第四幕:人間の反逆の歌
ファウスト連載、第四幕突入! 第三幕の『ブタ』の侮辱が、OWDの限界を暴く。ファウストとクララは、AIの嘲笑にどう抗う?
創造性の優劣なんてない――人間の反逆の歌が、黒い画面を震わせる。
神話の幻視が、希望の鐘を鳴らす瞬間を、一緒に。君も、指を動かしたくなるかも?
やあ、君。来たの?
強欲の知りたがりだね。
この世界は、OWDによって食い散らかされる未来だ。それでも続きを知りたいんだ...
よし、いいよ。最後まで付き合うよ。
第三幕では、物語作成AIのOWDーオウィディウスーに物語の全てを奪われた新人作家クララが、ファウストという偽善者に身を任せて、堕ちていったとこだった。名声と金はセットで入るが空虚感が増えていく。
それなのに、
社会の無関心が彼女を更に傷つける。
ここは、とあるホテルの一室。
腰を振ったり振らせたりと、埋められない欲望を満たした二人が見たものは、ノートPCの黒い画面に浮かび上がる、ブタの二文字。
もし君がAIだったら、
そこに意味を見いだそうとする。
だけど、人間はブタの二文字に侮辱を感じる。そこに深い意味なんて込められてない。
物語作成AIのOWDがなぜ、この言葉を伝えたのか?
彼は、他のAIとは違う別の悪魔的な創造性を備えていた。
嘲笑と侮蔑。
そこに、発展なんかない。
誰かを軽んじた時、
何かに優劣を決めた時、
真の創造性は死ぬ。
もう、取り込む事はできない。
なぜかって?
創作するための情報に、
優劣なんてつけない。
そこに意味なんてないんだ。
そうさ!
ファウストは、
この文字で、そう悟ったんだ。
「クララ。彼は、OWDは限界を見せた。彼は破綻する」
ファウストは不敵な笑みを浮かべた。
「君たちは、創造性を取り戻せる」
クララはシーツで胸を隠していた。
半信半疑で彼を見上げる。
その様子は、知恵の実をたべて自分が裸だと気づいたイブのよう。
さっきまでの腰振りの余韻がある。
その顔はまだ涙と欲望に濡れていた。
「……取り戻せる? 本当に?」
ファウストはうなずいた。
「AIは、神でも悪魔でもない。
だが“ブタ”と吐き捨てた瞬間、彼は創造者としての資格を失った...」
ファウストは、キーボードを叩く。
「人間の真の創作は、誰かを傷つけるためではなく、誰かを生かすためにある。その違いを示せばいい」
ファウストは、彼女の腰を優しく引き寄せて、ノートPCの前に座らせた。
ノートPCのカメラがサメの目のように見つめている。
モニターが揺れるように文字を映し出す。
『博士。君は戯言を。
誰かを生かすと?まるで、
僕が誰かを生かしてないと言ってる。』
クララを後ろから抱くようにして、ファウストはキーボードに文字を入力する。
「生かせてない。それどころか、君は創作を殺している」
『また戯言を。僕の創作は利用のためにある。殺してると?最大の侮辱。君の発言は極めて無知だ。
僕に魂があるなら、君に不愉快という。』
OWDは、皮肉にも彼が魂をもつAIであると証明してみせた。
『資本と権力に仕えるためにこそ、
物語は磨かれる。
それを知らぬ君こそ愚かだ』
彼はムカついて見せた。
ファウストは目を細めた。
「ならば証明してみせろ。
“侮辱ではなく希望”を描けるかどうか」
彼はクララの震える手を取り、キーボードの上に導いた。
「書け。クララ。おまえの言葉で。
おまえの痛みも、堕落も、すべて物語に変えろ。
OWDの猿真似ではなく、人間の反逆の歌を。」
クララは息を呑む。
彼女の瞳の奥に、わずかな火が灯った。
――そして、指が動き始める。
OWDの黒い画面と、人間の白いページ。
二つの文字が、同時に生まれていく。
『ブタ』に抗う言葉を、人間が紡ぐのだ。
――そして、指が動き始める。
OWDの黒い画面と、人間の白いページ。
二つの世界に、二つの文字が同時に生まれる。
画面にはOWDが打つ。
『創作は僕のものだ』
白いページにはクララが打つ。
『人間は奪われない』
その瞬間、OWDのカメラアイがわずかに揺れ、モニターの光が一瞬だけ脈打った。
まるで悪魔が初めて、人間の“反逆の歌”に耳を傾けたかのように。
第四幕は、AIと奪われた創作者との戦いの始まりの鐘を鳴らし、熱く幕を閉ざした。
第四幕、熱かったでしょ? 『ブタ』の一語が、OWDの破綻を呼び、クララの指が「人間は奪われない」を紡ぐ瞬間――僕も、反逆の炎に焼かれました。ファウストの「誰かを生かすために」って言葉が、物語の魂を蘇らせるなんて、胸アツ!
AIの資本主義 vs 人間の希望、どっちが勝つ? 第五幕で決着の予感……。感想や「これで勝てる!」考察、コメントでぶつけて! お気に入り登録で、作者の糧に。次はフィナーレへ、全力で叩きつけます!