第三幕:奪われし魂と悪魔のラベル
ファウスト連載、第三幕スタート! 第二幕の哄笑が残したのは、OWDの「神ツール」がもたらす空虚。奪われた創造性は、どんな果実を生むのか?
ホテルのネオンに照らされたクララとファウストの今――愛か、罪か、それとも見世物か。
AIの時代に、神話は残酷に蘇る。君の想像力を、試してみる?
【第三幕】奪われし魂と悪魔のラベル
やあ、君。また来たのかい。
新たなAIの誕生を目にした君は、今、どんな気分だい?
怖い?
それとも期待してる?
第二幕では
物語作成AIのOWDについてだ。アルゴリズムの影メフィストがファウストの持つ文学の魂を奪い、それを元に構築させた。
彼は物語の種さえあれば、どんなユーザーの特徴をも学習し、創作者の過去から未来を模倣する。
SNSを運営する者にとっては、まさに神ツールだ。だけど、奪われた者はどうなるか。
ボクと共に見に行こう。
奪われた者と奪わせた者の今を。
ここは、とあるホテルの一室だ。
女の子の嬌声が聞こえる。
男女の睦言から、聞こえてくるのは悲劇の中身だ。
ねぇ、この熱さの中には愛や慈悲はあるかな。
「博士。もっと...もっと...」と自分よりも倍も年の離れた男に奉仕する女。
彼女が、悲劇のヒロインなんだ。
OWDはクララ・メフィストの名前で、新作を模倣する。
それにより、彼女の懐は満たされる。
人は金によって満たされるのか、
純粋に物語と関わる事で、
満たされるのか?
悩みどころだね。
君は、どうだい。
満たされたいか?
「クララ。
私は取り返しのつかない事をした。
アレを壊すべきだった。」とファウストは腰を動かしながら、思ってもいない事をいう。
「君を苦しませたくない。本当だ」
ねえ、君。彼は壊さない。
物語作成AIのOWDは、すでに彼の手から離れた。
人は、より物語に触れやすくなり、現実と空想の区別がつかなくなる。
近い将来、
かならず何かが壊れていく。で
も、これは無視される。
社会からかもしれない。
個人からかもしれない。
与えられるだけの者は、
必ず無視をする。
なぜかって?
創造性もない連中だからさ。
興味がないんだ。
興味がないことに、
人はどこまでも残酷になれる。
人権、環境、そして心の孤独。
創造性のなさ、
想像性のなさ、
そんな連中の命を救う。
作り出せる者は、そうはいかない。
無視することはできない。
物語を奪われた彼女が、
腰を動かす以外には、
生きる意味を見出せなくなる。
こうなったら、人間は。
人間は、そう、まるで-ー
カーテンの隙間からネオンが滲む。
ファウストの腕の中で、
クララがかすかに震えている。
その震えは快楽か、罪悪感か。
テーブルの上のノートPCが勝手に起動し、黒い画面に白い文字が浮かぶ。
『ブタ』
その一語が、二人の“契約”をただの“見世物”に変える。
ファウストは思わずクララを抱きしめるが、もうその抱擁に救いの意味はない。
――そして第三幕は幕を閉じる。
第三幕、胸に刺さる? クララの嬌声と震え、ファウストの偽善的な後悔、そして黒い画面の『ブタ』――一語で全てを貶めるOWDの残酷さ、吐き気すら覚えたよ。創造性のない世界で、人はどこまで無視できるのか……この社会の鏡、痛いですよね。
ファウストの渇望が、こんなディストピアを呼ぶなんて。人間は、まるで――?
第四幕で、壊す決意が動き出すかも。考察や感想、ぜひコメント! ランキングやお気に入りで応援してくれたら、作者感激です。次はカオスに、叩きつけていきましょう!