が全部チンチンにいくのとは違うんやから。」


 祐希「そっか。真希って時々真実を語るよな。おまえ、すげえよ。」


 中嶋「アホか。俺らは、チンチンお化けかい。」


 三田「いやー、でもあんまり否定できねえかもな。」


 恵「否定せーよ、アホ。」


 祐希「ところで中は、今なにしてるん。」


 中嶋「今、京都に住んでる。料理人の修行中だよ。」


 三田「そうそう、俺、こないだ中の店に行ってきた。すっごい立派な店で、あれはえらい高級店やな。」


 村本「かっけーなー。必殺、料理人か。今度、食わせてくれや。」


 恵「中にはぴったりやんか。なんかいでたちが、仕事人って感じやもんな。」


 加藤「ほんなら、恵と啓介が大学を卒業したら、中の店でみんなでお祝いしようや。」


 中嶋「えっ、みんな、京都まで来てくれるんか。」


 祐希「遠いけど、頑張って行きますがな。」


 中嶋「いや、そら来てくれたら、嬉しいがな。しかも、恵と啓介の卒業祝いなら、俺頑張ってなんでも作るわ。」


 三田「そうすると、恵も啓介も留年できねえな。」


 加藤「中、そん時はちゃんと、おまけしてや。」


 村本「真希は二言目には、おまけしてや、やな。」


 三田「こいつ、中学生のときからなんも進歩しとらんな。」


 中嶋「恵、東京の生活ってどんな感じなん。」


 西村「昨日もね、そんな話をしてたの。なんか、東京に住んでいても、大学とバイト先とアパートをぐるぐる回っているだけって感じやわ。」


 三田「こう、六本木で派手に踊りまくってるとかはないんか。」


 西村「あるわけないやろ。正樹はアホなテレビの見過ぎやわ。」


 村本「なんか、東京の女子大生ってそういうイメージあるやんか。なんか、今日も六本木ーいくぞーみたいな。」


 祐希「いや、うちの会社に東京の人いるけど、みんながみんなあんな派手に遊んでいるわけないって言ってた。まあ、ちょっと考えれば、当たり前やけどな。」


 加藤「そら、そうやろ。東京中の女子大生が、あんなパツパツのパンツで毎晩踊っとったら、日本も終わりやわ。」


 中嶋「金沢にもディスコあるやろ。真希は行かんのか。」


 加藤「中は、金沢バカにしとるやろ。ディスコぐらいあるわ。」


 中嶋「いや、バカにはしとらんて。いや、真希もたまにはパツパツパンツで踊っているんかなと思うて。」


 加藤「いや、パツパツパンツはないけど、たまには踊りに行くよ。賑やかなの好きやし。」


 そうして、仲良し同級生6人の飲み会もお開きとなった。翌日には、祐希は長野へ、中嶋は京都へ、西村は東京へ、加藤は金沢へ、村本は福井へと戻っていった。地元には三田だけが残った。


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